子守唄

初めて出逢ったのは　いつの頃だったかしら？

春の　ある日

カエデの枝に芽生えた　小さな　小さな手を　見つけた

暖かな日差しを探るように　指を広げていった葉は　

やがて　柔らかな薄緑色になり

初夏の風に　さやさやと　囁き合っていたね

夏になれば

大きく広がる枝は　緑のドーム

充ちている　木の香

木漏れ日が　きらきらと微笑んでいたね

別れの秋は　華やかに

紅に　黄に　彩られた葉は

やがて　

一葉　一葉と　散ってゆく

お眠りなさい

大地に還り

また　いつか

春の日に　逢おうね