つれづれに 

老いてゆく日々、興味ある出来事に私見を添えた、オールドレディーの雑記帳です。

笹井氏の遺書の内容をリークしたのは誰?・・・

2014-08-13 | お気の毒です

 STAP細胞問題は、笹井芳樹副センター長の自殺という思いがけない悲劇を生んだ。自殺の原因は究明中ということだが、笹井氏の心中は誰にも分からないだろう。だが、研究一筋に励んできた笹井氏にとって、このSTAP細胞騒動での失態は、余人には計り知れぬ耐え難い汚点となったであろうことは想像できる。
 
報道では、何通かの遺書が残されており、その中には小保方氏に宛てた遺書もあり、手書きで「小保方さん」と書かれた封筒に入っていたとか。その内容は、「もう限界を超え、精神が疲れはてました」「もう心身とも疲れ、一線を越えてしまいました」と吐露し「小保方さんを置いてすべてを投げ出すことを許してください」「こんな事態になってしまい、本当に残念です」などという趣旨のわびる表現が目立ったとか。また、「私が先立つのは、私の弱さと甘さのせいです。あなたのせいではありません」「自分をそのことで責めないでください」と繰り返すなど、かばう言葉が続いていたとも。そして、「絶対、STAPを再現してください」と進行中の検証実験への期待に触れ、最後は「それが済んだら新しい人生を一歩ずつ歩みなおしてください。きっと きっと 笹井芳樹」と結んであったという。 

 理研広報室長はその日の会見で、遺書は4通あるとは言ったが、宛名については「控えさせていただきたい」とし、遺書を公表するかは「ご遺族の意思を尊重する」と語っている。また、小保方氏の代理人に寄れば、小保方氏宛ての遺書はまだ警察にあり、本人は受け取っていないという。それなのに、なぜ、マスコミはこのような内容を知ることができたのだろうか、どうにも腑に落ちない。
 だが、
遺書を開封してマスコミにリークしたのは兵庫県警だという報道もある。つまり、兵庫県警は、遺族や理研の了承もなく、現場で勝手に遺書を開封して検視し、そこに書かれていた文章の断片をマスコミに喋ったというのである。こんなことが許されるのだろうか? 元東京地検検事で弁護士の若狭氏は、遺書の中に公にしても構わないと書かれている場合は別としたうえで、「遺書というのは本当に個人に宛てた最後の手紙・信書ですから、それを勝手にマスコミに公にするというのは警察の捜査としてはあり得ないこと」と語っている。

 この遺書の内容からは、笹井氏の小保方氏への並々ならぬ想いが見て取れる。以前、週刊誌に二人の親密な交際をうかがわせる記事が掲載されたらしいが、こんな遺書が世間に公表されてはたまったものではない。マスコミは、この期に及んでもまだ、笹井氏の死をスキャンダルにしようというのか。夫の自殺だけでも相当なショックだろうに、妻の心情を察すれば心穏やかでいられるはずはない。事実を問い詰めようにも、もう夫はいない。やり場のない怒りや悔しさはだれにぶつければいいのか。そんな遺族の気持ちも考えず、いつものことながら、マスコミってほんとに残酷だね。
 12日に遺族の代理人が記者会見したそうだが、笹井氏の妻と兄宛ての2通の遺書があり、「マスコミなどからの不当なバッシング、理研やラボへの責任から疲れ切ってしまった」と記され、「今までありがとう」「先立つことについて申し訳ない」などの言葉が残されていたという。また、遺族は書面で「論文問題と突然の死去で迷惑と混乱を引き起こしお詫びします。悲しみとショックで胸が押しつぶされそうです」とコメントしたという。
 
今さら自殺の原因が分かったところでどうなるものでもあるまい。これ以上の詮索は笹井氏の人格を貶めることにもなりかねない。世界でも有数の実績を誇る科学者・笹井氏の名誉のためにも、残された家族のためにも、もう静かに逝かせてあげたらと思う。 

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6 コメント

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科学の矛盾! (sirousagigamanoho)
2014-08-13 14:55:17
正義の名のもと暴く、ばらすがまかり通るマスコミ世界。
結局こうして真実が霧の中のまま悲しい結末となった。
古今東西一部の科学者の不正は常に存在していたと云うのが通説であり、一般にも知られている。
「背信の科学者たち」講談社。覗いてください。

残された人々の苦悩と悲しみ、関係者の将来像を考えると暗澹たる気持ちで心痛む事件!
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Unknown (オールドレディー)
2014-08-14 09:26:53
★sirousagigamanohoさま
天下の東大といえども、また有名国立大といえども教授たちの論文不正事件はたくさんあります。
でも、だれも自分の命を絶った人はいません。笹井氏は挫折を知らない人だとか、それだけに耐えられなかったのでしょうね。
科学の世界は、ただ純粋で真面目で研究熱心であればいいというものでもないのですね。もしSTAP細胞が再現できなかったら、マスコミは今度は小保方さんを叩くでしょうね。
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残念です (suri-riba)
2014-08-14 11:13:50
とうとう犠牲者が出てしまいましたね。余人で代われぬ
超有能な科学者の死。大きい損失ですね。

本人にも渡ってない遺書がどうして知り得るのか・・
私も不思議に思っていました。最低ですね、今の
県警関係者、マスコミ。それに理研の関係者。これ以上の
犠牲者を出さないようにしなくちゃね。
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Unknown (オールドレディー)
2014-08-15 09:01:04
★suri-ribaさま
自分の不正ではないのに、なぜ命を絶ったのか。これまでの輝かしい科学者人生の中での唯一の汚点に、さらにCDBの解体提言が相当ショックだったとか。
マスコミの名の下に何をしても許される、それが言論の自由だというのでしょうか。
だれかがリークしなくては漏れるはずはありません。小保方さんや遺族の方が訴えれば、当然罪になるでしょうが、だれが当人かわからなければ泣き寝入りするしかありませんね。腹立ちますね。
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Unknown (飛鳥)
2014-08-16 10:38:12
はじめまして。いつも読ませていただいております。
今回の遺書の件で、私も非常に気になっていたのですが、小保方さんに宛てた遺書を、どうして本人が読む前に警察が読み、本人の手に渡っていないのか不思議でなりません。遺書は、宛てられた小保方さん個人のものであるはずではないでしょうか?警察にそんな権限があるのでしょうか?

そして、マスコミが様々な事件をあおることで、不幸な出来事をさらに発生させるようで、残念でなりません。
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Unknown (オールドレディー)
2014-08-17 09:00:44
★飛鳥さま
コメントありがとうございます。
どんな職業にも個人の秘密を守る義務があります。
とくに人権擁護の点から警察、弁護士などの司法関係の人間はやってはいけないことですよね。
でも、今や警察関係者の不祥事は民間並みで、警察官の資質も最低です。
いつものことながら、言論の自由を笠に着て書きたい放題のマスコミにも腹がたちます。
論文不正事件は他にもたくさんあるのに、この件だけを特別視するのはなぜか? それは小保方氏が女性だからではないでしょうか。やはり女性の地位向上はまだまだ、やはり日本は一流国とは言えませんね。
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