二銭銅貨

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16歌舞伎座8月/嫗山姥、権三と助十/歌舞伎

2016-09-10 | 歌舞伎・文楽
16歌舞伎座8月/嫗山姥、権三と助十/歌舞伎

嫗山姥
橋之助、扇雀、巳之助

扇雀が元気。良く動いた。

権三と助十
染五郎、獅童、七之助、彌十郎、巳之助

岡本綺堂作。江戸の風情、江戸の人情、江戸っ子の気風。井戸替えは祭り山車を引くような感じでみんなで声を合わせて綱を引く行事。これを中心に冤罪事件を解決する軽い喜劇。

巳之助が嫗山姥では真っ赤な悪役でキリキリと頑張って力が入り、この世話ものではおっちょこちょいの不良の弟役で、目をむいてぐりぐりした感じで張り切っていた。比較的落ち着いた芝居で貫禄を見せていた染五郎、獅童に対して、目立つ芝居でアクセントを付けていた。彌十郎はやや軽めにしぶい芝居。七之助は切れてる感じ。

16.08.20 歌舞伎座

14歌舞伎座8月/輝虎配膳、たぬき/歌舞伎

2016-09-04 | 歌舞伎・文楽
14歌舞伎座8月/輝虎配膳、たぬき/歌舞伎

輝虎配膳
橋之助、彌十郎、萬次郎、扇雀、児太郎

きりっとした舞台だった。

たぬき
三津五郎、勘九郎、七之助、獅童、彌十郎、扇雀

大仏次郎作、葬儀が済んで生き返り、そのまま死んだことにして別人になりすますという話。三津五郎はこのあと本人が亡くなったので、舞台上で何か思案している芝居の姿が印象に残っている。七之助のキレの良い芝居が良かった。

14.08.15 歌舞伎座

マリア・ストゥアルダ/MET12-13舞台撮影

2016-09-03 | オペラ
マリア・ストゥアルダ/MET12-13舞台撮影

作曲:ドニゼッティ、指揮:マウリツィオ・ベニーニ
演出:デイヴィッド・マクヴィカー、衣裳:J.マクファーレン

出演:
マリア・ストゥアルダ(メアリー・ステュアート):
 ジョイス・ディドナート
エリザベッタ(エリザベス1世):
 エルザ・ヴァン・デン・ヒーヴァー
ロベルト(ロバート・ダドリー):
 マシュー・ポレンザーニ
タルボット(タルボ卿):マシュー・ローズ
セシル:ジョシュア・ホプキンス

メゾのディドナートは高音も良く出る強い歌唱で、重いソプラノ役を思わせるような感じの長い歌のシーケンスを全力で歌いきった。ヒーヴァーも強いソプラノで高音が良く出る。ポレンザーニは端正な感じのテノール。

重唱、合唱、多重唱が良い。ほとんどの重唱が対決的な調子のもので、うっとりするようなものは少なく、唯一、ストゥアルダとロベルトの重唱が甘く溶け合う重唱だった。史実ではこんなことは無かったのだろうけれども、こんな重唱を聴いたらエリザベス1世もやきもちを焼く。

エリザベス1世は思慮深く聡明な感じながらも行動が粗野で粗削りな雰囲気で演出されていた。本物のエリザベス1世がどんなだったかは知らないけれども、英国っぽさが出ていて興味深かった。ストゥアルダの最後の衣裳は早替わり風に黒から赤に変わる。血の赤は死の意味なんだろうけれども、生の赤に感じる。スコットランド女王のメアリー・ステュアートは死んでいない。

ラストちょっと前のストゥアルダの静かな深く悲しい宗教的な響きの歌が美しい。葬送の曲のように思えて、人間の死とはどうあるべきかということに思いが至る。ディドナートの声を聴きながら、どう死ぬかということは、死ぬまでにどう生きるかということなんだと感じる。

16.08.11 東劇