「復興五輪」は掛け声倒れ？・・・

　オリンピック開幕前のアンケートでは、半数以上の人が「反対」だった。が、開幕後のいま「東京五輪は開催して良かったと思いますか？」とアンケートをしたところ、実に77％の人が開催してよかったと回答。世論はすっかり逆転してしまったらしい。
　結果的には、バッハIOC会長が言った「日本の方は大会が始まれば歓迎してくれると思う」のとおりになった。しかしまあ、開催したからには日本選手を応援するのは当然だし、何事もなく無事に終わってほしいとだれもが願っている。
　
　東京オリンピックは新型コロナウイルスの影響で史上初の１年延期となった。変異ウイルスの出現はある程度想定されていたらしいが、誰が今のこの状況を予測しただろうか。こんなことなら延期せず、当初の計画通り、昨年開催しても同じではなかったか。と今さら言っても詮無いことだが、これでは延期した意味がない。　
　今回のオリンピックは、東日本大震災から立ち直った姿を表す「復興五輪」を掲げていた。が、東北の人たちは「コロナが前面に出てしまい、復興五輪の理念が国民に伝わっていると感じられない。政府の復興五輪は掛け声倒れ」と、失望感をあらわにしているという。　

　今回のオリンピックは新型コロナウイルス対策のためIOCが新たなルールを作ったそうだ。私的には「何もここまでやらなくても…」と、少々興ざめしている。
◎表彰式では、メダルの授与は接触を避けるため、プレゼンターが運ぶトレーから選手が自らメダルを取り、自分の首に掛ける。
◎選手、プレゼンター、ボランティアなど、参加者全員は、マスクの着用が義務づけられる。
◎表彰台も金・銀・銅メダリストの間隔を広げ、表彰台中央でのメダリストの集合写真の撮影は行われないという。
　また、メダリストに贈る副賞の花束「ビクトリーブーケ」は、2016年リオデジャネイロオリンピック、2018年平昌オリンピックではブーケはなく、３大会ぶりに復活したとか。
　今大会は東日本大震災からの復興五輪という意味合いも込められているので、被災地で育てられた花を中心にブーケがつくられているそうである。
　ブーケの花材は、黄緑色のトルコギキョウ、ヒマワリ、リンドウ、ナルコラン。サイズは幅が約17cm、高さは約28cmである。
◎トルコギキョウ・ナルコランーートルコギキョウは、福島県が県をあげて生産に取り組んでいる花で、この花の栽培を通して復興への希望となっている農産品だ。葉先の白い覆輪が涼し気なナルコランも福島県産だそうだ。
◎ヒマワリーー宮城県石巻市立大川小学校では、東日本大震災で多くの方が犠牲になった。その後大川小学校の母親が、子どもたちの鎮魂のため丘にひまわりを植え始めた。この実話をもとにして絵本「ひまわりのおか」がつくられるなど、ヒマワリは被災者の想いを伝える象徴的な花で、夏らしさが伝わる。
◎リンドウーー岩手県を代表する花で、日本で生産されているリンドウの半分以上が岩手県産だとか。さらにリンドウの紺色は東京オリンピックのエンブレムと同じ色をしているという。
　そして東京パラリンピックのビクトリーブーケは、少しデザインが異なる。使用花材はピンク色のバラ、黄緑色のトルコギキョウ、リンドウ、ハランだそうである。
　この「ビクトリーブーケ」もやはりトレーから自分で取るセルフ式である。一生に一度あるかないかの表彰式という晴れの舞台で、無観客の上にこの新ルール、握手もなければハグもないという光景は何とも味気ない。