食農ステイション

食と農に関するお話しを徒然なるままにいたしましょう。

後期始まる?

2005年09月30日 | 食と農
昨日,非常勤講師を頼まれたNV大学に行ってきました。
本学よりも1週間早く後期が始まります。

NVは獣医学科を中核とした動物学系大学ですが,最近は食品科学科や獣医保健看護学科など改組して注目を集めています。

私はNVで食品流通論を担当するのですが,農産物流通論とはかなりの乖離があるように思えます。しかし,私に非常勤講師を依頼したN松さんは,「好きなように講義していいから...」と言い残して,英国に行ってしまいました。ここでも,サバティカル・イヤーがある私大はいいなぁーと思ったのです。

さて,講義内容は本学で講義している農業市場学に食品・農産物の各論を加える形で構成しました。果たして,学生の評価は如何に?
学生にもこのブログを教えているので,コメントがあれば遠慮なくどうぞ。3ヶ月間よろしくね。



がんばってるヨ! 共同購入会

2005年09月22日 | 食と農
9月20日,K市にあるT研という共同購入会の調査に行ってきました。

この会はS研究会という運動体とT研という食品流通を行う事業体の連合体です。1976年12月に3人のメンバーによって発足し,最初は野菜の引き売りから始めたそうです。

この3人は,もともと学生運動家だったそうですが,食品分野に関心が移ったのは,有吉佐和子さんの『複合汚染』を嚆矢とする食品汚染や公害問題が世の中を騒がしたことでした。地域生協や大学生協の役職員も学生運動家出身の人が多いようです。

現在の共同購入会の会員数は90名で,昨年の売上高は約8000万円です。最近,会員数と売上高が高齢化により減少傾向だそうです。また,班を利用している会員は全会員の2割で,残り8割は個別宅配の利用だそうです。会員の減少傾向に歯止めを掛けるために,9月19日にアンテナショップを開いたばかりです(写真)。

共同購入には長短所両面あります。毎週,届いた商品を分けるときに,班員は顔を合わせることになりますが,これが現代版「井戸端会議」となり,さまざまな情報交換の場となります。一方,若い人はこのような関係を鬱陶しく思い,個別宅配を選択するようです。

この会の聞き取りをしてすばらしいと思った点は,野菜の生産者との援農をずーと続けていることです。2戸の農家に年間20-30回,草取りや収穫作業を延べ130名が参加しているそうです。

この援農によって,生産者は有機JASのような特別の表示を必要とせず,会員は安心して野菜を購入できるのです。ただ,援農に参加する人は限られていることも事実です。

個人的には,このような「小さな産直」にがんばって欲しいと思っていますが,この産直を維持して行くには,生産者,消費者双方に相当の努力が必要ですし,間を取り持つT研のような事業体も困難な状況が続くことだろう思います。

これからも注目していきたい共同購入会でした。

健康と食

2005年09月15日 | 食と農
きょう(9/15)になって,残暑も少し和らいだようです。

私,ことしの夏は病院通いをしておりました。
北海道のシンポジウムの前に人間ドックを受けたのですが,胃と肺にD判定がおりたのでした。学生の成績にもあまりDは付けないのですが,逆に貰うとかなりショックです。そして,ドックの所見には,肺には結節有り,胃には病変の疑い有りとのコメントが付いていました。肺の結節といえば,「白い巨塔」の財前教授と同じではないですか。ガーーン...。たばこは吸っていないのに。

シンポが終わってから再検査を受けました。胃は内視鏡検査,肺は胸部CT検査です。どちらも初体験でした。
再検査の結果,....問題なしでした。胃は良性のポリープが有り,肺にあった陰は肺炎の痕跡ではないか。半年後に再度CT検査を受けるようにとの指示がありました。

とりあえず,この結果を聞いて安堵したのですが,この病院通いで実感したことがあります。それは,「元気じゃないと,病院には通えない」ということでした。私が通院した病院は虎ノ門にある大きなT病院。片道約1時間かけて病院に行っても,医師の診察は正味10分間。それに対して,次回の予約を取るのに30分,会計するのに20分も待たされるのです。

医師と事務員の無機的な対応にむかつきながらも,唯一の救いは看護婦さん(正しくは看護士か)のやさしい言葉でした。特に内視鏡のカメラを飲むときは結構つらかったのですが,不安と緊張を和らげてくれました。感謝。

今年の前半はストレス全開の生活だったこともあり,体にはかなり無理がかかったことも事実です。後半はゆっくりとしたいと思うのですが,それは可能かチョット疑問。

そんなこんなで,今読んでいるのが沼田勇『日本人の正しい食事-現代に生きる石塚左玄の食養・食育論-』農文協です。左玄は身土不二を唱えた医者として有名ですが,内容は暴飲暴食を常とする私には耳の痛いことばかりです。全部読んだらまた紹介しましょう。

自分の健康は自己責任でまもること,それも食を通じて良くすることが大事ではないかと思うこの頃です。

小さな産直,大きな信頼

2005年09月06日 | 食と農
8月末に愛知県の愛農流通センターに調査に行きました。

文科省科学研究費の調査の一環です。三重大のHさんと麻布大のOさんと一緒でした。
そして,有機農業学会でお世話になっているYさんは名古屋在住ということで,車を出してもらいました。とても愉快な調査旅行でした。

愛農流通センターを簡単に説明すれば,小さな産直を実践している株式会社組織です。資本金は約6000万円ですが,株式は生産者46%,消費者34%,職員・その他20%の構成になっていますが,あえて配当は出していないそうです。

2003年度の売上は9.4億円で,宅配が51%,生協・スーパー28%,直営店10%,自然食品店への卸が11%となっています。現在の宅配のポストは1600班になっているそうで,1班1回の平均購入額は約5000円とのことです。

職員としては正職員19名,パート約40名がいますが,受発注,ピッキング,輸送,代金決済などの業務をこなしています。

愛農流通センターの特徴は,全国に21団体ある愛農生産者組合,三重県にある愛農高校,全国愛農会などの組織とフラットで自由・きままな関係を結んでいることです。ピラミッド型の強固な組織に慣れている私には新鮮でした。

この調査の目的は,小さな産直,ネットワーク型産直の事例を探し,現状と課題を明らかにすることです。愛農流通センター代表のIさんにも会いましたが,残念ながら十分にお話しを聞く時間がありませでした。でも,生産者と消費者の間には大きな信頼関係で結ばれていることは確かでした。

もう一度,「幻の手羽先」を食べるためにも,再調査をしようと思っています。