タイス/MET08-09舞台撮影
作曲:ジュール・マスネ、演出:ジョン・コックス
指揮:ヘスス・ロペス=コボス
出演:ルネ・フレミング、トーマス・ハンプソン、ミヒャエル・シャーデ
一本の長い棕櫚の木が天に向かって立ち、空は濃紺の青。左にタイスとアタナエルの2人、右に鈍く白に佇む修道院。中央は川なのか床が大きく2つに割れてその間が深く黒い闇になっている。その床は黄色味の薄茶で、ゆったりとしたうねりを持った木造と思しきスロープ。超然として静寂、哲学的な印象の舞台。ほんのちょっぴりの2人の蜜月とタイスの修道院への入門の場。静けさと安定。そして悲劇の始まりを清々とした美術が演出する。
この床は全編に活躍する。表面に細かい波目の凸凹が削られていて砂漠の風紋を表しているのだが、歩くとミシミシ音が鳴るし、木の硬さがあるので砂漠の柔らかい感じが出ていない。しかしながらそれには大きな川を渡る木造の太鼓橋のような感じがあって、何かそのほうが、瞑想的なこの物語を語るのにふさわしいのかも知れない。
幕間にタイスの瞑想曲があり、コンマス(デビッド・チャン)が独奏。彼のクローズアップが続き、終了時には観客から大拍手。子守唄のような優しさがあって、それでいてせつない。途切れないバイオリンボウの長い動き。
理屈っぽい歌詞、情熱的な歌い手、クールな美術、豪華な衣装、豊かで多彩な音楽、重厚な演奏、実直なコンマス。
マスネの豪華絢爛だったり、重厚だったり、甘くせつなかったりする多彩な音楽が楽しかった。
09.01.16 東劇
作曲:ジュール・マスネ、演出:ジョン・コックス
指揮:ヘスス・ロペス=コボス
出演:ルネ・フレミング、トーマス・ハンプソン、ミヒャエル・シャーデ
一本の長い棕櫚の木が天に向かって立ち、空は濃紺の青。左にタイスとアタナエルの2人、右に鈍く白に佇む修道院。中央は川なのか床が大きく2つに割れてその間が深く黒い闇になっている。その床は黄色味の薄茶で、ゆったりとしたうねりを持った木造と思しきスロープ。超然として静寂、哲学的な印象の舞台。ほんのちょっぴりの2人の蜜月とタイスの修道院への入門の場。静けさと安定。そして悲劇の始まりを清々とした美術が演出する。
この床は全編に活躍する。表面に細かい波目の凸凹が削られていて砂漠の風紋を表しているのだが、歩くとミシミシ音が鳴るし、木の硬さがあるので砂漠の柔らかい感じが出ていない。しかしながらそれには大きな川を渡る木造の太鼓橋のような感じがあって、何かそのほうが、瞑想的なこの物語を語るのにふさわしいのかも知れない。
幕間にタイスの瞑想曲があり、コンマス(デビッド・チャン)が独奏。彼のクローズアップが続き、終了時には観客から大拍手。子守唄のような優しさがあって、それでいてせつない。途切れないバイオリンボウの長い動き。
理屈っぽい歌詞、情熱的な歌い手、クールな美術、豪華な衣装、豊かで多彩な音楽、重厚な演奏、実直なコンマス。
マスネの豪華絢爛だったり、重厚だったり、甘くせつなかったりする多彩な音楽が楽しかった。
09.01.16 東劇