ということで、買って持ってるシグマ120-400mmをすっ飛ばしまして、一時使用してみたニコンのVR 70-300mmについて、ちょっとだけインプレ。
正式には、AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-F5.6G (IF) というそうですが、長いっつーの!(笑)
なお、例によって基本的には「マニアが使ってどう感じたか」を述べるだけの内容です。きちんとしたレビューとか分析記事はWeb上にゴマンとありますのでそちらを参照して頂きたいと思います。
D300に装着したらこんな感じです。
まずはとにかく実写画像。
いつもどおりに小田急です、芸がなくてスミマセン。
[D300, AF-S VR ED 70-300mm(300mm), Av, 1/500, f5.6, ISO 800]
小田急線玉川学園前~鶴川間、トンネル抜けた先の鶴川4号踏切から。
ややオーバーめになってしまいました。
テレ端で換算450mm、超望遠レンズとしての仕事も結構こなしてくれるようです。
このポイントに関して欲をいえば、もうちょっと焦点距離が欲しいです。
[D300, AF-S VR ED 70-300mm(195mm), Av, 1/800, f5.6, ISO 800]
同じ場所から、換算300mm。
ここは500mmくらいのレンズが最適なポイントですので絵柄的にはイマイチですが、写り的には十分じゃないでしょうか。
[D300, AF-S VR ED 70-300mm(70mm), Av, 1/800, f5.6, ISO 800]
同じ場所で、反対側を向いて。
ここで下りを撮る人はあんまりいないと思いますが(笑)。
換算105mm、編成写真を撮るにはもう少しワイド側に余裕があると嬉しい。
[D300, AF-S VR ED 70-300mm(210mm), Av, 1/400, f6.3, ISO 800]
読売ランド前付近のコーナー上り側から。
曇天で光量不十分な条件でしたので暗い感じになっちゃいましたが基本的な写りには問題ないです。
[D300, AF-S VR ED 70-300mm(70mm), Av, 1/250, f5.6, ISO 400]
同じあたり、歩道橋の上からの俯瞰。
色合いが変なのは私の現像テクのせいです、スミマセン。
[D300, AF-S VR ED 70-300mm(300mm), Av, 1/640, f5.6, ISO 800]
場所を移しまして、百合ヶ丘~新百合ヶ丘間。
百合ヶ丘駅を出発した下り4000形。
ちょっと晴れ間が見えたところ。色も良さそうですが、ViewNXが使いこなせていないのでなんだか変(笑)。
結論を先に言っちゃいますと、評判どおりのレンズでしたよ、これ。
描写はとても良いです。
晴天下で使っていないのであまり大きなことは言えませんが、ズーム全域で安定しています。
開放から無理なく使えて常に一定の写りを確保できそう。
赤いロゴが誇らしげ、VRⅡ付きで実勢価格が5万円台というのは格安かも?
AF速度は普通です。別段速くはないですが、小田急線を撮る程度ならあまり不自由はしません。新幹線だと苦しいかも知れないな。
ちょっと気になったのは、場面によってAFが妙な挙動を見せたこと。時々変な具合のピント外れ(=予期せぬ大アウトフォーカス)が見られたのです。まあ、使い方の問題か、ボディ側の問題か(なんせ私のD300は中古機ですので)、あるいは個体差だとは思いますが。
VRⅡは定評どおり。テレ端まで十分効果あります。換算450mmでも無問題。被写体ブレの影響が出ない範囲のシャッター速度なら手ブレを防いでくれていまして、素直に「これは便利だ」と思いました。
ピントリングは、フルタイムマニュアルフォーカス(ワンタッチMF)が可能、もちろんAF時に回転しないですから操作性良好です。
ズーミングはスムーズ。ズーム部は1段なので、伸長時もそんなに下品な?伸び方はしません。ロック機構はないですが持ち運んでも伸びなかったです。
フードはいちおう花びらフードですが、まあ気休め程度かな? 過度の期待は出来そうにないですね。植毛処理はされていません。
全体的な造りは良いです。表面処理は安っぽくはないですがまあ価格相応。手触りは良いですよ。
デザインは好みの別れるところでしょうけど、ピントリングが細すぎ&ズームリングが太すぎで私はカッコ悪いと思います。もちろんそんなことは操作に影響ありませんけど(笑)。
気になった点を2つ。
まず暗さ。もちろんこのレンズに限った話ではありませんが。
テレ端でF5.6、ワイド端でさえF4.5。少なくとも鉄道写真用に万能とは言い難いです。
VR 18-200mmも似たようなものですが(F3.5-5.6)、あちらはそもそも135mm付近よりテレ側は画質的にやや難がありますし、走行写真を撮る焦点域としては70-300mmの方が適していますから問題はこちらの方が深刻。
たとえば曇天日陰で列車の走行写真を撮るに場合には、ボディの高感度性能に頼らざるを得ません。
ISO 800以上、欲をいえばISO 1600まで常用できる高感度耐性のあるボディを用意するか、もしくは高感度画質への寛容さ(笑)が要求されます。
また、暗さのもう1つの弊害としてファインダーを覗いた時の気持ちよさがスポイルされている点も挙げておきます。
それから大きさ。300mmF5.6の4倍ズームとしては大きすぎやしません?
昔から「ニコンの普及ズームは大きめ」という印象があるのですが、それにしても感覚的にはふた回りデカい!
無理のない設計とのトレードオフなのだろうと推測しますが、どうせ大きくなるのならもうひと回り大きくしても良いからF4.5通しにしてくれれば面白かったのに。
ま、いずれも騒ぐほどの弱点ではないと思いますけどね。
そんなわけで本筋と違うところで文句を言ってみましたが(笑)、全体としては評判どおり手堅い造りの好レンズでした。なにせ安くて便利でよく写りますから。
イマドキの「高感度耐性の高いボディ」+「F値を欲張らない安価で暗い便利なズームレンズ」+「強力な手ブレ補正」というコンビネーションで「確実に被写体を写し止めよう!」という安パイ狙いのレンズ選択ならうってつけのレンズでしょうね、人気があるわけだ。
そうそう、これは単純に好みの問題だと思いますが、ズーム範囲が私にはあまり扱い易くなかったです。
フィルム時代の一般的なズームのスペックをそのまま持ってきても、APS-Cフォーマット機にはイマイチ適合しづらいような気がします。
70-300mm=フルサイズ換算105-450mmとなります。つまり中望遠域の真ん中から超望遠に入ったあたりをカバーしている格好で、いささか中途半端でした。
私はフルサイズで400mmオーバーの焦点域はもはや特殊レンズの域と考えるべきだと考えます。ですので、準“便利ズーム”ともいえるこの類のレンズがカバーしている必要はないんじゃないかなぁ?
テレ側をもうちょっと控えめで良いからもう少し明るくして欲しかった。
理想をいえば、フルサイズ換算で100~300mm域あたりをカバーしてF4通しのレンズとかあったら良いのに...ん? EFにあるって? 知ってて言ってるんだよ!
おまけ。
化粧箱が色合いのせいか?ワインとかの洋酒の箱みたいに見えません?
...うーむ、この容量で5万円とはまたずいぶん高価なワインだ(笑)。