東北の小柳さんコメントありがとうございました。
小柳さんに触発されて,今回は地産地消の可能性と限界について考えてみましょう。
前回まで,地産地消のさまざまな現象形態のなかで農産物直売所と学校給食への食材供給についてみてきました。しかし,この2つの形態は地産地消の一部分であり,農産加工業,食品製造業,外食企業,旅館・ホテル業などにおける地場産農産物の利用なども多様な場面で行われています。
また,農産物直売所を中継して学校給食への生鮮農産物を供給する事例のように組織間の提携関係も散見されるようになりました。 このように地産地消が広がりと深まりを持ってきたのは,地方自治体行政の支援もさることながら,生産者や消費者にとって魅力ある取り組みだったからでしょう。
消費者や実需者にとっては,長い流通距離と流通時間をかけた農産物取引では不可能な「顔の見える関係」によって,安心し納得できる農産物が購入できること。
生産者にとっては,流通コストや出荷調製作業が節減できることにより農家手取額の増大が図れるというメリットもあります。そして何より買手から当該農産物の評価が直接聞けるという長所があります。
また,環境視点からは,農産物の輸送距離が短くなることで化石エネルギーに使用量が少なくなり,排出される二酸化炭素や化学物質の量が低減できます。また,鮮度が衰えないうちに消費できるなどの社会的空費が節減できるという利点もあるのです。
さらに地産地消の食育に関する役割も期待されています。消費者は食の源流に関心を持ち始めたようです。他人まかせの食への不安が市民農園や農産物直売所への関心を深めていますが,消費者が如何にして食の現場につながる主体になるかが課題となりましょう。
さて,地産地消の課題も山積しています。①市場圏が狭いため生産量と消費量が限られており,需給調整が困難であること。②取り引き可能な品目数が限られるため品揃えが困難であること。③周年的な取引が難しいこと。④気象変動によって出荷量が大きく変動し,価格も乱高下しやすいことなどの流通上の問題点でがあります。
また,農業生産者側から提唱する地産地消,つまり地元産,県産,国産にこだわる理念が消費者や実需者と共有できるかという課題もあります。地元産がとくに輸入品や他県産と比較して,まずい,高い,品質が悪いなど評価が思わしくなければ,長続きしないでしょう。生産者の努力も必要なのです。
そして,地産地消を推進する前提として,基本食糧の国境措置と国家管理は不可欠です。国産・県産小麦を利用した取り組みの多くは,小麦の価格が外国産とほぼ同じ価格水準に設定されているという食糧政策抜きではとうてい実現しなかったのですから。
いま,ネットワーク型の食料・農業政策,地域の自主と自律を促す食と農の地方分権が求められていると考えます。自分たちの身の回りの食と農を守り,より良いものに転換していくことからはじめるしかないだろうと思います。
小柳さんに触発されて,今回は地産地消の可能性と限界について考えてみましょう。
前回まで,地産地消のさまざまな現象形態のなかで農産物直売所と学校給食への食材供給についてみてきました。しかし,この2つの形態は地産地消の一部分であり,農産加工業,食品製造業,外食企業,旅館・ホテル業などにおける地場産農産物の利用なども多様な場面で行われています。
また,農産物直売所を中継して学校給食への生鮮農産物を供給する事例のように組織間の提携関係も散見されるようになりました。 このように地産地消が広がりと深まりを持ってきたのは,地方自治体行政の支援もさることながら,生産者や消費者にとって魅力ある取り組みだったからでしょう。
消費者や実需者にとっては,長い流通距離と流通時間をかけた農産物取引では不可能な「顔の見える関係」によって,安心し納得できる農産物が購入できること。
生産者にとっては,流通コストや出荷調製作業が節減できることにより農家手取額の増大が図れるというメリットもあります。そして何より買手から当該農産物の評価が直接聞けるという長所があります。
また,環境視点からは,農産物の輸送距離が短くなることで化石エネルギーに使用量が少なくなり,排出される二酸化炭素や化学物質の量が低減できます。また,鮮度が衰えないうちに消費できるなどの社会的空費が節減できるという利点もあるのです。
さらに地産地消の食育に関する役割も期待されています。消費者は食の源流に関心を持ち始めたようです。他人まかせの食への不安が市民農園や農産物直売所への関心を深めていますが,消費者が如何にして食の現場につながる主体になるかが課題となりましょう。
さて,地産地消の課題も山積しています。①市場圏が狭いため生産量と消費量が限られており,需給調整が困難であること。②取り引き可能な品目数が限られるため品揃えが困難であること。③周年的な取引が難しいこと。④気象変動によって出荷量が大きく変動し,価格も乱高下しやすいことなどの流通上の問題点でがあります。
また,農業生産者側から提唱する地産地消,つまり地元産,県産,国産にこだわる理念が消費者や実需者と共有できるかという課題もあります。地元産がとくに輸入品や他県産と比較して,まずい,高い,品質が悪いなど評価が思わしくなければ,長続きしないでしょう。生産者の努力も必要なのです。
そして,地産地消を推進する前提として,基本食糧の国境措置と国家管理は不可欠です。国産・県産小麦を利用した取り組みの多くは,小麦の価格が外国産とほぼ同じ価格水準に設定されているという食糧政策抜きではとうてい実現しなかったのですから。
いま,ネットワーク型の食料・農業政策,地域の自主と自律を促す食と農の地方分権が求められていると考えます。自分たちの身の回りの食と農を守り,より良いものに転換していくことからはじめるしかないだろうと思います。