18国立劇場3月/増補忠臣蔵・梅雨小袖昔八丈/歌舞伎
増補忠臣蔵(ぞうほちゅうしんぐら)
本蔵下屋敷(ほんぞうしもやしき)
第一場 加古川家下屋敷茶の間の場
第二場 同奥書院の場
梅雨小袖昔八丈(つゆこそでむかしはちじょう)
髪結新三(かみゆいしんざ)
序幕 白子屋見世先の場
永代橋川端の場
二幕目 富吉町新三内の場
家主長兵衛内の場
元の新三内の場
大詰 深川閻魔堂橋の場
鴈治郎、片岡亀蔵、菊之助、梅枝
本蔵下屋敷は柔らかい感じの桃井若狭之助で、鴈治郎の人情がやや世話物っぽい。加古川本蔵は片岡亀蔵。本蔵の無念さが良く滲み出て本当にいい芝居だった。無理に貫禄やケレンを出さず、ちょっとリアリズムの味を感じさせる芝居。悪者でなくても、いい芝居ができる人だ。三千歳姫を梅枝が演じた。梅枝が演奏する琴を真剣な眼差しで太夫横の三味線弾きが注視する。この2人の2重奏が聴きどころ。後半には太夫も入って3重奏となる。
髪結新三はクリーンでクリアな芝居だった。菊之助と梅枝の芝居、姿勢、声がクリーンでクリアだから。梅枝のたよりないヨロヨロした感じの、つっころばしが良かった。菊之助もなんだかワルになりきれない。こちらでは、片岡亀蔵は大家さんの役。これもうまい。微妙に喜劇で、微妙に毒があり、軽いような重いような、渋いような明るいような。喰えない感じが良く出ていた。2つの演目でまったく異なる役をそれぞれ名脇役を思わせる芝居で演じた。髪結新三の最初の方で菊之助の息子の寺嶋和史が登場し、見得を切ったり大きな芝居をして大拍手をもらった。この芝居のあとの新三のセリフが「そんな芝居があるもんか」だって。お熊は梅丸。可愛らしかった。
髪結新三では、白子屋のお熊や忠七が可哀そうだけれども、この名前は実際に起きた白子屋事件からのもので、夫を殺そうとした殺人未遂と不義密通の罪で処刑されたお熊と忠八から取られたもの。当時、この事件を知っていた観客からすれば、この2人にはそれほど同情されるような雰囲気はなかったのであろう。お熊が市中引き回しの時に着ていた黄八丈の着物が評判になった事件で、それで劇中でもお熊は黄八丈を来ている。黄八丈は八丈島で作られた着物。
「人情紙風船」はこの映画版。
18.3.25 国立劇場
増補忠臣蔵(ぞうほちゅうしんぐら)
本蔵下屋敷(ほんぞうしもやしき)
第一場 加古川家下屋敷茶の間の場
第二場 同奥書院の場
梅雨小袖昔八丈(つゆこそでむかしはちじょう)
髪結新三(かみゆいしんざ)
序幕 白子屋見世先の場
永代橋川端の場
二幕目 富吉町新三内の場
家主長兵衛内の場
元の新三内の場
大詰 深川閻魔堂橋の場
鴈治郎、片岡亀蔵、菊之助、梅枝
本蔵下屋敷は柔らかい感じの桃井若狭之助で、鴈治郎の人情がやや世話物っぽい。加古川本蔵は片岡亀蔵。本蔵の無念さが良く滲み出て本当にいい芝居だった。無理に貫禄やケレンを出さず、ちょっとリアリズムの味を感じさせる芝居。悪者でなくても、いい芝居ができる人だ。三千歳姫を梅枝が演じた。梅枝が演奏する琴を真剣な眼差しで太夫横の三味線弾きが注視する。この2人の2重奏が聴きどころ。後半には太夫も入って3重奏となる。
髪結新三はクリーンでクリアな芝居だった。菊之助と梅枝の芝居、姿勢、声がクリーンでクリアだから。梅枝のたよりないヨロヨロした感じの、つっころばしが良かった。菊之助もなんだかワルになりきれない。こちらでは、片岡亀蔵は大家さんの役。これもうまい。微妙に喜劇で、微妙に毒があり、軽いような重いような、渋いような明るいような。喰えない感じが良く出ていた。2つの演目でまったく異なる役をそれぞれ名脇役を思わせる芝居で演じた。髪結新三の最初の方で菊之助の息子の寺嶋和史が登場し、見得を切ったり大きな芝居をして大拍手をもらった。この芝居のあとの新三のセリフが「そんな芝居があるもんか」だって。お熊は梅丸。可愛らしかった。
髪結新三では、白子屋のお熊や忠七が可哀そうだけれども、この名前は実際に起きた白子屋事件からのもので、夫を殺そうとした殺人未遂と不義密通の罪で処刑されたお熊と忠八から取られたもの。当時、この事件を知っていた観客からすれば、この2人にはそれほど同情されるような雰囲気はなかったのであろう。お熊が市中引き回しの時に着ていた黄八丈の着物が評判になった事件で、それで劇中でもお熊は黄八丈を来ている。黄八丈は八丈島で作られた着物。
「人情紙風船」はこの映画版。
18.3.25 国立劇場