ISO成功法

ISOと継続的改善を両立させよう。ISOは継続的改善のための、基盤整備に役立つ。基盤整備と継続的改善のコツを整理したい。

52.ビジョン

2006-11-20 | 継続的改善52
ビジョンをトンネルの出口の光と説明した人がいた。
いま足元が混沌として危険でも、光に向かって進む勇気をあたえてくれる。
たとえ今は、かすかな光りだろうと、近づけば体を突き通す暖かい光りがあるのは、大いなる希望である。
誰もがその光りを体験して、それを覚えている筈である。
感動したり、恋をしたり、人生を熱く語り合ったりという経験は、人を豊かにする。

ところが仕事に関してはビジョンを見出せない。仕事ばかりか生活についてもビジョンを見出せない。仕事と生活を簡単に割り切っているのは、仕事のなかでの熱い経験がないからだろうか。
子供の頃から、なんでもすぐ手に入る環境にあるから、欲しいものを我慢して待つ心が育たない。手に入れるための時間が心の虚しさを知るきっかけを作り、人を大人に成長させる。「お金を儲けることは悪いことですか」と居直り「お金で何でも買える」と自分を正当化した人がいたが、大人になりきってないのだろう。
心理学者E.フロムが指摘するように「人間というシステムは、物質的な欲求だけが満たされて、生理的な生存が保証されても、人間独特の欲求や能力――愛、思いやり、理性、喜び、など――が満足させられなければ、本来の機能を発揮しない」ということであろう。
最近起きている事件や企業の事故から、いじめに至るまで共通するのは、人間としての発達障害である。

お金で買えるもの所有できるものだけに価値を見出すのでなく、「いまここに」ある自分を受け入れる気持ちが必要である。
その自分における変革を前提として、職業生活における生きがい:QWL(QUALITY OF WORK LIFE)を追求する自由と希望がなければならない。
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51. 高シナジー経営

2006-11-19 | 継続的改善52

良い部品を集めてもよい製品ができるとは限らない。
これと同様に、優れた人がいるだけでは、よい会社になるとはいえない。
優れたシステム・組織には多少問題がある部品や人を集めても当り前のものを作る能力がある。
これがマネジメント力である。

普通、良い悪い、優れているか否かを考えるとき、一定の水準・目標で考える。
部品を購入するときの方針、人に関しては採用方針で大まかな目標が決まる。
当然、方針のあるところには予算がある。予算内で最大の成果をあげるためどう実践するかが、出来栄えと言う品質に関係する。

このように、方針、目標から一歩前に進んで品質について、きめ細かに考えることが品質管理である。

別の視点から考えたい。
自動車会社のような組立て会社はなぜ利益をあげているのか。
組立て製品の価値は部品の価値に影響される。
製品の価値を上げるためには、良い部品を少しでも安く買うことが大切である。しかし、力任せの部品購入は部品メーカーの利益を圧迫するので、長続きする方法ではない。

長続きするためには、部品メーカ-と組立てメーカーの共存共栄を図れる方法が検討されなければならない。
まず重視すべきは、技術力である。
以前ある部品メーカーで自動車メーカー各社の図面を見せてもらったことがある。
ほとんど同じ部品を注文するのに、図面に要求される内容がことなる。もし図面の要求に従って製作したら、2から3倍のコストの差が出てくるという。
さすがと言えるメーカーの図面はシンプルでおさえどころが明確に指示されている。
品質管理しやすい図面はコストも検討された図面である。

次ぎにシステム力である。
付加価値を考えると同じように、人や技術、情報を組織化して付加価値をあげるため、システムはどのように計画され管理されなければならないか、考えたことはあるだろうか。
1+1を2にするためには、システムはいらない。
システムの目的は相乗効果(シナジー効果)を高めることにある。
いまはシステムと言うとISOである。ISOがはじまって以来、メーカーからの監査がふえている。バカの一つ覚えのように監査を繰り返すが得られる効果は少ない。
売り手と買い手が腹を割ってお互いに何をしたいのかをまず決めるべきである。その後ISOを利用するなら良い。「始めにISOありき」はそろそろ卒業すべきである。

最後に改善力である。技術もシステムも継続的改善という実践がないと陳腐化する。
そして、継続的改善という活動がシナジー効果の源泉であることを理解すべきであろう。
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49. ボトムアップマネジメント

2006-11-18 | 継続的改善52
トップダウン、ボトムアップという二元論はにがてである。
欧米の組織はトップダウンであるのに対し、日本の組織はボトムアップであるという見方があるが正しくない。経営は本来トップダウンであるがこれにボトムアップも加えようとしたのが日本流の全員参加による経営である。

言葉は恐ろしいもので、一度ボトムアップと言う言葉が生まれるとその反対のトップダウンと対比して考える。対比し出すとどちらかが正しく一方は間違いと言う結論の出るまで繰り返される。間違った二元論、弁証法は危険である。

経営は目標を追求する活動だから基本的にトップダウンといえる。
ところが目標と現状のギャップがありすぎて、それを埋めるための経営資源が投入されない限り目標は達成できない。そのために現状把握が必要だが、ボトムアップが機能しないとトップに正しく現状が伝わらない。

イエスマンの取り巻きや、チャレンジ精神のない中間管理者の多い組織では、トップダウンもボトムアップも不十分になる。

組織をいくつかのパターンに分類してみよう。
トップダウンとボトムアップの双方向のできている組織。
トップダウンのみでボトムアップの不足している組織。
ボトムアップのみでトップダウンの不足している組織。
双方向ができている組織は問題ない。ボトムアップのみの組織は長続きしない。
多くの組織がどちらかが不足している組織である。

不足を補う方法に方針管理やQCサークル活動がある。
この活動も双方向が機能しないと長続きしない。
方針の双方向を実践するために、「方針のキャッチボール」を徹底した会社があった。
QCサークル活動も上位者がいつも関心を示し具体的な支援をしないと長続きしない。
上位者がQCサークルの成果の水平展開を行い、成果を拡大することを、QCサークルに対する「お礼」とよんでいた会社があったが、このような会社はボトムアップを実践している会社といえる。

いずれにせよ継続的改善は双方向でないと長続きしない。
そのためにはボトムアップを意識して実践する必要があろう。
日本の経営はボトムアップであると言う誤解にわるのりして、ボトムアップマネジメントというコンセプトで品質管理をまとめてみようと考えている。
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50. 強い文化を創ろう

2006-11-17 | 継続的改善52
ここ何年か感じていることがある。
その気持ちはますます強くなるばかりで、変化の兆しが見えない。
国全体が狂気に向かって突き進んでいる。

かすかな希望は、このような危機感を感じている人がいて、変化が起きるだろうという漠然とした感覚である。
年末になると、宗教団体が街に繰り出し終末論を声高に叫ぶが、このような危機感の演出でなく、価値観の変化をきっかけにしたパラダイムシフトである。

混沌とした暗いトンネルを抜け出し、パラダイムシフトが起きるためには、多くの人が危機感を共有することである。

退化する日本の品質文化を総括すると、まず、
高度成長の自信が、日本人を高慢にしたことである。
人をだめにするには、おだて続ければよい。
特におだてに弱い日本人は、それまでの、ひたむきな努力をやめ、バブル後遺症ともいえる経済成長というバブルの夢のなごりを目的とした生活に切り替えた。人が経済的安定を求めることは間違いではないが、経済格差の拡大は避けるべきである。
勝ち組みと負け組み、富める者と貧しい者、外観だけの判断で格好いいものとそうでないものを分ける、低俗なテレビのお笑いの手法を使い、格差を面白おかしく演出する。

格差がエンターテイメントの材料になる時代である。
生真面目さ、おもいやり、暖かさは流行らない。
どんな時代であろうが「いじめが文化になる時代」はまともとはいえない。
このような文化をなんと表現するかわからないので「弱い文化」と言っておく。

謙虚な日本人が高慢になり、経済格差が拡大する方向での、たてまえとしての品質が、品質文化をおかしくしている。

つぎに、ものづくり現場の欧米化である。
国際化の名の下に、なぜ、レベルを落とさなければならないのか、理解できない。
国際化とは、しっかりした文化を持ち、海外から尊敬される国になることで、国際貢献することではないのか。
従来の品質文化を捨て、なぜ国際標準に切り替えなければならないのか、理解に苦しむ。
しかも、レベルダウンというおまけ付きまで必要なのか。
国際化のための規格戦略の間違いである。

それでは、どのように「弱い文化」から「強い文化」へパラダイムシフトすべきかであるが、資源の少ない日本の足元を見つめ直し、継続的改善活動という現場、現物、品質中心の活動を再構築することと思う。
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47.マネジメントと人の問題

2006-11-16 | 継続的改善52
ISO/TS16949 6.2.2.4:従業員を動機付けるプロセスを持つこと。
継続的改善を行うこと。品質目標を達成すること。革新を行う環境を創造すること。これらの動機付けと活性化のプロセスをもつこと。

保守的なISOで「革新」という言葉が出てくるのは、ここぐらいである。
ISOは顧客と約束することを前提とした文書であるから、確実に実行できること、実行していることしか書けない。ISOの認証取得の難しさは今後したいことを文書にできないことである。これが、手かせ足かせになり、革新と程遠い消極的な対応しか出来なくなる。

このような消極的で静的なプロセスから脱皮するためには、動的でダイナミックな活動を中心としたプロセスが必要である。

これが、動機付けと活性化のプロセスである。
品質目標を達成する活動をおこなうこと。
継続的改善という活動をおこなうこと。
従業員一人一人が革新に主体的に取組めるように意識を変革すること。

品質管理の活動の基本はPDCAというデミングのサイクルである。
品質目標のPDCA。
継続的改善のPDCA。
革新を行う環境を創造するPDCA。

活動の良さは双方向なことである。
双方向だとそこから新しいものが生まれる。

どのような「教育」が動機付けに役立つ教育なのだろうか。
教えるものと教えられるものが固定している教育では双方向になりにくい。
OJTといわれる現場教育は、教えるものも学びながら教えるので、共に成長することができる。その意味からも、現場教育、実務教育は継続的に進めなければならない。
継続的改善のためには継続的教育が不可欠である。


継続的改善から革新へ

さて、改善するためには、問題点の原因を調査して、原因の除去や原因の影響をなくすことが必要であるが、原因はわかっても制約条件のため対策が取れないことがある。このような問題は他部門や上位者が関係する問題であるから、解決を依頼しなければならない。
組織全体で改善に取り組んでないとこのような問題は解決できない。

解決されない問題が放置されると慢性化する。慢性化され習慣化されると、システムのような働きをする。望ましくない悪い循環はそのようにしておきる。相乗効果は良い方に対してだけ起きるのでなく、負の相乗効果の方がスピードがある。
「悪貨は良貨を駆逐する」である。

革新が必要なのは、慢性化され悪い習慣となったことに対してであり、組織における継続的改善の欠陥に対してである。

「継続的改善、品質目標の達成、革新の為の環境の創造」を結びつける総合的活動を検討する必要性がある。従来の日本のTQCが求めたものである。


革新のために一番必要なこと

いつも忘れられていることだが、革新に一番重要なことは、上級管理者の教育である。
多くのマネジメントの本は、上級管理者が良く理解していることを前提に書かれている。
しかし、この前提が間違いであることが多い。

教育というとおこがましいので、事あるごとに報告して確認やレビューすることを習慣づけるよう提案したい。いわゆる双方向のコミュニケーションを活用する。

中でも重要なのは、戦略的な新製品開発におけるデザインレビューや品質評価など開発の各段階の区切りで行われる活動に参画してもらい意見を述べてもらうことである。この前段階のプレゼンテーション、後段階のレビューが大切である。

多くの上級管理者は自分の力を過大評価しているから、人の話を聞こうとしないことが多い。戦略的意思決定の場に立って、責任のある意見を述べてもらうことが大切である。

上位者が進んで教育を受ければ部下も熱心になれないことを理解してもらう必要がある。上位者は組織の風通しをよくするため、トップダウンとボトムアップの双方向を実践すべきである。
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46. ハイリスク・ハイリターン

2006-11-15 | 継続的改善52
リスクとは「海図なき航海」を意味するポルトガルやスペインの言葉が語源だそうである。当時の冒険家はリスクを承知で敢えて大海にのり出した。地球の果てに行くと海が滝のように落ちていると信じる船員を説得しての冒険である。不安と新しい発見、名誉を得ることへの期待で冒険を繰り返した。そのためにできる限りの準備も惜しまなかった。スポンサーは国王や貴族であるが、成功すれば、新しい植民地や貿易の拠点が開発できる。そのようなものが、リスク管理の本質である。

成功することがわかりきっていることへの投資は、リスクといわない。
最近本業を離れバーチャルな資金運用に夢中になる経営者が増えて社会問題になっている。成功する確率に投資するのは、ベンチャーキャピタルの仕事である。
前向きな経営者は信念よりむしろ情熱に投資する。自分がどれだけ熱くなれるかに賭ける。成功する経営者は冒険家の心を持っている。
ハイリスク・ハイリターンに挑戦する勇気と楽しみを持っている。 

開発:developmentの意味は、囲まれた領域(velope)から外に(de)でることを意味する。以前、ある教育学者と人間の成長モデルについて研究したことがある。彼は欲求の段階や自己実現の研究で有名なW.マズローの直弟子で、人間の意識の進化についての研究をしていた。
人間の成長について考える。人は生まれながら大きな能力と可能性をもっているが、成長の過程で多くの制約条件を学習させられるため、能力が限定されてくる。
成長するためには、その制約から外に飛び出し、新しい領域を手に入れることで能力を身につけていく。人間における成長と企業の成長は多くの類似性がある。

現状打破、経営革新とは、従来の殻を破ることである。
人間も成長するためには精神的に脱皮しなければならない。最近大人が少なくなった。
大人の企業も少なくなったように思う。

問題という氷山の海面から出ている部分は顕在問題、海面下の次の層は慢性問題、一番底の部分をリスクゾーンと名前をつけたが、潜在的で組織によってはタブーや制約とされている分野である。大人の社会では不要な規則や規律があり、あきらめと否定形の企業文化があり、裸の王様がいる。
このリスクゾーンから現状打破しよう。精神的に脱皮しよう。そのためにこそ品質管理を活用しよう。
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第5章  シナジー効果をあげる継続的改善

2006-11-14 | 継続的改善52
日本の改善活動を高く評価したのはドラッカーであるが、「改善とは強い点をより強くすることである」と解説した。弱い点を直すことが改善であるが、それを繰り返すうちにいつの間にか強くなっているのも改善である。ドラッカーはPDCAを繰り返す改善を継続的改善活動と理解したうえでの解説である。
さすが時代を洞察する人の言葉は違う。そのドラッカーが「マネジメントとは強みを発揮させ、弱みを無意味なものにすることである」といっている。

あなたの組織の強い点、優れた点はなんですか。
または強くしたい点、改善したい点はなんですか。
その強さをますます強くする工夫や活動がありますか。
それを顧客や社会にどのように説明していますか。

人間は自分の強さを自覚してないことが多いが、組織も強みを自覚してないことが多い。
強さを自覚してないから、ますます強くするための工夫や活動にも気付いてない。
スポーツの選手を考えても、一流の選手は一流の目標を持っている。
子供が一流になりたいという夢を持つのは大切だが、環境や愛情を持って育てる人がいなくては、努力が継続しない。

強さを自覚するため、教育、方針や目標など多くの方法があるが、それが活かさせていない。たとえば、方針が抽象的で、何をどのように強くしたいかという具体的目標がないことが多い。
デミングのサイクルでは、品質に関する意識と責任感をベースにPDCAという継続的活動が繰り返される。

教育、方針、目標、継続的改善などは優れた経営の道具であるが、強くしたい目標と目標達成の気構えがなくては何も生み出さない。

まず、現状の組織の強い点を自覚できる人を育てること。
強くしたい点を発見し継続的改善をできる人を育てること。
それらの人を中心として組織にシナジー効果(相乗効果)をあげるため継続的改善活動にとり組む必要がある。
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45. 予防処置

2006-11-13 | 継続的改善52
8.5.3:不適合の発生を予防するための処置をとること。
予防処置の手順は、不適合の予測と原因の特定、予防処置の必要性の評価、処置の実施、処置の結果の記録、これらの活動のレビューである。

ISO9000の定義によると、是正処置は再発防止処置であるが、予防処置は発生を未然に防止するためにとる処置ときわめて曖昧である。手順も是正と予防の区別がされてない。
ISO規格作成の段階で、十分議論が出来てないか、それともあきらめたかは定かでないが、
規格作成者の多くの委員がこの第8章の作成についてあまり熱が入ってないか、無知かのいずれかである。

このようなときは、組織で独自に定義をしておけばよい。
ここでは、是正処置は顕在問題に対する処置であるのに対して、予防処置は潜在問題に対する処置としておく。

問題には規格や基準を決めておくことによって顕在化する問題と、慢性問題のように潜在化している問題がある。潜在問題は「探す問題」といわれ、顕在問題を解析することにより明らかになる。また、慢性問題は管理上の問題であることから、管理や目標を抜本的に見直そうとする意志がない限り問題として認識されることはない。

品質管理を実施してなくても製品を作っていれば、検査の規格はあるから顕在問題はある。
品質管理をすると管理項目を決めることにより、管理上の基準や目標を決めるから、従来着手されてなかった慢性問題にも目が届くようになる。

氷山の一角といわれる品質問題の山を思い浮かべて欲しい。
規格は海面であり、海面から外にでている部分が顕在問題である。
海面の下には、管理上の問題である慢性問題がある。
ついで、一番底の部分には、経営上の機会損失がある。
これは従来の制約を変えるなどの創造的破壊をしようとしない限り問題は見えてこない。
当然制約を変えることにより多くのリスクを伴う。経営者が先頭に立って、ハイリスク・ハイリターンを実践する度胸があるか。そのための創造力、洞察力があるかである。
このようなことは、そうざらにあることではない。自分の経営者としての使命感でこれに踏み切れるかである。
経営者が自ら品質管理を実践するのはこの部分に対してであるが、経営者が品質管理を理解してないとこの問題は顕在化されない。

品質管理は予防管理であるといわれる。
予防をどう定義するか、どの範囲の参画で進めるかは、企業で決めることである。
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44. 是正処置

2006-11-12 | 継続的改善52
8.5.2:不適合の再発防止のために是正処置をとること。
是正処置の手順は、現状の問題点の把握による不適合の内容確認、多くの原因の中から原因を特定すること、原因に対する処置の必要性の評価、処置の実施、成果の把握と処置の結果の記録、標準化と成果の展開のための教育、これらの活動のレビューである。

是正処置の手順はQCストーリーというQC的問題解決をそのままISOに使っている。
品質管理の進んだ現場では、事実に基づく問題解決の手法、考え方を活用し成果をあげた。
三現主義というが、これは考え方だけではない。現場は改善のための「宝の山」である。
優れたトップは現場に出向いて自分の解決すべき問題を探す。現場の現状からトップとして自分の指導の問題など反省する機会が得られる。
最近、その器量のないトップが増えている。統計的手法の能力と自分が謙虚になり反省する能力である。
事実の見方、考え方がQC的問題解決と結びついているから成果に結びつくのである。
この問題解決の手順が「QCストーリー」であり、そこで活用される手法が「QC7つ道具」である。

この誰でも活用できる統計的手法の普及が日本の現場を強くした。
これらの手法は現場第一線のみでなく全ての階層が理解しているから成果につながる。
例えばある大企業では、トップに対する報告もQCストーリーでA3一枚以内にまとめられたため、報告と意思決定の時間が短縮された。

このQC的問題解決は組織のなかでの共通語である。
最近製造現場では海外の労働者が増えている。
それらの人々を単に機械の一部として使うのでなく、質の良い仕事を要求するなら、共通語としてのQC的問題解決を教育すべきである。

現場第一線で解決できる問題は経営全体の問題のごくわずかであるが、大部分の問題の前兆は現場でおきている。現場とのコミュニケーションが取れてないということは、目隠しの状態で経営していることに等しい。いまの日本の現場で起きていることはそのようなことである。
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43. 継続的改善

2006-11-11 | 継続的改善52
8.5.1:品質マネジメントシステムの継続的改善を次のような手段と機会を活用して行うこと。品質方針・目標の展開と管理、顧客の要求への対応、是正、予防処置、監査およびマネジメントレビュー、製造工程の管理など。

ISO規格は本来、売り手と買い手の契約について定めたもので、組織内部の活動について必要以上の規制を加えるのは規格の範疇を超えるものである。そのため、文書化、システム化は詳細に規定し、8の「測定、分析及び改善」になると大雑把になる。継続的改善は日本の要求があってISOに加えられたと聞くが、やはり改善という活動まで規格にすることに無理があるようだ。個人的な見解を述べるなら、大失敗である。当然のこと、継続的改善という実践的活動においては企業文化や特殊性を活かすべきであり、規格で規制すべきものではない。また、規格は文書化できる範囲を示したものとして、規格の範囲と役割を分けたほうが使いやすい。今では何でも文書化という頭の固いカタログ人間を増やしてしまった。

これら改善という活動をどこまで標準化するかという考えは、日本のような国と世界に植民地を増やそうとする欧米の考えでは大きな差がある。
改善は弱い点を是正することであるが、「強い点をさらに強くする」ことも大切である。
このためには、改善結果の成果の水平展開や技術的、システム的に強い点を組み合わせて、さらに強くすることを考えなければならない。

本来、このようなことにシステムが必要になる。
従来結びつきを意識してなかった組織をシステムに織り込むということは、従来以上の力を出すことが目的である。

部門間の壁をなくしベクトルを統合させること、新たな品質文化を作り上げるために従来の障害を取り除くことなどを考えてシステムの基盤整備を行うことが大切である。
ISOの認証取得などはそれができるまたとないチャンスのはずであるが、そのようなことを考えていない。

相乗効果をあげることがシステムの目的である。
その目的を達成してないシステムは、文書やフローチャートを書いた段階にすぎない。
継続的改善という実践活動でシステムを活用し生かすことが大切である。

ISOに限ったことではないが新しい何かに取組む時、あまりありがたがらないほうが良い。
目的を考えて、戦略的に取組むことが大切である。システムが先行してそれに人間が振り回されるようになるのは、オートメーションを批判した、チャップリンのモダンタイムスに等しい。
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