食農ステイション

食と農に関するお話しを徒然なるままにいたしましょう。

ノブレス・オブリージュ

2008年05月30日 | 食と農
梅雨の走りでしょうか。気温は4月頃にもどり,肌寒い1日でした。

今日は社会的貢献・第2弾,ノブレス・オブリージュについて話します。ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)とは、フランス語で「貴族の義務」あるいは「高貴な義務」を意味し,身分の高い者は,その身分に合わせて果たさねばならない社会的責任と義務があるという,欧米社会における道徳観を表しています。

株長者のウォーレン・バフェットさんが全資産の80%(370億ドル)を財団に寄附したり,U2のボノさんがアフリカの人道支援を30年以上続けていることもこれに相当するでしょう。

翻って私はどうかと自省します。私は先週末に52歳を迎えました。これまで,「フーテンの寅」のように勝手気ままに生きてきました。もちろん,それなりに世の中のことも考えて来ましたが,ボノさんのような行動はしませんでした。社会のことを考え,行動する余裕がなかったとも言えます。

しかし,来週月曜日に「准」がとれた辞令を学長からもらいます。今後,noblesseではなくても,その地位に応じてより学内行政に関わざるを得なくなるでしょう。すでに,「○○委員長の役が待っているよ。」と告げられたりします。個人的にも,社会的貢献にはさらに心を配りたいと思います。いままで私を育ててくれた多くの人たちへの恩返しでもあります。

でも,無理は出来ません。健康第一でいきます。暦はいよいよ水無月です。

大学の社会貢献

2008年05月22日 | 食と農
今日は暑かったですね。5月に台風が日本列島に接近するのも珍しいと思いますが,陽気が安定しないのも困りものです。

国立大学が法人化され,丸4年を経過し5年目を迎えています。その功罪は相半ばすると思いますが,いまさら後戻りすることも適いません。身の回りの変化としては,「将来構想×××委員会」のような会議の回数が増えたことと,教育や研究の業績評価がうるさくなったことです。さらに,社会貢献についても大学として積極的なスタンスを取るようになりました。

社会貢献といってもいろいろありますが,個人的には講演会や研究会での報告,国や地方公共団体の委員会活動でしょうか。講演は基本的に日程が合っていれば出来るだけ引き受けます。また,各種委員に委嘱された場合も原則として引き受けます。ただ,年度末にいろいろ集中する傾向があって,昨年度は日程調整に苦労しました。

委員会に参加すると,大学以外の方々との交流が出来て,さまざまな情報をいち早く得るという余得もあります。ただ,最近は議事録を公開する委員会も増えていて,発言には少し注意が必要です。でも,結構,言いたい放題言ってますけど...。

ところで,本学では職位別役割分担比率の目安を次のように決めています。
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職位   教育  研究 社会貢献 管理運営  (単位:%)
教授   35   25   20    20
准教授  30   30   20    20
助教   30   40   20    10
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分担比率を通称「エフォート」と言っていますが,これは勤務時間なのか精神的疲労度により比較するのかはっきりしません。ただ,社会貢献が20%というのは結構大きな割合ではないかと思います。大学は社会の公器として相応の役割を果たすという意思表示でしょう。

もっとも,アメリカの農学部の教員は,普及(extention)にエフォートを50-70%を振り向けていると聞きますので,まだまだなのかもしれません。

明日も都庁で審議会があります。どんな人と出会えるのか,多少の不安と期待が混在しています。

おからクッキー

2008年05月16日 | 食と農
今週前半は寒かったですね。風邪を引いた学生も多いようです。

今年の目標の一つは体重を減らすことです。年初には65-66kgあり,BMIは25.7,肥満に分類されます。幸い血圧や尿などにはまだ影響は出ていませんが,そのうち問題が出てくることは明白です。肥満はsilent killerと言われるぐらい諸悪の根源だと自覚しています。 (Oくん聞いてるか~。;「心の声」,以下同じ)

学生時代,ボート部に所属していて,COX(舵手)をしていました。その当時の体重は50kgに満たず,試合では規定によりおもりを持って乗船していました。今じゃ,ちょっと信じられないかも。

 爾来,30年が経ちました。身長は伸びず(当たり前!),丸みだけを増してきました。これまで,ダイエットに幾度が挑戦してきました。しかし,なかなか体重は減りませんでした。 直近は寒天ダイエットです。その経過は次を参照してください。

http://blog.goo.ne.jp/nomitoshi/e/6dc1ab9178d438f567628ee09ab7f8f4
http://blog.goo.ne.jp/nomitoshi/e/f4ddcdb3358992609b95e46a805874a6

一時的に体重は確かに減ったのですが,すぐに戻ってしまいました。

先日,暇を見つけて本屋の「健康コーナー」で立ち読みして分かりました。それは,私の摂取カロリーが多すぎると言うことでした。(最初に気付けヨ!)
ダイエット本には「小食のすすめ」が多くあり,「バカの壁」の養老先生も食事を半分残してあっという間に5kg減量したとエッセイに書いていました。私たちの業界で高名なM大のI先生は昼食はおにぎり一個だけですましているそうです。そして,GYM通いの功を奏して細身の体に変身されています。(ニュースソースはM大のHさん)

これまで愛妻?弁当を毎日食べていましたが,4月から昼食はおからクッキー5枚のみです。皆さんは,「お腹空くでしょう?」と思われるかもしれませんが,それが不思議に夕食まで持つんですね。しかも,夕食が待ち遠しくておいしくいただけます。お腹が空いたときは,雲南民族大学に行ったとき,お土産で貰ったプアール茶を飲んでいます。

その結果,4月から2kgの減量です。ベルトの穴は2つ分「後退」しました。これは結構,画期的なことです。

問題はおからクッキーの入手先です。最初はネットで調べて楽天市場で買ったのですが,高い割においしくもなく,またどこの原料を使っているのか分からず不安でした。
そこで,土日の暇なときに我が家で自作することにしました。レシピは次のサイトでたくさん入手できます。
http://cookpad.com/

クッキー作りは意外と簡単で,ストレス解消にも役立ちます。畑仕事と並んで私の趣味になりそうです。皆さんもお試しください。

東山ブルー

2008年05月09日 | 食と農
最近,寒暖の較差が大きいですね。体調には十分留意ください。

さて,連休はどう過ごされましたか?
我が家はみんな予定がばらばらで,一緒に過ごすのは夕食ぐらいでした。

娘はいまバドミントンにはまっていて,連休のほとんどを練習と試合に費やしていました。私たち夫婦は散歩に行ったりして,体が鈍らないようにしていました。唯一出かけたのが「東山魁夷展」でした。
http://higashiyama-kaii.com/index.html

東山の生誕100年を記念して,3月末から5月18日(日)まで開催されています。入場券をもらったこともあり,いそいそと出かけました。

東京国立近代美術館に入るのは初めてでした。着いたのはお昼前でしたが,入館するのに10分ほど待ちました。中に入ってびっくり。中高年の人がわんさかいます。黒山の人だかりとはこのことです。

この回顧展は,東山魁夷の代表的な本制作101点,スケッチ・習作53点が出品されてた大がかりなものです。入場者数が10万人を超えたというのもわかります。
私たちは列に並びながら見るゆとりもなく,後方から見たり,人があまりいない絵の前ではゆっくり見たりしました。

彼の創作を7つに分けて展示していました。私は東山魁夷というと白馬が出てくる風景画というイメージしかなかったのですが,初期の画風は中期以降と違っていたのは意外でした。東山ブルーが際だち始めたのは,北欧に静養と取材のために3ヶ月間旅行してからです。これは,あとでNHKの番組を見て知りました。

私が気に入ったのは,唐招提寺の御影堂の障壁画の一部です。東山が10年を超える歳月をかけて,鑑真和上に捧げた大作です。回顧展では,「濤声(とうせい)」と,墨一色で描かれた和上の故郷の風景「揚州薫風(ようしゅうくんぷう)」が展覧されていました。時間をかけて雰囲気にひたりました。

この回顧展は,5月18日までですが,その後,7月から長野県信濃美術館にも巡回するそうです。興味がある方は,是非ご覧ください。心が洗われますよ。

汝,喰い改めなさい

2008年05月02日 | 食と農
昨日は暑かったですね~。きょうは一転,平年並みの気温になり,午後から雨が降り出しました。
でも,大型連休は全般的にお天気がよいようで,行楽地もにぎわいそうですね。

といっても,ガソリンの暫定税率も元に戻り,しかも原油の値上がり分を加えて1リットル当たり30円以上も値段を上げたスタンドが多いようです。日常の生活や仕事のために車を使わなければならない人たちにとっては大変なことです。

生活用品や食品の価格も次々に上がっています。我が家のパン作りに欠かせない,小麦粉もバターも値上がりしています。しかも,スーパーのバーターの棚は空になっています。私はインターネットでお店を探して,それらの材料をまとめて買っていますが,品切れの店が増えています。

これら消費財の価格上昇は生活に直ちに影響を及ぼしますが,生産財の値上げも深刻です。ニッケル鉱石や鉄鉱石など工業製品の製造に欠かせない工業原料も急上昇しています。今日の朝日新聞には,加工前のリン鉱石が08年3月には1トン当たり約3万8000円となり,1年で5倍以上に急騰していると報じていました。穀物増産で,米国,中国,ブラジル,インドが肥料の原料を大量に買い付けていることが主な原因だそうです。

最近,新聞の「論壇時評」で食糧・農業問題を扱う記事が朝日と日経に続けて掲載されました。これには,中国産「毒ギョーザ」事件を契機として,食品の安全性問題が注目を浴びたこと。そして,その背景には,食料自給率(カロリーベース)39%,穀物自給率28%という先進国では最低水準であり,世界的な食糧危機が迫っていることが国民に周知されたためではないかと思います。

このような状況で再評価されているのが米です。御飯一膳の米の値段は27-30円です。米はもともと貿易(輸出)に振り向けられる割合が小さく,自給的な作物です。そのため,気象変動や紛争により貿易量が滞ると価格が暴騰します。今,アジアの各国では「米騒動」が発生しています。米余りの日本とは大きな格差があります。

米は我が国で自給可能な食糧です。米を粉砕して米粉(こめこ)にして,小麦粉の代用品とする取り組みも各地で行われています。輸入穀物や輸入冷凍食品に頼った食生活から米を基軸とする食卓に変えれば,食と農をめぐる事情も一変するように思います。喰い改めませんか?