二銭銅貨

星の数: ☆良い ☆☆すごく良い ☆☆☆激しく良い ☆☆☆☆超激しく良い ☆☆☆☆☆ありえない

07歌舞伎座12月/菅原伝授手習鑑、粟餅、ふるあめりかに袖はぬらさじ/歌舞伎

2008-01-14 | 歌舞伎・文楽
07歌舞伎座12月/菅原伝授手習鑑、粟餅、ふるあめりかに袖はぬらさじ/歌舞伎

菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)
寺子屋
出演:勘三郎、福助、海老蔵、勘太郎
勘三郎の松王丸はすさまじい。慟哭の場面では、汗とも涙とも鼻汁ともつかず顔面ぐしょぐしょで大変。ようやく、白い紙に突っ伏して泣くところで、とりあえず顔をぬぐっているようで、その後の遺骸を送る場面では、すっきりした顔に戻っている。この表情の変化や雰囲気の変化が、この物語の悲劇の深さを表現しているように感じる。海老蔵は武部源蔵で綺麗な侍。この侍の苦悩を、ぐっとこらえる感じで表現していた。

粟餅(あわもち)
出演:三津五郎、橋之助
餅をつくところから始まる2人の景気のいい踊り。楽しく、てきぱき。

ふるあめりかに袖はぬらさじ
出演:玉三郎、勘三郎、七之助、獅童、彌十郎
遊女の亀遊は七之助で、透明感のある透き通るようなはかない声の雰囲気が、この物語の底流を良く表現していた。獅童は、恋に戸惑う青年を、はきはきときっぱりした感じで演じていた。何故かやけに外人ぽい彌十郎は、英語が頼もしい外国人。勘三郎はちゃっかりと、したたかな商売人。玉三郎は、これは酒好きの、しぶとい手強い芸者。この人の性格は表現が難しい。原作の有吉佐和子は杉村春子に当てて書いたらしく、やけに杉村春子が良くやる女性っぽい性格の女だ。玉三郎はすごいのにチャレンジしている。玉三郎の芝居は後半になるに従って、のってくるような感じで、ラストはとても迫力があった。
 この芝居では、杉村春子の芝居がイメージできて、それで、できたら杉村春子のものも観てみたいと思った。もう無理だけど。

07.12.24 歌舞伎座

07国立劇場12月/新版歌祭文/文楽

2008-01-13 | 歌舞伎・文楽
07国立劇場12月/新版歌祭文/文楽

(第2部)新版歌祭文
座摩社の段
野崎村の段

緑地の、着物に赤の前掛けで、娘おみつの健気な気持。
さっぱりと、きっぱりと、
その善良な心意気が美しい。

勘十郎は手代小助で、良く動く悪智恵を、くりくりくるくる回して元気が良い。野崎村の農家の爺さんの久作は、玉也で、善人の喜怒哀楽を表現する。その娘おみつは清之助で、気風のいいお姉さんの健気で地道な気持ちを表現する。お染めの蓑二郎はかわいらしく能天気。久松は文司で、世に流される雰囲気。

最後は船頭さんが大活躍。何かにつっかえて動かない船を動かすべく、櫂でぐいぐい押すけれど、どうしても動かない。あげくに川にドボンと落ちて、ばりばり泳いで船に戻り、やっとの思いで、ようやく船が動きだす。ご苦労さまでした。船頭の蓑一郎さん。会場、大拍手でした。
07.12.15 国立劇場

舞姫

2008-01-05 | 成瀬映画
舞姫  
1951.08.17 東宝、白黒、普通サイズ
監督:成瀬巳喜男、脚本:新藤兼人、原作:川端康成
出演:高峰三枝子、山村聡、片山明彦、岡田茉莉子、二本柳寛

恋に揺れる人妻の高峰三枝子、元お嬢様。
上品な感じの山村聡は、その夫。
長男のもの思う少年は片山明彦で、思春期の川端康成の印象。
長女の岡田茉莉子はバレリーナ。若くて初々しい。
母も元バレリーナで、今は先生。
木村功が男のダンサーで出てくる。こちらも初々しい。

上流家庭の、内側の崩壊、亀裂の痛みの物語。
ピアノ曲が多用されていて、
とても上品。
07.12.15 シネマヴェーラ渋谷