二銭銅貨

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西部の娘/MET10-11舞台撮影

2011-02-01 | オペラ
西部の娘/MET10-11舞台撮影

作曲:プッチーニ
演出:ジャンカルロ・デル・モナコ
指揮:ニコラ・ルイゾッティ
出演:ミニー:デボラ・ヴォイト
   ジョンソン:マルチェッロ・ジョルダーニ
   ランス:ルチオ・ガッロ
   ソノーラ:ドゥウェイン・クロフト

強いパワーを最後まで安定に制御して疲れを知らないデボラ・ヴォイトはそのまんま西部の女性で、多分若い時には中西部のタフでかわいい西部の娘だったんだろうなと思う。実際に中西部の生まれらしい。ライフルが良く似合う。対するマルチェッロはどう見てもイタリアンだけど、歌はデボラ・ヴォイトに負けない迫力でエンジン全開だった。保安官のルチオは真面目な感じで一所懸命、ちょとワルの保安官を演じていた。歌は迫力があって良かったが、見た目はちょっと間抜けな感じ、でも、それがこの役に合っていた。銀行の代理人のアッシュビーをやっていたキース・ミラーがボールドのユル・ブリンナー風でかっこ良かった。広くて深い、美しいバリトンで注目された。この人は前にもどこかで見たようで、どうもカルメンだったらしい。

演奏は美しく軽快、迫力と活気があり、イケイケの物語を良くリードしていた。強さとしなやかさを感じた。インタビューのニコラはいつものように楽しさがはちきれていて、演奏も同様だった。舞台ではライフルが撃ちまくられて、ほとんどお祭り。最後は米国ならではのハッピーエンド。そう言えば、登場人物は男声だらけで、女声は2人しか居なかった。

美術はクラシックな感じの西部劇風で、これも良かった。演出はオーソドックスな古い米国の西部劇映画のようで楽しかった。

おそらく、主人公の設定が影響を受けていたのは「アニーよ銃を取れ」のモデルになった実在の射撃の名手、アニー・オークレイだったのではなかろうか。名前が似ている。

最後は皆がミニーに免じて盗賊を許す場面。裁かれるものも、裁く方も、民衆も、みないい加減。まさに無法地帯。米国の精神を良く表現している幕切れだった。無法とはすなわち自由、自由とはすなわちチャレンジ、チャレンジとはすなわち進歩。寛容の社会でもあり、厳しくもある。淘汰の社会でもある。銃とカードとイカサマと友情。どんちゃん騒ぎで面白かった。

11.01.29 東劇


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