令和6年1月10日
「8000万人国家」で人口安定提言 政府の人口戦略会議
人口減少対策を議論する人口戦略会議の有識者が、岸田首相に提言を手渡した。
提言では、2100年に人口が6,300万人に半減すると推計される中、
8,000万人で人口を安定させる「8,000万人国家」を目指すべきだとしている。
対策としては、内閣に人口減少対策を統括する司令塔組織と、
総理直属の審議会を設置することなどを求めている。
日本の総人口は08年の1億2808万人をピークに急速な減少傾向にあり、
国立社会保障・人口問題研究所の長期推計では、2100年には約6300万人に半減すると予測されている。
提言では、人口減に歯止めがかからない場合、「どのような重大な事態が起きるか正確に理解することが重要」として、
「超高齢化や地方消滅で(社会の)進歩が止まる」と深刻さを強調。
2100年の人口を8000万人で安定させる「定常化戦略」と、小さい人口規模でも多様性と成長力を確保する
「強靱(きょうじん)化戦略」の一体的な推進を訴えた。
定常化戦略は、人口が維持できる合計特殊出生率2・07を達成する時期を60年に設定し、
具体策に
〈1〉若者の雇用改善
〈2〉女性の就労促進
〈3〉総合的な子育て支援制度の構築
――などを挙げた。
強靱化戦略では、生産性の低い産業の改革や人への投資の強化が重要だとした。
これらの戦略を進める体制として、内閣への「人口戦略推進本部(仮称)」設置のほか、
勧告権を持つ首相直属の強力な審議会、各界各層に議論を呼びかける国民会議の創設を提起。
国会に常設組織を設けて超党派の合意を目指すよう要請した。
岸田首相は9日、首相官邸で三村氏らから提言を受け取り、「官民で連携して社会の意識改革に取り組んでいきたい」と述べた。
三村氏は東京都内で記者会見し、「現役世代には次の世代の未来に対する責任がある」として、
社会全体での意識共有を求めた。
人口戦略会議は昨年7月に発足し、元総務相の増田寛也・日本郵政社長や
人口問題担当の山崎史郎・内閣官房参与らが参加している。
提言は10日発売の「中央公論」2月号に掲載される。