六畳の神殿

私の神さまは様々な姿をしています。他者の善意、自分の良心、自然、文化、季節、社会・・それらへの祈りの記。

「神さまって いるね」 ?

2006年05月17日 | 心や命のこと
 女子プロレスラー・ジャガー横田(44)が、おめでた報告会見を開いた。外科医の木下博勝氏(38)と04年7月に結婚したが子宝に恵まれず、病院で診察を受けたところ子宮筋腫と判明。妊娠は不可能と診断されたが、手術と不妊治療を乗り越え、3月28日に自然妊娠が判明した。現在妊娠12週で出産予定日は12月。育児方針をめぐり早くも対立している2人だが、報道陣を前にキスを披露するなど幸せぶりを見せつけた。 -Yahooニュースより

 特にジャガー横田に興味はありませんが、お目出度いニュースは誰のものでも嬉しいものです。よかったよかった。

 そして、テレビで流される会見の様子を見ながら、いろいろと考えてしまった。

 年齢を見ると「いんや、まだまだ私だって・・!」と希望が湧いてくる。
 また、「体外受精で失敗した後に自然妊娠」ってあたりも「へぇ~」と思った。不妊治療でダメだったとしても希望が無くなるわけじゃないんだ、と思うと逆に、不妊治療に対するヘンなプレッシャーが無くなって、もっと軽い気持ちで「行ってみるかな」って思える。私も近いうちどこかで診察を受けてみようかな。

 また、仕事のこと。
 ジャガー横田は、妊娠が判明してからの1ヶ月、予定されていた試合をキャンセルしなかった。待望の妊娠なのに、何かあったらと気が気ではなかったろう。「でも、私はプロだから」と。「体外受精の時は、おとなしくしていたのにダメだった。もし試合をキャンセルして皆に迷惑をかけた挙句またダメだったら、その時のダメージの方が大きいと思った」
 この言葉で、ネットの不妊系の掲示板で見たフレーズを思い出した。
「来る子は、くる。来ない子はこない。だから一喜一憂せず、どっしりかまえていましょう。」
 ・・きっと、そうなんだね。どんなにしても、来る子は、くる。どんなに望んでも、おとなしくしていても、来ない子はこない。

 私がこの春、仕事を辞める決断をした理由のひとつに、このことがあった。もしかして仕事のストレスが無くなったら、案外すぐに子供ができるかもって淡い期待を抱いていたのだ。
 でも仕事を辞めてみたら、逆にストレス溜まりまくり 
 なまじ時間があるからアレコレいらんこと考えてしまうし。せっかく仕事まで辞めたのに今月もダメだったかーと思うダメージは大きいし。忙しく作業してる方がずっと気が紛れるし。
 そういうわけで、来月からまた働くことにしました(早!) バイト先も決まったし、心機一転、のんびり頑張りつつコウノトリを待とうと思います。

 それから、もうひとつ。
 ジャガー横田の会見で、旦那さんが感想を聞かれ「いや~、神さまっているね、と思いました」と喜びを語った。
 何ともフクザツな気分になった。

 私の両親がダーリンとの結婚を認めたがらない理由のひとつに、ダーリンがただのサラリーマンだから、ということがある。両親は、ごく素朴に、セレブな人たちを憧れの眼差しで見ている。そして、私を医者にするか、医者や歯科医の嫁にするのが夢で、ずっと頑張ってきた。だから私が勝手に恋愛し、医者や歯医者や大学教授以外と結婚するなんて許せないと考えている。実際、ここ5,6年の間には、大学病院の外科医や、自分の医院を持っている歯科医に気に入られ、私が「うん」と言えばまとまる縁談もあった。なのに首をタテにふらず、今さら、ごく普通の中小企業サラリーマンの嫁になりたいと言うのだから、親が「ハラワタが煮えくり返る」と怒り、会う前からダーリンを拒絶していたのも、情として分からないではない。セレブ婚を夢みる女性たちから見ても、こんな良い縁談を断ったうえで両親の説得に苦労している私は、バカな選択をした人間に思えるだろう。

 誤解のないように言いたいが、私は医師や歯科医師や大学教授は立派な職業だと思っているし、そういうセレブな方たちに素直に尊敬や憧れも感じる。ただ、結婚って「生活」だから、夫にするならどうしても相手に価値観とか人柄とかの相性を求めてしまうし、職業よりも先ずは人格を見てしまう。私は、そういうタチなのだ。
 でも親は言う。「医者になるくらいだから、人格も優れているに違いない。会ってみなくても、人柄は職業でだいたい分かる」と。

 ・・そういうものだろうか?

 ジャガー横田の夫の木下氏も、とても頭の良い、人柄もよさそうなお医者さまだけれど、こういう場面で「神さまって いるね」発言は、どうなんだろうってちょっと首をかしげる。同じく不妊に悩み、神さまに祈り続けている人はたくさんいるのに。同じように苦労して、結果どうしても授からなかった人だってたくさんいるのに。無神経とまでは言わないけれど、願いが届き、自分の思いどおりになったから「神さまって いる」とは。あまりにフツーというか、発言が無邪気すぎないか。

 子供が授かっても授からなくても、それは神さまの采配。こどもがもててももてなくても、人生思い通りにいってもいかなくても、神さまは いる。

 医者という職業なのだから、発言にその程度の心くばりは欲しかった気がする。
 そういう意味では、ジャガー横田の方が、言葉は下手だけれどそのあたりの気配りはちゃんとできていて、人格は上だなって思った。もちろん、医師だからこその苦悩・・医学的な困難さがシロウトよりもリアルに感じられたからこそ、少ない確率を指して「神さま」発言になったとも解釈できるけども。

 ・・って、医師という職業により高い人格を期待しちゃうあたりは、私も両親に劣らず「先生=人格者であるべき」思い込みが強いのかもしれませんケドね。