つれづれに 

老いてゆく日々、興味ある出来事に私見を添えた、オールドレディーの雑記帳です。

大学生の死、救急車が派遣されていれば?・・・

2012-10-17 | お気の毒です

 10日の記事より。【山形大2年だった大久保祐映さん=当時(19)=が、119番したのに救急車が派遣されず死亡したとして、母親が山形市に約1000万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が9日、山形地裁で開かれた。市側は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。―後略―。】
 
これは昨年10月の出来事である。山形市の大学生が一人暮らしの自宅から体調が悪いと救急通報したが、その際のやりとりで緊急性がないと判断され、タクシーで病院に行くことを勧められた。大学生はその9日後に自宅で遺体となって見つかった。死亡時刻は通報の翌日頃で、検死の結果は「病死の疑い」とのことだが、正確な死因はわかっていないという。
 
この動画は、その時の消防職員と大久保さんとのやり取りを録音したものである。
   
 昨年もテレビで放送されたが、全会話の録音時間は6分27秒。その間、大久保さんの苦しそうな息づかい、かみ合わぬ会話から、尋常ではないことは素人の私でさえ判断できる。多分、大久保さんは真面目な学生で、救急車を呼ぶことにためらいや遠慮があって、「救急車をお願いします」と言えなかったのだろう。が、最初に「救急車の要請ですか」という問いに「はい」と答えている。そのうち、会話がかみ合わなくなったのは症状が悪化したようにも思えるのだが、あの苦しそうな状態で病院に電話したり、タクシーを呼んで1人で行けると判断したことを適切な対応といえるのだろうか。   
 医学博士の中原英臣氏は、問題のやりとりについて「呼吸が荒い、会話が噛み合ってない、意識が鮮明でない」として、「適切な対応でなかった。すぐ向かうべき」とコメントしている。一方、市側は判断の正当性を主張しているが、当の消防職員はどうだろう。自分の判断で救えたかもしれない命が消えたとなれば心が痛まぬはずはなかろう。   

 山形市の救急出動は、意識があるか、呼吸があるか、1人で歩けるか、出血はあるか、嘔吐はあるか、打撲・腫瘍・骨折の6項目から、緊急性を「総合的に判断」するという。しかし、状況を詳しく説明できる人がそばにいればいいが、1人暮らしで体調の悪い本人に詳しく説明する気力があるとは思えない。救急を要する電話で6分32秒間ものやり取りはどうかと思うし、緊急性の判断を即決できないようでは困る。
 
電話応対のため相手の表情が見えない通信指令課と、救急車で現場に出向いて患者と接する救急係とでは、求められる知識や判断基準は異なるという。結局は、電話を受ける消防職員独自の判断によるということになるのだが、「人命救助が第一の使命」とする消防・救急隊員ならば、通報者の息づかいや声の様子などから緊急性を判断するだけのより高い知識、能力が要求されて当然である。   

 昨今、救急車をタクシー代わりにする不正利用者が増加していることから、救急車有料化の問題が、再度、検討課題に挙がっているという。私は有料化になってもいいと思うが、有料にすると生活に苦しい高齢者や貧困な者が救急車の使用をためらい、命を落とすこともあるという。しかし、有料化することで安易に救急車を利用する人を減らすという一応の目的は達せられるだろう。その後は、119番に電話をする人の「性善説」を信じるよりほかはないが、それでもダメなら、救急車に乗せてからこの状態は有料か、無料かの判断を救急係に任せるというのはどうだろう。 

 私も7月に、同じ階の住人と話し中、その人が突然意識を失って倒れ、あわてて119番したことがある。開口一番、「救急車をお願いします」と言ったからか、くどくど質問することはなく、住所・氏名・住居の構造・エレベーターの有無や、患者の様子を簡単に聞いて、すぐ出動の手配をしてくれた。しかし、私はできれば救急車のお世話にはなりたくないと思っている。わが町では救急車を呼ぶと消防自動車も一緒にサイレンを鳴らしながらやって来るので、近所中に知れ渡って大ごとになるのがイヤなのである。が、田舎町のこと、12時を過ぎるとタクシーは動かないというから、それ以後は救急車のお世話にならざるを得ないのである。

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5 コメント

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オールドレディさま (suri-riba)
2012-10-17 21:43:50
このニュースを聞いた時、胸が張り裂けそうでした。
「救急車がある」と言うだけで、どれほど安心して生活出来ていたか・・・。
生活保護制度同様 悪用する輩の為に、本当に必要な人が
とばっちりを喰う。日本人の性善説は、どこへ行ったの?と
頭を抱えている日々です。
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Unknown ()
2012-10-17 21:59:48
恐いですね。消防署は病んでいる患者にこれだけ喋らすのですが。
健康な人でもこれだけ喋らせられると嫌になりますね。
患者が1人暮らしと分かっただけでまず走るべきではないのでは、現場の状況が分からないのだから。
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Unknown (オールドレディー)
2012-10-18 09:25:31
★suri-ribaさま
親御さんは1000万円の損害賠償を求められていますが、金額の問題ではなく、市側に謝罪を求めると同時に、二度とこのような悲劇が起こらないようにして欲しいと言われているのです。
責任を問うのならもっと大きな金額を要求するはずです。それだけに悔しさ、悲しみが察しられ、憤りさえ覚えます。
市側は争うことなく謝罪すべきです。


★亀さま
6分27秒という時間が、体調の悪い人にとってどれだけ長く感じられるか。それも分からないような消防職員の資質を問題にすべきです。
やり取りの途中、会話がかみ合わなくなった時点で、救急車を派遣すべきでした。
よくあれだけ冷たいことが言えたものだとあきれると同時に腹が立ってきました。

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Unknown (うらら)
2012-10-19 12:32:01
大変ご無沙汰です
9ヶ月ぶりにユックリpcを開いています

レディーサンは日々健康でお過ごしの様子

突然の体調変異で闘病生活をしいられました
まだ全快と云う訳に行きませんが
ほぼ、目前が開きましたのでほっとしてます
突然のブログ のお休みで
(・・・元々まめに投稿はしていませんが
心配してくださっているのでは~~
まだまだ、ユックリ・ぼんやり・ダラダラと
過ごします
時々又お邪魔します
返信する
Unknown (オールドレディー)
2012-10-19 19:13:40
★うららさま
時々お邪魔していましたが、1月よりまったく更新がないのでどうされたのかなと気にはしておりました。
まさか闘病生活を送っていらしたとは、全く考えたこともありませんでした。
長い入院でしたのでしょうか。大変でしたね。
でも、お元気になられてよかったですね。

うららさんの名前を見て、びっくりしました。
よくお忘れにならず、うれしいです。

これから寒さも深まります。どうぞくれぐれもご自愛ください。
更新があることを待っております。でも、ご無理をなさらずにね。
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