二銭銅貨

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フィレンツェの麦わら帽子/国立音大2015

2015-03-17 | オペラ
フィレンツェの麦わら帽子/国立音大2015

作曲:ニーノ・ロータ、演出:中村敬一
指揮:河原忠之、演奏:オペラプロジェクト・オーケストラ
出演:
ファディナール(主人公)   :金山京介
エレナ(花嫁)        :高橋薫子
ノナンクール(花嫁の父)   :久保田真澄
ヴェジネ(主人公の叔父)   :千葉祐輔
フェリーチェ(主人公の従者) :瀧川幸裕
ボペルテュイ(アナイーデの夫):小鉄和弘
アナイーデ(浮気夫人)    :小林菜美
エミーリオ(浮気相手の軍人) :清水勇磨
シャンピニー男爵夫人(麦わら帽子の元所有者):中川香里
アキッレ・ディ・ロザルバ(男爵夫人の友人):鈴木雅人
ミナルディ(バイオリン奏者) :伊藤太郎
帽子店の女性         :水野裕子
警備隊員           ;秋山和哉
警備隊伍長          :森田学

全体的に明るく楽しい雰囲気に満ちて美しいオーソドックスな4幕ものの喜劇。しっかりとした序曲があり、2つ合唱による間奏曲(インテルメッツォ)もある。序曲はフィガロの結婚のようなテンポの速い元気で迫力のある演奏だった。全体に重唱や合唱が多く、シャンピニー男爵夫人の重唱とエレナの重唱が良く、合唱はベッドの所のものや帽子屋のものが面白かった。最後のフィナーレの合唱はソリストが少し絡んで美しく展開する音楽で最後はフェードアウトするようにして消えて行く。少し現代的な終わり方だった、この最後の合唱が一番の聴き所だった。

金山京介はでずっぱりと言っていいほど出番が多く大変だったが、元気に動き回って歌もしっかりしていた。この役がこのオペラの心棒。高橋薫子の花嫁役はやや目立たない無色な役だったが演劇的な歌いかたで情熱的に演じていた。久保田真澄はもの凄く大きな金槌のような強力なバスで迫力があった。千葉祐輔はずっと腰をまげて年寄りの役をコミカルに演じた。小鉄和弘は迫力があって安定している。イライラしっぱなしの芝居が良い。小林菜美は声が美しいソプラノだが、役はややダーティな中年女性。清水勇磨も迫力があって良かった。小林菜美との芝居も良いアンサンブルだったと思う。中川香里は安定して美しいメゾで、ゆったりと余裕の雰囲気でこの天然な感じの男爵夫人を演じた。この場面はちょっとオペレッタを見ているような気分だった。鈴木雅人は真面目そうなしっかりしたテノールで安心感があった。伊藤太郎はバイオリニストらしく、劇中に舞台でバイオリンの独奏をして舞台上で歌手達を躍らせる役。

オーケストラの演奏は元気があって、そして合唱とのアンサブルも美しかった。

盛りだくさんな感じのオペラで楽しい美しい重唱と合唱がたくさん聴ける。もう一度と言わず何度でも見て見たい。

国立音大のオペラ演奏研究部門の研究成果発表公演。

15.03.05 国立音大講堂大ホール

リゴレット/東京文化会館(二期会)2015

2015-03-15 | オペラ
リゴレット/東京文化会館(二期会)2015

作曲:ヴェルディ 、指揮:アンドレア・バッティストーニ
演出:ピエール・ルイジ・サマリターニ/エリザベッタ・ブルーサ
演奏:東京フィル
出演:リゴレット:成田博之、ジルダ:新垣有希子
   マントヴァ公爵:山本耕平、スパラフチーレ:伊藤純
   マッダレーナ:加藤のぞみ

硬い岩のようでもあり、またその岩を砕くさらに硬い刀剣のようでもあった。豪快でシャープ。高速でエネルギーに満ちた迫力のある音がホール全体に響いた。弦が刀剣。打楽器が岩。成田と新垣の声はそうした強烈な音に良くアンサンブルするだけの強い声を出していて凄いと思った。歌のほとんどの部分は抑えた演奏で歌を壊さないようにしていたけれども、最後の方のリゴレットとジルダの2重唱では遠慮のない演奏となった。それでもその声が消されることは無かった。

山本耕平は軽い、ちょっと能天気な感じの役作りでもあり、また歌声でもあった。深刻で重いリゴレットとジルダとの好対照になっていた。スパラフチーレの伊藤純は重厚でぐっ深く妖しい感じだった。

セットは本格的なもので衣裳も含め豪華な作りだった。明るい感じの1幕目、2幕目に対して、暗い最後の幕の対照が印象的だった。

パルマ王立歌劇場の主要なプロダクションによる提携公演

15.02.22 東京文化会館

避暑地で乾杯!恋のカクテル/第一生命ホール

2015-03-14 | オペラ
避暑地で乾杯!恋のカクテル/第一生命ホール

原作・演出:牧野真由美、協力:小野寺東子
出演:
掘美留子(フォルビル/ランスへの旅):光岡暁恵
安土恵那(アズチェーナ):牧野真由美
鳥井銅太郎(トゥリッドゥ):澤一了
蒲原徹(ドゥルカマーラ):大石洋史
宮野多喜子(?)「ブロンズ・リリー」のピアニスト:瀧田亮子

安土恵那は最初、優しく美しいオンブラマイフから始めて、アズチェーナのアリア、カルメンのジプシーソングへと移行する。アズチェーナのアリアは子を失った悲しみ、苦痛を表現した感じだった。カルメンではちょっとスペイン風に体を動かしながらの歌で、迫力もあり楽しくもあった。美、悲、楽とバリエーションを付けて安定したメゾを披露した。掘美留子は美しいソプラノで、コロラトゥーラやアジリタがしっかりしている。安土恵那との花の2重唱は大変に美しくアンサンブルがすごく良かった。高いキレの良いソプラノと安定して演劇的なメゾの声が良く合わさっていた。こういう花の2重唱を聴くと、とても幸せな気分になる。ドリーブは凄くいいぞ。

蒲原徹は真面目で落ち着いたバリトン。しっかり声が出て迫力もあって、鳥井銅太郎とのドンカルロの2重唱"Dio, che nell’alma infondere"が誠実な感じで良かった。元気があって情熱的、さらに加えてアンサブルが良かった。最後の愛の妙薬のフィナーレ部分の歌も溌剌としていた。元気良い合唱とのアンサンブルだった。鳥井銅太郎はがっしりとした体型の美しいテノール。正統派の歌を聴かせた。

Dio, che nell’alma infondere
amor volesti e speme,
desio nel core accendere
tu dei di liberta.
... ...
Giuriamo insiem di vivere
e di morire insieme.
In terra, in ciel...
...congiungere ci puo,
ci puo la tua bonta.
Ah! Dio che nell’alma, ...

物語はホテルのバーでカクテルを出すバーテンダーの、トウル・カマハラ=ドゥルカマーラを中心に置いて、愛の妙薬をカクテルに見立てたシチューエション・コメディ。愛の妙薬のようにカクテルもお薬なんだというお話。一方、このコンサートは様々なオペラのアリアや重唱曲を合わせた歌のカクテルでもあって、歌もお薬なんだと別途、納得した。

演奏は宮野多喜子さんのピアノ。一応、ホテルのバー「ブロンズ・リリー」のスタッフとしての芝居もします。

第一生命ホール主催の公演。

15.03.01 第一生命ホール

結婚手形/なりゆき泥棒/新国立劇場オペラ研修所公演2015

2015-03-08 | オペラ
結婚手形/なりゆき泥棒/新国立劇場オペラ研修所公演2015

作曲:ロッシーニ
指揮:河原忠之、演出:久恒秀典
演奏:東京シティ・フィル

出演:
結婚手形
トビア・ミル:西村圭市、ファニー:飯塚茉莉子
エドアルド・ミルフォート:水野秀樹、スルック:大野浩司
ノートン:後藤春馬、クラリーナ:高橋紫乃

なりゆき泥棒
ドン・エウゼービオ:伊藤達人、ベレニーチェ:種谷典子
アルベルト伯爵:岸浪愛学、ドン・パルメニオーネ:大野浩司
エルネスティーナ:高橋紫乃、マルティーノ:後藤春馬

西村圭市、大野浩司はともに迫力のあるバリトンで芝居もエネルギッシュだった。飯塚茉莉子は綺麗な声のソプラノでロッシーニの難しそうな歌をしっかり歌っていた。高橋紫乃は安定感のある低い声。優しく美し響いて、芝居も良く熱心でうまい。ゆったりとした安心感が感じられた。水野秀樹と伊藤達人は共に人の良さそうな役で声が綺麗。伊藤達人はおねえ系の芝居が良く板についている面白い芝居。大野浩司は元気の良い歌と芝居だった。岸浪愛学はちょっとナポレオンを思わせる衣裳、メイクで、声が良く通っていた。後藤春馬はびしっと締まった感じの迫力あるバリトンで芝居もうまい。種谷典子は昨年暮れのコンサート"NNTT Young Opera Singers Tomorrow 2014"でノリーナの「あの騎士の眼差しは」を歌った人。高速に変化する部分やコロラトゥーラを難なく歌って軽快、強い、大拍手。

全般に芝居が良くてロッシーニの難しそうな歌が軽やかで楽しかった。

演奏は優しく良く揃って、締めるところは締めて迫力があった。

15.02.21 新国立劇場、中劇場