ニコンD300を1年半使ってみて 〈その1〉、の続きです。
■そんなD300にも不満点がいくつか
...といった事情で大変気に入ったD300なんですが、やはりというか何というか、慣れて来て初めて気付く部分もちらほら。わずかながら引っ掛かる部分が目につき始めました。
やはり私は根っからキャノン党なんですねぇ、馴染めないところはどこまでも馴染めないものです(^_^;
主な点を挙げてみたいと思います。
【発色】
私がD300で困った最大の難点が色合いです。
記録フォーマットがJPEGでもRAWでも、どうも私の意図する方向の発色にならないのです。ViewNXでの現像処理でもどうにもなりませんでした。
「何がどんな風に」と言葉で具体的な傾向を示すのは難しいのですが、全体的に鮮やかすぎるというか、デジタルっぽいというか、とにかく好みでないのです。
特に困ったのが、子供の幼稚園の写真です。深紺色の制服が妙に浅く紫っぽい色になってしまったり、えんじ色の帽子がなんとも言いがたい微妙に派手な色になってしまったり。最終的にはPhotoshopで手を加えて調整していますが、あまりスマートなやり方とは言えないですよね。
もちろん「RAW撮りなら結局は現像のウデの問題じゃねーか!」というご指摘もあろうかと思います。それはごもっともです、反論の余地がないです。でも、EOSのRAWデータをDPPで現像するとわりと容易に狙った方向性の色調に追い込めます。もしもウデだけの問題なら、EOSのRAW現像もダメダメな筈ではないかと思うのです。つまりこれは、私とニコンの相性が悪いとしか言いようがないのではないか、と。
【操作系:メインダイヤル/サブダイヤルの役割関係】
操作系におけるニコンとキャノンとの文化の違いは顕著ですが、やはりその点は多少なり引っ掛かりました。
よく指摘される「ダイヤルの回転方向の違い」に関しては、カスタムメニューを使う事で意外なほどすんなり馴染むことが出来たのですが、むしろ私が最後まで身につけられなかったのが、メインダイヤル/サブダイヤルの役割分担です。
EOSの場合、メインダイヤルの受け持つパラメータが撮影モードによって切り変わります。
まとめるとこんな感じです。
・シャッター優先(Tv)モード メイン電子ダイヤル:シャッター速度/サブ電子ダイヤル:露出補正
・絞り優先(Av)モード メイン電子ダイヤル:絞り値/サブ電子ダイヤル:露出補正
D300は、撮影モードに関わらず2個のダイヤルが受け持つパラメータは変わりません。
私はメイン/サブの機能入れ替えを「する」、簡易補正を「使用する」にしていたので、まとめるとこんな感じす。
・シャッター優先(S)モード メインコマンドダイヤル:露出補正(簡易補正)/サブコマンドダイヤル:シャッター速度
・絞り優先(A)モード メインコマンドダイヤル:絞り値/サブコマンドダイヤル:露出補正(簡易補正)
Aモードではメインダイヤルで露出決定/サブダイヤルで露出補正、Sモードではサブダイヤルで露出決定/メインダイヤルで露出補正となります。つまり露出補正操作は、常に主パラメータ(Sモードならシャッター速度)とは反対側のダイヤルで行う事になります。この切替えが私の脳みそにはしっくり来ませんでした。
【操作系:露出補正値の固定方法の違い】
露出補正操作の違いも、なかなか乗り越えるのが厳しい点です。
EOSではサブ電子ダイヤルで露出補正値を設定し、補正値はそのまま固定されます。
D300では、露出補正ボタンを押しながらメイン or サブダイヤルの操作(上述のとおり撮影モードによる)で補正値を設定しますが、2ボタン操作の露出補正はEOSに慣れた私にとっては煩雑な印象が拭えません。
ただ、この2ボタン操作を好まないユーザーも少なくないのか、D300には簡易露出補正機能が用意されています。カスタムメニューで簡易補正をONにしておくと、露出補正ダイヤルを押さないでも補正が可能です。ただし簡易補正のため、半押しタイマーOFFで補正値が解除されてしまいます。被写体の動きを追いかけて間を置きながら間欠的に連写するような場合(撮影→数秒ファインダーで追いかけ→撮影→数秒追いかけ、というような)にはあまり親切ではないと感じました。
【MB-D10を使った縦位置での操作性】
私は縦位置グリップMB-D10を多用していましたが、前述の露出補正ボタンを始め、AEロックボタンやAF-ONボタンが縦位置側にはありません。これはちょっと使いづらいです。
縦位置グリップ一体設計のEOS-1D系と直接比べる気はありませんが、キャノンのBG-E2やBG-E7は縦位置グリップ側にもボタン類がひと通り装備されています。配置が使い易いかどうかはともかく「縦横問わず同じ感覚で撮らせる」仕様になっていて親切だと思います。
【操作系:AFフレーム選択操作】
D300のマルチセレクターによるAFポイント選択は、EOSのサブ電子ダイヤル+ボタンでの操作に慣れた身にはどうもしっくり来ませんでした...などと言いつつ、露出補正に関してはD300の2ボタン操作を嫌っているのですから、われながら身勝手だと思います、ハイ(笑)。
...D300に対して私が抱いた不満点は、ざっと以上のような感じです。
正直いって、これらはいずれも「良いか悪いか」という問題ではなく、好みというか慣れというか、そういうレベルの話なんですが、やはり15年も1つのメーカーを使っていると想像以上にその文化が身体に染みつくもので、そう簡単には切り替えられないものだなぁと痛感しました。
補足的に書いておきますと、キャノン&ニコンのダブルマウント体制はデメリットではありませんでした。
Web上でしばしば見かける意見に、「キャノンとペンタックスといったような傾向の全然違う組み合わせならまだしも、二強のキャノン&ニコンを併存させるのは無意味」というものがありましたが、私はそんなことないと思います。
たとえば、中古や特売といった点を加味して“良いタイミングで”“良いレンズを”手に入れるには、ダブルマウントの方がチャンスは広がるのでメリットになります。
確かに予算面で多少の余裕が要求されますし、レンズのカバー範囲が被ると無駄な感じもしますが、巧く棲み分けが出来れば2マウントは悪いものではない、というのが私の結論です。
■そして、EOSを取り巻く状況の変化
かようにD300への不満足点を抱える中、EOSデジタルを巡る状況が少しずつ良い方向に変化を見せ始めました...多分に「私にとって」のみの改善ですけれども(笑)。
何が変わったか?
端的に言えば、手を出せる価格の上質なボディが現れてきたのです。
1つは、EOS 7Dの登場でやっと満足な中級機が使えるようになったこと。実際に買うかどうかは別問題としても、これまで無視されていたマニア的ニーズに応える選択肢がようやく提供されたのは大歓迎です。
もう1つは、EOS-1D系が代替わりしてEOS-1D MarkⅣが登場したこと。これによって1D MarkⅢの中古価格が一気にこなれて15万円前後まで下落...おおっ、これならちょっと頑張れば買えます!
私はもともとEOSの操作系に馴染んでいますし、とても気に入っています。
写りに関しても、30D&40Dを一時使用した経緯で好みに合う事は分かっています。また長らく所有している無印EOS-1Dsは大変好みです(...もちろん、初代1Dsの写りがEOSの一般的な画質といえるかは意見の分かれるところなのは承知しています)。
EOSシリーズに対する明確な不満点といえば、手に入れ得る価格帯のボディがことごとくチープな作りで気に入らなかった事だけです。
とどのつまり、満足できるボディがリーズナブルな価格で手に入るののであれば、私にとってはEOSがベストの選択肢ということになります。
余談的に述べれば、これらのカメラそのものの話とは別次元の話として、キャノン社のユーザーを舐めきった企業姿勢に対しては大いに不満はあるのですが、製品そのものとは関係ないですからここでは置いておくとしました(笑)。
■結局...
そんなこんなで、一時はキャノンをミニマムまでシステム縮小してニコン中心でシステムを組もうかと考えていましたが、なんだかんだで結局EOSに回帰する事を決意。
'11年1月下旬、中野のあの中古屋さんで、こいつを身請けして来ました。
EOS-1D MarkⅢ、中古AB-品。¥141,000-也。
10万越えの買い物なので無責任に「安い!」と言い切れるものでもありませんが、それにしてもずいぶんと手頃になったものです。中古とはいえこのクラスのボディを手にすることが出来るのは、マニア的には嬉しい話。
ただ、これ1台でD300の任務を100%カバーするのは困難です。D300の縦グリ非装着時の機動力や、フラッシュ内蔵による利便性はEOS-1DMarkⅢでは得難いものですからね。そのため、補完的にEOS 40Dあたりの手頃な中古品を1台購入しようかと思っています。40Dの中古って3万円台半ばなんですよ、これは激安だと思いますね!
あとは、EFレンズをどうするか。手持ちのEFレンズは全体的に古い物が多く、そろそろデジタル世代レンズへの入れ替えを考えたい時期でもあります。
手始めに中核レンズとしてアレ(←なんだ?)を導入しようかなー、なんて候補は頭に思い描いていますが、安い買い物でもありませんからもうしばらく悩んでみようと思います。
ちなみにD300。
基本的には手放す方向で考えています。
使い勝手の良いバランスの取れたボディですし、1年半も使い込んで愛着も湧いているので惜しいのですが、同じような傾向の一眼レフボディをたくさん抱えていても1人じゃ使い切れませんので(笑)。