安東伸昭ブログ

安東伸昭の行動日記

大臣に見る時代の変化

2015年10月15日 | 政治
平成27年10月15日

 ★大臣に見る時代の変化 時事通信社特別解説委員・田崎史郎【永田町情報】

 自民党議員はかつて、当選を重ねれば、よほどのことがない限り大臣に就任した。大臣になるのが当たり前、ならない議員はけげんな目でみられた。人事権者の首相は党内を操縦する手段として、大臣人事を駆使し、「滞貨一掃内閣」と名付けられた内閣もあった。
 だが、これは過去のこと。時代は変わった。

◇不満は織り込み済み
 昨年9月と今回の内閣改造・自民党役員人事で「入閣待機組」という言葉が頻繁に使われるようになった。衆院当選5回以上、参院は3回以上の議員を指している。
 その数は改造前、66人だった。待機組のうち、今回6人が入閣したので、残り60人。自民党議員の15%に当たる。
 こんなに膨らんだのは自民党史上、珍しい。民主党政権時代の3年3カ月の間に一気に膨らんだ。
 国会議員は自分が一番と思っている。だから、大臣になれない議員は「なぜオレが…」という不満を抱く。
 そのことを首相・安倍晋三は重々、承知している。昨年9月の改造後、安倍に「不満を持つ人が多いのでは?」と尋ねると、こんな答えが返ってきた。
 「不満を持つ人はしばらくすると、次の目標に向かおうという気持ちになるもんなんですよ」
 安倍は、自民党総裁任期が満了となる2018年9月までの間に、党役員の任期1年に合わせて内閣改造を行えば、改造のチャンスがまだ2回ある。そこで大臣になれるかもしれないという期待感を抱かせておけば、求心力を維持できると読んでいるわけだ。実にしたたかだ。

◇政府委員廃止が影響
 こうした安倍の作戦が通用するのは、衆院の選挙制度が1996年に小選挙区比例代表並立制になって以降、派閥が弱体化したからだ。今回の人事で、細田派は4人も押し込み、二階派は経済産業相という重要ポストを手に入れた。それでも安倍は他の派閥の要求には目もくれなかった。
 大臣人事を行う上で、もう一つ大事なポイントは、国会での答弁能力が劣る議員は大臣にすることができなくなったことだ。
99年7月に「国会審議活性化法」が成立し、官僚が答弁する政府委員制度が廃止され、答弁は大臣が行わなければならなくなった。
 79年に時の防衛庁長官(現防衛相)が「これは重大な問題でございまするので、種々なる関係上、防衛局長から答弁をさせます」と言って大問題になったことがあった。今はこんなことは許されない。
 国会での答弁能力が高い議員しか大臣にできなくなったのである。もちろん、政策を十分に理解していなければならない。
 今回の人事を取材していて、官房長官・菅義偉が内々、語った次の言葉が印象に残った。
 「大臣を1年で代えていたら政治主導はできない。自民党議員は大臣にふさわしい、国会答弁ができる人と、自民党で政策のとりまとめや国会対策にあたる人に分かれていくんじゃないですか」
 当選を重ねれば大臣になれるという「常識」を国会議員も有権者も、私たち政治報道に携わる記者も捨てた方がいい。
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