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片雲の風に誘われて

自転車で行ったところ、ことなどを思いつくままに写真と文で綴る。

3/7 安堂ホセ 『デートピア』読了

2025-03-06 22:59:13 | 読書
 今日図書館に行ったら、新刊コーナーで見つけた。この春の芥川賞受賞作だ。借りる人がいなかったのだ。私も書評やマスコミで取り上げられているのを見ていると、積極的に借りて読んでみたいとは思わなかった。
 南の孤島で、一人の女性を巡って10人の男性が争い、最後にだれが勝ち残ってその女性を得られるかという恋愛ゲームが行われる。
その10人の男性はほとんどが白人で欧米から選ばれてきている。その中に日本人が1人参加している。恋愛ゲームの賑やかしとして、途中現地の若い女性や多様な性向を持つ男性などが登場する。その中に、日本から来た男は10人の中の日本人とは幼馴染で、中学の時その男に睾丸の一つを取り出す手術をさせている。恋愛ゲームの話だけでなく、この二人が中学生以降どのような経過でここまで来ることになったかも語られる。
 そこにはジェンダーの話、父権性、子の自由などが物語られるが、どうも私にはその話についてゆくことができない。選考委員たちはそれぞれその新規性などをほめているが、私は追いつけない。かつて大江健三郎や石原慎太郎が出てきた時にも年寄りたちは同じ感想を持っていたのだろう。芥川賞はそもそもそんな文学賞なのだが。
 
 今朝エリーを連れて家を出たところで、エリーが近所の犬を見つけ突然そちらへ走り出した。私は不意を突かれて引きずられ転んでしまった。手のひらやら膝を擦りむいた。娘がエリーとランニングする時用に、体に巻き付けて途中にクッションが入ったリードを最近買った。これは私も使ってみると、時に両手を離すとことができ、うんこを拾ったりするときに都合がよい。ここ数日これを使用していた。いつもはエリーの動きを注視しているので引っ張られても応えられるが、今朝は予期していなかった。手持ちであったら手を滑って転ぶことはないだろうが、子供に向かって走り出した時などはそれも危険だ。
このことで今日は一日沈んだ気分で過ごした。
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2/18  乗代雄介著『二十四五』読了

2025-02-18 15:00:59 | 読書
 先日の『十七八より』の続編だ。主人公の阿佐美景子は二十四五になっている。二つ年下の弟の結婚式に出るために仙台駅に着くところから始まる。新幹線を降りようと通路に並んでいる時に後ろの席に座っていた女学生から声を掛けられる。景子が車内で読んでいた漫画を後ろの席からシートの隙間からのぞいて読んでいたと話しかける。
 仙台は前作で、もう一人の主人公だった叔母ゆき江ちゃんがなくなる前に一緒の旅を計画していた場所だった。それは実現できなかった。結婚式が終わってその翌日、新幹線の中で話しかけていた女学生と彼女の家の近くの古墳であってこの小説は終わる。
 弟の結婚相手は小学生時代の学習塾の同級生、参列する友人たちも幼馴染。みんなの昔話に幾度もゆき江ちゃんが登場する。景子の脳裏にはいつもゆき江ちゃんだったらどう言うかなどとの思いが顕われる。
 前作が2015年、それから十年経っている。作者の語りも自然になってすんなり入ってくる。前作の十七八の少女の思いにはよく理解できないところが多かったが、今作の二十四五の女性の心の動きにはついてゆける。ということは実際の今頃の二十四五の女性よりずっとませた女性に描かれているのかもしれない。それにしても作者が上達していることは十分感じられた。この後の『三十七八』が楽しみだ。
 今日は朝から妻が用事で出かけた。バラのマルチはできないので、来週の留守の間に薪が切れることが心配なのでチェーンソーでカットした。午後も続けるつもりだったが、カップラーメンの昼食の後上の本を手に取って読み始めたらとまらなかった。結局午後の仕事はできなかった。
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2/13 乗代雄介著『十七八より』読了

2025-02-13 14:33:47 | 読書
 2024年下期芥川賞の候補に彼の作品『二十四五』がノミネートされた。受賞には至らなかった。上記『十七八より』は彼のデヴュー作で群像の新人賞を受賞している。その選考委員であった多和田葉子や高橋源一郎には高く評価されたようだ。今回の候補作は上記の続編にあたるということらしい。それで先に読んだ。彼の最近の作品『それは誠』『旅する練習』など読んだが二つとも芥川賞の候補には上がったが受賞には至らなかった。
 読んだ二作品は分かりやすく素直な物語だったが、このデヴュー作は難しい作品だ。高校生の夏休みの一ヶ月を描いている。彼女に大きな影響を与えた叔母が癌で亡くなる。多感でクレバーな少女がこの一ヶ月にいろいろなことを経験したり思い出す。彼女の周りで彼女とかかわる両親、弟、保健体育の男性教師、中年の国語教師、国語教師の主催する読書会で席を並べる男子生徒。それらはみんな叔母との会話の思い出につながる。2010年代の群像の新人賞に選ばれそうな作品だ。次に読む『二十四五』はそのほぼ十年後を描く作品になる。もう少し熟して読みやすい作品になってくれていればよいのだが。
 作者は今後もほぼ十年ごとにこの女性の話を書いてゆくつもりだと表明している。
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2/11 三国美千子著『骨を撫でる』、宮島未奈著『成瀬は信じた道をいく』読了

2025-02-11 23:58:42 | 読書
 書架の中でこの書名が目に付いた。作者の名前も知らない。『青いポポの果実』と中編二編が収録されている。
 大阪の河内、土地の旧家らしき家族の話。もう中年になった息子に厳しくできず、それに息子が付け込んでいる。それを苦々しく思っている姉が主人公だ。苦々しく思っていながらその弟も母親も認めてしまう。関西らしい話の展開である。表題の中編を読み終わるのがやっとだった。併せて収録されている方は読みかけて続かなかった。
 『成瀬は天下を取りに行く』の続編だ。図書館にあったが借りられていたので予約した。今日借り出してすぐ読み始め読み終わった。
京都大学に入学した成瀬が、大津市の観光大使になって活動する話だ。前作ほどの新鮮感はないが読みに誘われる。著者はこれでしばらく成瀬シリーズで稼げるだろう。
 昨日の山歩きで足の筋肉痛やら攣りで余り外に出なかった。
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2/8 森沢明夫著『夏美のホタル』読了

2025-02-08 16:47:30 | 読書
 どこでどんな書評を見たのか忘れてしまっていたが、読んでみるリストに挙っていたので借りてきた。ただしどの作品の書評かも忘れていたので並んでいる中から選んだ。著者の作品は映画化されたものも多いようだ。しかし私が観た記憶にあるものはない。
 ごく若い男女が、房総の山中の村でたまたまトイレを借りた田舎の店で出会った年老いた親子と知り合う。親切な親子で、お茶を出してもらって話すうちに梅雨時はホタルが群舞する川が近くにあると聞く。それを見に再来する。二人はそこが気に入って、使っていない離れを借りて週末東京から通うようになる。男は大学の写真学科の学生で、卒業写真を何にしようか悩んでいる。自然豊かなこの村でいい写真が撮れることを期待する。店を営んでいる親子は足の不自由な62歳の息子とその母親だ。息子の父親は彼の生まれる前に亡くなっている。また本人は結婚して子供が生まれてすぐ建設現場の事故で身体を壊した。不自由な体では母子を幸せにすることはできないと、まだ若い妻に再出発するように離婚を無理強いした。父親を知らない息子が二代続くことになった。そんな親子は若い二人が訪ねてくるのを楽しみにしている。そんなほっこりする話だ。映画にすれば一定の支持者は得られそうだ。しかしそれだけ。更にこの作者を読むかは分からない。
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