六畳の神殿

私の神さまは様々な姿をしています。他者の善意、自分の良心、自然、文化、季節、社会・・それらへの祈りの記。

知床とオオカミ

2006年05月27日 | 自然関連
 今朝の朝日新聞に知床の話題が載った。
「オオカミ移入」平行線・米提案に日本「非現実」
世界自然遺産の知床へ、生態系保全のためにイエローストーンに倣ってオオカミを再移入することを提案した米国に対し、日本側は「野生動物保護管理の改善こそ先決」などと反論し、議論は平行線のまま。
 去年の哺乳類学会での話題がなぜ今この時期に記事になるのかよくわからないけど、つい4,5日前に話題のイエローストーンにいた私としては何かとってもタイムリーな話題。

 この記事を普通の人が読んだら、どう感じるだろうか。「なんか無茶なガイアツかけてくる米国に、日本が冷静に対処している」みたいに感じてしまうだろうなぁ。

 本当は、違うのに。

 知床の自然に、オオカミは必要。
 それを、人間社会の都合で止めているのだ。人のオオカミに対する誤解ために、知床の自然が崩れていくのを、ただ手をこまねいて傍観しているしかない。「崩れていくのもまた自然の姿さ・・」などと嘯いて。
 米国の科学者たちは日本人社会のその不作為を指摘しているのに、大半の科学者は「人間社会が悪いんです、私たちは無力です」と行動をためらっている。
 日本社会が変わって、野生動物保護管理システムが機能し始めるまで、知床の自然が崩れずに待ってくれるなんて保障は、どこにもないのに。

 あのアメリカだって何十回もの公聴会を開き、十年以上も調査を重ねてようやく実現したのだもの、日本も、今すぐにも、オオカミを迎える準備を始めなきゃいけない。

 そういう「すぐやる」姿勢、自然環境にお金をかける姿勢、不作為をよしとしない姿勢を、行政がまず見せるところから、オオカミのみならず自国の自然や環境保護への人々の意識改革は始まるのに。政治家は鈍感。日本人は、自国の自然に甘えっぱなしやね。

 かつて日本にいたオオカミに1クリック☆