令和4年12月23日
23年度政府予算案
一般会計総額114兆3812億円=防衛費増で過去最高更新
政府は23日、2023年度予算案を閣議決定した。
一般会計の総額は前年度比6.3%増の114兆3812億円となった。
防衛費が大幅に増加し、11年連続で過去最高を更新。初めて110兆円を超えた。
税収は法人税や消費税などが好調で、6.4%増の69兆4400億円と過去最高額を見込んだ。
新規国債発行額は3.5%減の35兆6230億円とし、2年連続で減額した。
◇「防衛力強化資金」創設
歳出総額から国債費と地方交付税交付金などを除いた一般歳出は、8.0%増の72兆7317億円。
新たな防衛力整備計画に充てる場合に限って使用できる「防衛力強化資金」を創設し、
23年度は特別会計からの繰入金や国有財産の売却収入といった税外収入など計3兆3806億円を繰り入れる。
資金への繰り入れ分を除く防衛費は、26.4%増の6兆7880億円で、公共事業関係費(6兆600億円)や文教科学振興費(5兆4158億円)を上回った。
敵の射程圏外から攻撃する「スタンド・オフ・ミサイル」の配備を進めるほか、
弾道ミサイルや巡航ミサイルの迎撃能力の強化といった分野に予算を重点配分する。
防衛省の施設整備や船舶建造を建設国債の発行対象に初めて加え、防衛省関係で4343億円の国債を発行する。
一般歳出のうち、社会保障関係費は、1.7%増の36兆8889億円。
前年度と比べた伸びは夏の概算要求段階で7800億円程度と見積もったが、薬価改定や後期高齢者医療の患者負担割合の見直し、
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う雇用調整助成金の特例の見直しなどで1500億円程度を圧縮し、6154億円の増加に抑えた。
来年4月に「こども家庭庁」を新設し、子ども・子育て支援を強化する。
出産育児一時金を原則42万円から50万円に引き上げるほか、妊婦・子育て家庭に対する経済的支援を継続して実施する。
◇交付税、リーマン以降で最高
地方交付税交付金は、好調な税収により国税の法定率分が増加することから、入り口ベース(一般会計から交付税特別会計への繰入額)で5166億円増の16兆3992億円となった。
22年度に引き続き、国と地方が折半で負担する財源不足は生じない。
交付税特会から自治体に交付される出口ベースは、22年度までの税収上振れに伴う繰り越し財源も活用し、3073億円増の18兆3611億円とした。
出口ベースはリーマン・ショック以降で最高額となる。
地方一般財源総額は1500億円増の62兆2000億円で、前年度と実質的に同水準を確保。臨時財政対策債(赤字地方債)は、
好調な税収を背景に新規発行は行わない。
借換債の発行額は8000億円減の1兆円で、制度創設以来、最少額となった。
総務省予算では、「デジタル田園都市国家構想総合戦略」の策定を踏まえ、自治体のデジタル実装を加速するほか、
デジタルの活用による観光・農林水産業の振興に取り組む。
マイナンバーカードの発行体制整備費には507億1000万円を計上した。
このほか、脱炭素社会の実現に向け、新たな国債「GX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債」(仮称)の仕組みを創設する。
官民で150兆円を超えるGX投資を目指す。
新型コロナや物価高に対応するための予備費は4兆円、
22年度第2次補正予算で新設した「ウクライナ情勢経済緊急対応予備費」は1兆円を計上した。
災害時などに活用する通常の予備費は5000億円。
◇国債残高は1068兆円に
歳入の内訳は、税収が4兆2050億円増の69兆4400億円、税外収入などが3兆8828億円増の9兆3182億円、
建設国債が3070億円増の6兆5580億円、赤字国債が1兆6100億円減の29兆650億円。
23年度の公債依存度は31.1%で、22年度と比べ、3.2ポイント改善した。
一方で、国債残高の累計は、23年度末で1068兆円に積み上がる。
23年度の国債の利払い費は8兆4723億円だが、日銀は20日の金融政策決定会合で大規模金融緩和策を一部修正した。
今後、仮に金利水準が上昇すれば、国債の利払い費の負担が膨らむため、国の財政運営は一層厳しくなることも予想される。