石川啄木(いしかわ・たくぼく)といえば
明治半ばに活躍した歌人、詩人です。わず
か27歳という若さで亡くなったのですが
多くの有名な短歌が残されています。先日
の道東の旅で釧路市を訪れた際にたまたま
石川啄木の銅像を見つけました。釧路湿原
の観光が目的でしたがあいにく天気が悪く、
霧にかすんで湿原も見れなかったので市内
を散策したのです。啄木は岩手の人なので
釧路に縁があるとは全く知りませんでした。
22歳の時に釧路新聞社に入社し単身赴任
で滞在していたのです。しかし、文学への
情熱が冷めず、わずか76日間の滞在で
上京したそうです。この滞在がきっかけで
啄木は新聞社を辞めて本格的な歌人の道に
進むことになります。見知らぬ街で思いが
けない歌人の足跡に出会えるのも、旅の楽
いみのひとつですね。
コロナが収束傾向にある中、娘が働く道東
の地を訪れてきました。道東とは北海道の
東で知床、根室、霧多布、釧路の旅でした。
その日の天気に景色が左右され、霧で全く
見えない日や晴れ渡った日と目まぐるしい
ものでした。天気の悪い日は写真のように
幻想的で景色を想像するしかなく。
晴れた日は知床峠から遠くの国後島まで
見えて、感動の景色が広がりました。
天気だけはどうしようもないので、気分を
切り替えるしかありませんね。北海道の楽
しみは本州では見られない動植物に出会う
ことです。但し、野生動物は運まかせなの
で動物園で見る動物とは違った感動があり
ました。千葉ではすでに夏が訪れています
が道東は冬〜春の気温で最高気温が10℃
の時もあり、今年は特に寒いようでした。
北国では厳しい冬を越えた分、人だけでな
く、全ての動植物に春の喜びがあるように
感じました。
『街道を行く』シリーズは司馬遼太郎さん
が亡くなる直前まで25年間書き続けた壮大
な歴史紀行文です。全42巻もあり国内だけ
でなく、司馬さんはアジア、ヨーロッパ、
アメリカまで歩き回られていました。最近、
ちょこちょこ旅行をする機会がありますが
ガイドブックを見るよりも『街道を行く』を
持参することが増えました。旅行先の土地の
文化歴史を知るだけで単なる観光とは異なる
趣きがあります。この城は昔、誰が治めて、
どういう戦いがあったのかとか想像を巡らす
だけで、タイムマシンに乗った気持ちになり
ます。旅行に行ったり、本を読むのが苦手な
方もおられるかと思いますがお勧めのテレビ
番組があります。毎週水曜日の夜、NHK BS
で放映されている『街道を行く』です。約20
年前の番組の再放送ですが、懐かしさとと
もに日本の歴史文化を学び、旅に出たくなる
番組です。
比叡山といえば千日回峰行が有名ですが、
先日、この回峰行の道の一部を歩く体験を
しました。千日回峰行は比叡の山道を真言
を唱えながら各所で礼拝して回る修行です。
7年間に1000日歩く修行で最初は1日に
約30km最後には1日約80kmも歩く厳し
いものです。回峰行の道は上の写真の様な
山道です。その途中に玉体杉という二本に
分かれた大きな杉の木がありました。
立札によると回峰行者はここで立ち止まり
京都御所に向かって玉体加持(天皇の安泰
をお祈り)をするそうです。平安時代に京
の都を守るために鬼門の方向にある比叡山
に延暦寺が建てらた事と深い関係があるの
でしょう。先日も、京都の街並みを見下ろ
しながら平安時代に思いをはせる事ができ
ました。