食農ステイション

食と農に関するお話しを徒然なるままにいたしましょう。

入管に行って考える

2009年05月30日 | 食と農
5月も明日で終わり,来週から6月ですね。東京は雨が降ったり止んだりして,梅雨空のような天気です。

今週,T市の入国管理事務所・T出張所に行きました。7月から私の研究室で訪問教授として受け入れる中国・浙江省のK大学のHさんの在留資格認定を申請するためです。
実は先週も一度中国人留学生のCさんと同入管に行ったのですが,書類が不備で再度の申請となりました。

Cさんのアドバイスにより,朝一番でT出張所に行きました。先週は8名の先客がいましたが,今週は8時過ぎに着いたこともあり私が一番乗りでした。まだ建物の扉も開いていません。

Hさんの申請は,最初「教授」の資格で申請したのですが,その場合国内の機関から滞在費を支給されることが条件だと担当官から告げられました。そして,HさんのようにK大学からサバテイカルとして費用を支給される場合は,「文化活動」で申請しなければならないそうです。そのため,「経費支弁関係書類」を中国の大学から送付してもらわなければなりませんでした。それも,FAXのような写しではだめで,実物が求められ,急遽EMSで送ってもらいました。

2回目はすべての書類を提出して,5分で受理されました。これで一安心です。
昨年の雲南民族大学のC先生の場合は,70日間の短期滞在でしたので,私が「招聘理由書」をC先生に送り,本人が在重慶の日本国大使館(領事館)にビザを申請すれば良かったのです。

EUのようにヒト,モノ,カネが自由に国境を越える仕組みは弊害もあるのでしょうが,交流や経済活動は活発になることは確かです。
日本の入国管理は,悪人が入ってこないように指紋を採取したり,パスポートの偽造予防に力を入れています。

でも,新型インフルエンザウイルスのように,どんなに水際で食い止めようと思っても,すり抜けて入ってくる悪人はいるのです。入国後の犯罪予防により力を入れた方が良いのではないかと思います。

私の研究室には,中国,韓国,タイ,バングラディシュの留学生がいます。彼らは入国や滞在延長,再入国などに際して,その都度入管に行っています。ご苦労様です。
EUのようにアジアが一つの経済圏なると,ヒトの行き来はとても助かると思います。ただ,同時に安い農産物も無制限に輸入されるようになり,日本農業は相当な打撃を受けることも推測できます。
今回,入管に行って,将来のヒト,モノ,カネの移動と流通について考えた次第です。6月下旬には雲南民族大学の学長一行5名が来校されます。
最近,身の回りの国際化が進行しています。

3年生研究室配属説明会

2009年05月27日 | 学科長
西からお天気がくずれているようです。関東の梅雨入りはいつになるのでしょうか。

昨日,本学科の3年生に対する研究室配属の説明会がありました。私たちの学科では3年後期から16の研究室に分属します。毎年,教員と学生は研究室毎の説明会の方法や定員超えた場合にはどうするかなど悩ましい問題に遭遇します。学科長の挨拶を再録します。

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学科長として一言挨拶を述べさせて戴きます。

本学では,教育と研究の依って立つ理念と目標を「TAT大学憲章」として制定しています。皆さんも是非一度読んで欲しいと思います。そこで,「大学憲章」の「教育」の部分のみ紹介したいと思います。
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TAT大学は、学生の自主的・自律的な学習活動を尊重し、科学技術系の大学にふさわしい学識、知の開拓能力、課題探求能力、問題解決能力を兼ね備えた人材を育成する。
TAT大学は、科学技術系大学院基軸大学として、豊かな教養・高い倫理観と広い国際感覚を具備し、共生社会を構築して人類社会に貢献できうる先駆的で人間性豊かな指導的研究者・技術者・高度専門職業人を養成し、その社会的輩出に貢献する。
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この教育目標を実現する手段の一つが,学生の皆さんが研究室に分属し,卒業論文作成のための研究を行うことです。皆さんが研究室に入ると,教員や先輩から様々なことを学ぶことになります。無論,自主的,自立的な学習が前提になることは言うまでもありません。

ただし,専門技術や知識は日進月歩していて,最新の技術も数年で陳腐化することになります。皆さんは大学や研究室で会得することは,課題探求能力や問題解決能力といった自ら学び,解決する力を養うことだと思います。

研究室では,ゼミや実験,圃場作業,農家調査などを通じて自らの知見やコミュニケーション能力を高め,社会に出てからも自立できる人間になるように指導されることでしょう。

そこで,私が考える研究室選びのポイント紹介しましょう。まず第一に自分が興味を持てる研究分野であることです。当然のことですね。第2に,その研究室の雰囲気や教員の性格が自分とfitするかということも重要なポイントです。

これから行われる研究室紹介のプレゼンを見て候補を絞り,研究室訪問では様々な質問を教員や先輩に投げかけてください。きっと親切に答えてくれるはずです。

研究室選びは恋人選びと似たところがありますが,違うところは第一義的な選択権は皆さんにあることです。片思いでもO.Kということです。ただ,希望者が定員をオーバーしたときは,教員の責任で選ぶことになっています。このことについては教育委員の先生から詳しく説明がありますので,よく聞いて,分からないことは質問してください。

以上,簡単ですが学科長の挨拶とします。
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3年生諸君は,自分に合った研究室を選び,これからの大学生活を有意義に過ごして欲しいと思います。

なんぼのもんじゃ

2009年05月23日 | 食と農
今日の東京はとても良いお天気です。
首都圏でも新型インフルエンザの感染者が出ました。当初は都内で1名でも感染者が出た場合,大学は休校・休講になる予定でしたが,新型ウイルスの毒性が低いこともあり,柔軟な対応に変更されました。

そんな中,アメリカに語学留学していた修了生が今週研究室を訪ねてきました。マスクをして大学に来るように,事前に指示したことは言うまでもありません。
会ってみると本人は至って健康で,彼が留学していたUniversity of Wisconsin, Madisonでも新型インフルエンザの感染者は少ないそうです。
彼は秋学期,別の英語学校で英語コースをもう一回受けるそうです。がんばれよ―!

このほかには,都庁の方がある審議会委員への就任依頼のために来られました。電話で済むのではと思うのですが,礼を尽くして,委員としての適性を見るためにわざわざ会いに来られるのでしょう。

一方,電話やメールで委員を頼まれたのも今月だけで2件あります。今年は学科長を拝命しているので,お役に立てませんと一度はお断りするのですが,最後は承諾してしまいます。意志薄弱だなぁ―と思っていたとき,壇ふみさんの次のようなエッセイが目にとまりました。(日経流通新聞5月22日号,「ありがとうございません」)

エッセイのタイトルは「なんぼのもんじゃ」です。灰谷健次郎さんとの話を紹介したものです。灰谷さんはあちこちから仕事の依頼があるとき,「そんなときね,『お前はなんぼのもんじゃ』って,自分に言い聞かせる。そうすると大抵のことなら,『はいはい,私ごときでお役に立つならば』という気持ちになる」そうです。
壇さん自身もそれ以来,「私ごときでよろしければ」という境地にになって,審議会委員などたくさんの仕事を引き受けているそうです。

これって大事ですね。今後,私も「お前はなんぼのもんじゃ」と自問自答して,依頼された仕事にあれやこれやけちをつけることなく,「私ごときでよろしければ」と引き受けるようにします。ハイ!

食の共同体

2009年05月16日 | 食と農
東京は曇天です。 今週は暑くなったり, また寒くなったり, 寒暖の激しい1週間でした。

また,今週は運営委員会と学科会議がありました。学科長になってから2回目なので,だいぶコツが掴めてきました。
でも,油断はできません。不安材料の一つは新型インフルエンザの感染拡大です。都内で感染者が確認されると,大学は休校になる可能性があるからです。神戸でヒトからヒトへの感染者が確認されたというニュースに注目しています。

じつは今日も大学に出てきています。学術振興会の特別研究員(PD)の受入研究者の評価書を書いたり,学部への提出書類を書き終わり一息ついているところです。ホント,土曜日は静かで仕事が捗ります。

さて,今日はいま読んでいる本を紹介しましょう。

池上甲一ら4名による『食の共同体-動員から連帯へ』(ナカニシヤ出版,2008年5月発行)です。

構成は以下のとおりです。
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序章 食の共同体
第1章 悲しみの米食共同体
第2章 台所のナチズム―場に埋め込まれる主婦たち
第3章 喪失の歴史としての有機農業―「逡巡の可能性」を考える
第4章 安全安心社会における食育の布置
終章 「胃袋の連帯」を目指して
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私はまだ第3章の途中までしか読んでいませんが,「第2章 台所のナチズム―場に埋め込まれる主婦たち」(藤原辰史)をとくにおもしろく読みました。

膨大な軍事費を捻出するために,毎週日曜日は国民全員が雑炊をたべて,浮いた食費を寄附させるという「雑炊の日曜日」とか,ドイツ国内で収穫されたものや旬のものを食べる運動の「無駄なくせ闘争」や,台所で発生した生ごみを回収して豚の餌にする「食糧生産援助事業」など,びっくりする内容が記述されていました。目的やゴールが違うものの,いま日本で広がっている食育や地産地消と一面似通っています。

藤原さんはこのような「食の公共化」の担い手は主婦であり,それを地方の役人やボランティアが支え,科学者も重要な役割を果たしたと述べています。
そして,ナチスの手口が巧妙だったのは,主婦に社会参加の意識を植え付け,国(第三帝国)のため,民族のため,家族のために戦っているという「誇り」を与えたことだと喝破しています。

藤原さんは,『ナチス・ドイツの有機農業―「自然との共生」が生んだ「民族の絶滅」』(柏書房,2005年)も上梓しています。以前から,M大のHさんに薦められていたのですが,読んでみようかと思うようになりました。

午後には郵便局のATMに取り忘れたキャッシュカードを受け取りに行きます。どなたか,物忘れに効く薬を知りませんか? やれやれ。

土曜日の過ごし方

2009年05月09日 | 食と農
東京は五月晴れです。気温もぐんぐん上昇しています。

朝のテレビニュースで新型インフルエンザに感染した日本人が発見されたと報道していました。これだけ多くの日本人が国境を越えて行き来しているのですから,早晩見つかるだろうと誰もが予測していたことでしょう。
問題は,感染者の拡大を防ぐことです。これからが本番と言えましょう。

4月から娘が私立高校に通うようになって,我が家では土曜日も稼働日となりました。そのため,研究会などのイベントがないときは,娘と同じお弁当を持たされて研究室に行くように急かされます。私が家にいるとテレビしか見ないので,大学で仕事しなさいという「やさしい」家内の配慮です。

土曜日の大学は静かです。私の号館のフロアも実験系の学生が数人行き来するぐらいで,電話も鳴りません。そのため,手が着かない(手を出したくない)仕事をすることができます。今日は,本学の新制国立大学60周年記念誌の分担部分を執筆しました。

この原稿に限らず,依頼されてもなかなか着手できないものは多いですね。機が熟していないというのは自分なりの言い訳で,結構多くの人に迷惑をかけています。

記念誌の原稿は資料も揃っていて,書き始めればあっという間に書き終わるのですが,その気になるまで1年以上かかりました。

早起きすると仕事の能率は高まるのですが,早くお腹が空くのが難点です。もうお弁当を食べ,原稿も書いたし,ブログも更新できました。
天気も良いので街をブラブラすることにしましょう。

ということで,今日は半ドンです。

GWにしたこと

2009年05月06日 | 食と農
東京は昨日からの雨がしとしと降っています。
新型インフルエンザも当初想定したほど,深刻な状況をもたらさないようです。でも,油断はなりません。

さて,長かった連休も今日で終わりです。今日はいつもの日曜の夜に笑点やサザエさんのテーマ曲を聞くような何かだるい気分です。

ここ1-2年は,我が家は連休と言っても行楽に出かけることなく,自宅でのんびり過ごしています。特に今年は溜まった仕事もなく,2日(土)を除いて,無為に過ごしました。反省の意を込めて,この連休でしたことをつれづれに書いてみましょう。

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1.メールのチェック
重要なメールは来ていないと知りつつも習性でしょうか,ほぼ毎日チェックしています。

2.録画したテレビ番組の視聴
こう書くと仕事をしているようですが,ほぼすべて映画かNHKスペシャルです。お陰様で家族に「パパはテレビばっかり見ている!」と軽んじられています。

3.TSUTAYAや図書館で借りたDVDの視聴
これもすべて映画です。何を見たかは秘密です。

4.毎晩,晩酌
通常は週末しか酒を飲まないのですが,休みになるとついつい理屈を付けて飲んでしまいます。お陰でかなり太りました。

5.種まき
市民農園の種まきは2週間前に終わり,トマト,きゅうり,ゴーヤ,ピーマンの苗を定植しました。例年よりも1週間以上早い作業です。
菜っ葉類を収穫した後に植えようと思っているオクラと紫蘇の種をポットに蒔きました。ベランダに置いています。

6.買い物に付き合う
女性の買い物には基本的に付き合わないのですが,「こどもの日」と言うこともあり,隣町のT市まで電車に乗って行きました。新宿に行くほどのストレスは無いのですが,それでもスゴイ人混みです。女性の買い物時間の長さには心底うんざりしていて,座る場所があればいつもそこで待つようにしています。

このときもご同輩が隣の椅子に疲れて寝ていました。しばらくすると奥さんと娘さんがお父さんを迎えに来られました。

母:「この娘ったら,10枚も試着して結局買わないのよ! 店員さんも呆れていたわよ。」
娘:「7枚よ!」

「やれやれ。お互い疲れますね。」とテレパシーを送りました。

7.金魚の水槽の掃除
家では金魚と呼んでいますが,正確にはグッピーを飼っています。1ヶ月に1回程度水槽の掃除と水替えを行います。グッピーの寿命は1~1.5年と聞いたことがあります。数年前に買った5匹の子孫達,約20匹が小さな水槽に生きています。ぼんやりとグッピーの泳ぐ姿を見ていると癒されます。

8.暖房機と加湿器の収納
冬の間お世話になった,ガスファンヒーターと加湿器を掃除して収納しました。代わりに扇風機を出しました。ついこの前,この逆の事をしたように思うのですが。

9.散歩
天気がよい日は家内と1時間程度散歩しました。家内は歩いている間中,ズゥーと話し続けます。私は適当に相槌を打ちますが,帰ってくると「のどが痛い」と毎回言っています。お疲れ様です。

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この程度ですね。日常の平和にこそ幸せがあるのかもしれません。
本当に何もしなかった連休でしたが,何もしないこともたまには必要かなと思っています。

明日からまたハードな仕事です。お互い,新型インフルエンザに負けないようにしましょう。