仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

目黒の秋刀魚 / 春風亭一朝

2017年12月06日 | エンタメ
落語『目黒の秋刀魚春風亭一朝
噺は、「秋。殿様が目黒まで遠乗りに出掛けたが、突然のことだったので供の者は弁当を持ってきていなかった。辺りは田園風景ばかりで何もない。一同が腹をすかせているところに、どこからか、煙と共に旨そうな匂いが漂ってくる。"あれは何の匂いか"と聞くお殿さま。家来が、"秋刀魚という下魚でございます。高貴なお殿さまが口に召すものではございません"と答えたものの、百姓が"隠亡焼き"にした十匹の秋刀魚をすべてたいらげてしまい・・・」という内容。
"隠亡焼き"とは、網を使わず、真っ赤になった炭の火の中に直接秋刀魚を突っ込んで焼くという焼き方のことらしく、これが一番美味しいのだとか。
魚は鯛しか食べたことがないという殿さまが初めて食べた秋刀魚がこれだったのだから、その美味しさによほど驚いたはずだ。
あまりの美味しさから家来には分け与えず、全部一人で食べてしまい、これには家来衆もガッカリしたということだが、その際の上目遣いの演技が何とも雰囲気が出ていて良かった。
(^。^)
「いっちょう懸命頑張ります」と言う春風亭一朝師匠は、五代目春風亭柳朝(1929年~1991年)師匠の弟子。
東京都の出身ということもあって、テレビドラマの江戸ことば指導を行なったこともあるらしい。
さて、枕では、かつて落語協会で行われていたという"真打昇進試験"のことを話されていた。
落語協会柳家小さん会長の自宅道場につくられた即席の高座で、五代目柳家小さん(1915年~2002年)師匠、三代目三遊亭円歌(1929年~2017年)師匠、四代目三遊亭金馬師匠、十代目金原亭馬生(1928年~1982年)師匠、五代目春風亭柳朝(1929年~1991年)師匠、古今亭志ん朝(1938年~2001年)師匠、七代目立川談志(1936年~2011年)師匠、五代目三遊亭圓楽(1932年~2009年)師匠、十代目柳家小三治師匠といった名人たちを前にして一席やらされたのだという。
「誰も笑わない。噺を直されたやつもいる」というような興味深い話で、これも面白かった。
(^_^)

喜劇・いじわる大障害

2014年02月25日 | ムービー
『喜劇・いじわる大障害』(1971年/藤浦敦監督)を見た。
物語は、「1970年代。田舎で何不自由なく生活していたおぼっちゃん・猪狩次郎(岡崎二朗)は、"東京で一旗あげてやる!!"と決意し、従兄弟の談次(立川談志)を訪ねる。しかし、到着早々電車でスリ被害にあってすっからかんになり、警察署内で偶然居合わせた女詐欺師(宮城千賀子)にもカモられてしまう。挙句の果てにはインチキ産婦人科に担ぎ込まれて法外な請求をされる等まったくツキに見放されてしまったようだったが、そこに電車内で見かけた春子(夏純子)が現れて・・・」という内容。
立川談志監修とあって、三遊亭圓楽(五代目)、三遊亭小円遊林家木久蔵三遊亭円歌毒蝮三太夫といった『笑点』のメンバーや林家三平(初代)が出演している。
そして、"インチキ産婦人科医"といえばもちろん漫談のケーシー高峰であり、さらに、見るからに怪しく最もインチキ臭い登場人物(不動産屋)を演じているのが喜劇俳優の南利明である。
話し方も態度も着ている服ですら、何もかもすべてがインチキに見えるから凄い俳優さんだ。
(^。^)
主役の俳優よりも脇役陣のほうに存在感があって楽しいのだが、物語全体ではそのような素晴らしい要素を活かしきれていないのが残念だ。
ただ、廃坑になったなった炭鉱からダイヤモンドの鉱脈が発見される等、映像以外の発想は面白い。
そういったところは落語家が監修してくれているだけのことはあるのだが、期待をして見始めてしまった分、内容には少しガッカリしたのだった。