二銭銅貨

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ドン・ジョバンニ/国立音大2012

2012-11-03 | オペラ
ドン・ジョバンニ/国立音大2012

作曲:モーツァルト、演出:中村敬一
指揮:ヴィート・クレメンテ、演奏:国立音楽大学オーケストラ
出演:ドン・ジョバンニ:北川辰彦、レポレッロ:新造太郎
   エルヴィーラ:田宮実香、ドンナ・アンナ:藤原唯
   オッターヴィオ:芦田瑞樹、大野彰展、騎士長:小林啓倫
   ツェルリーナ:吉田望弥、マゼット:大川博

オーケストラは、緩急、強弱の激しいレチタティーボのような、演劇的な演奏だった。「お手をどうぞ」はいくらかレチタティーボの重唱のような感じになっていて面白かった。エルヴィーラの田宮はレチタティーボの部分をしっかりアリアのように歌って、アリアの部分は逆に抑揚の強い、感情を込めたレチタティーボのような歌い方だった。ドンナ・アンナの藤原は素直で真っ直ぐな感じで、ツェルリーナの吉田を含めて3人のソプラノは良く声が出ていた。タイトルロールの北川はカッコいいドンジョバンニで、ややニヒルな感じ。声は金属的な輝く声と、そうでないのとがあって、例えば「シャンパンの歌」の時は金属的な方、舟歌の「窓に姿を見せておくれ」の時はそうでない方というようになっていた。レポレッロの新造は楽々と芝居して楽々と歌っているような感じの軽いレポレッロだった。声は良く通るバリトンで良かった。マゼットの大川には声に重みと迫力があって、芝居にはマゼットの怒りっぽさやおっちょこちょいぶりが良く出ていた。オッターヴィオの2人は似た感じのテノールで、真面目な新人さんの雰囲気。

美術は白い柱が何本かと左側にバルコニーを配した簡単なもので、小さなカーテンを降ろして置物の交換をしたりして場面転換をしていた。素直な演出で分かりやすかった。

ドンジョバンニの楽しさは良く出ていたと思う。クレメンテの極端に演劇的な指揮と、北川のちょっと甘めなニヒルさが印象に残った。

12.10.21 国立音楽大学講堂大ホール

12国立劇場10月/塩原多助一代記/歌舞伎

2012-11-02 | 歌舞伎・文楽
12国立劇場10月/塩原多助一代記/歌舞伎

塩原多助一代記

序幕:上州数坂峠谷間の場   
二幕目:第一場:下新田塩原宅門前の場
   :第二場:同 奥座敷の場
   :第三場:沼田在田圃道の場
   :第四場:同 庚申塚の場
三幕目:第一場:横堀村地蔵堂の場
   :第二場:同 裏手の場
四幕目:   :神田佐久間町山口屋店先の場
五幕目:   :昌平橋内戸田家中塩原宅の場
 大詰:第一場:本所四ッ目茶店の場
   :第二場:相生町炭屋店の場

三津五郎、橋之助、錦之助、孝太郎、
團蔵、東蔵、巳之助、吉弥、権十郎

52年振りの復活上演。「青の別れ」での馬のアオは、口を開き耳を動かし、まぶたを閉じるすぐれもの。一所懸命、主人を思う芝居が良かった。アオの登場では客席から数名の拍手。名場面の東京復活。

三津五郎は多助と悪党の小平の2役で早替わりがある。熱演。橋之助も多助の友人と小平の母の2役でクール。吉弥が多助の義理の母で険のある表情が良かった。その愛人の侍役に錦之助。綺麗な顔した悪党の眼光の鋭さが良く光った。孝太郎は出番は少なかったがコミカルな少女役が面白く、ウケていた。巳之助は元気よく溌剌。

五幕目の実父の團蔵、実母の東蔵、それに多助の三津五郎と、タイトで緊張感のある芝居に気迫があった。ビシッと締まって、負けまいとする3人の気迫が良くそろって舞台に輝いた。

12.10.14 国立劇場