二銭銅貨

星の数: ☆良い ☆☆すごく良い ☆☆☆激しく良い ☆☆☆☆超激しく良い ☆☆☆☆☆ありえない

2006オリンピック・エキシビション

2006-02-25 | フィギュア・スケート
2006オリンピック・エキシビション

女子:
 荒川静香は、スローな曲。ねばりのあるじわっとしたスケーティング。ゆっくりと考え深げな表現。姿勢、振り付け、手の指先、スケートのつま先までしっかりコントロールして表現している。

 村主章枝は、ボールを使った演技。これは全日本の時やその前の大会でも披露したもの。サービス精神あって、おもしろい。スケートも、情のある、いい滑りです。

 スルツカヤはジャンプを飛ばなかったような気がする。ジャンプなしでも、ちょっと荒削りだけれど優雅で女性的な柔らかなスケーティングを披露していた。上手。

 コーエンは、しなやかな演技。でも柔らかでクネクネしているんでは無くて、剣のように鋭くまっすぐな姿勢です。すごいと思う。こちらもジャンプ無しのようだった。暗くて危ないからやめたのかな?

 米国とロシアの2人は、振り付け、姿勢、技の完成度を見せる表現。日本の2選手は、人の気持ち、情を表現するスケーティング。そこが違うと思う。確かに、正しいスケーティング、姿勢、振り付けがあっての、人の心の表現だけれども、私はフィギュア・スケートの究極の目標は人の心の動きの表現だと思うから、日本の2選手のスケートがすごいと思うのです。

男子:
 男子が全員レベルが高い。スイスの選手(ステファン・ランビール)が2番というのはめずらしい。スイスの上位選手というのはビールマン以来かな?カナダの選手(ジェフリー・バトル)も高い水準。しかし、中でもプルシェンコはすごい。ジャンプをバンバン飛んで安定している。ステップ・シーケンスも超高速。ヤケになってステップ踏んでいるような。あれだけ速いのはめったに無い。むかし、スコット・ハミルトンという名手が居たけれど、あれより速いかも知れない。冒頭でも軽く、ぴょんぴょんと、トリプルトウ・トリプルトウ・ダブルループを飛んで見せた。セカンド、サードジャンプの高さ強さが最初のジャンプと変わらないように見える。
 プルシェンコとバイオリニストとの競演は面白いし、完成度が高かった。珍しい企画を見せてもらいました。

ペア:
 井上怜奈の組(7位)が、怪我をした中国ペアの代わりに出ていました。この人も長く続けている所がすごいです。このエキシビションでのことではありませんが、ショート・プログラムで演じられたスロー・トリプル・アクセルが、高く大きいジャンプですごかった。完璧だったし、パートナーのボルドウィンが演技中に思わずガッツポーズをしている気持ちが分かった。これはオリンピック初のスロージャンプだったらしいです。

2006.2.24 トリノ

スケートリンクが無くなる

2006-02-25 | フィギュア・スケート
2月24日、日経夕刊の杉田秀雄(スケート連盟の役員)による解説記事から

技術点の出し方:
 最初の方に、なぜ村主の技術点が低いか、についての解説があった。「荒川には最高難度のレベル4のに当たるスピン、スパイラルが5個あるのに対し、村主は1個だけ」。昔はジャンプの種類と数を見ていれば、大体スコアの見当がついたけど、今は違うようです。数々の姿勢を組み入れた変形スピン、足を高く上げて色々に変化するスパイラル、幅広くウオッチしていないといけないようです。それぞれの技と難易度も頭に入れとかないとスコアの見当が付かないのですね。見るほうもレベルアップしないといけないようです。

スケートリンクが無くなる:
 最後の方に、「リンクの数は減る一方で楽観できる環境ではない」とあります。マスコミは金だ金だ大フィーバーですけど、日本中のスケートリンクが消え去ろうとしています。都心で私の知っている範囲の通年営業の所は、新横浜、横浜、高田馬場、東神奈川くらいです。私営のスケートリンクは経費がかかりすぎ、収入の無さすぎで経営が成り立たないのです。このままでは本当にスケートリンクが無くなるし、フィギュアも消滅します。西部鉄道・国土計画の経営問題に関して、新横浜プリンスホテルの付属スケートリンクが無くなるのではないかと本当に心配です。ここが無くなったら日本のフィギュアスケートは半身不随です。日本のフィギュアの一流選手の半数以上はあそこ出身ですから。現状では、公営のリンクに頼るしか無いと思うけれど、公営で通年営業のところは都心には無いと思います。相模原の銀河アリーナは公営ですが、あそこは夏はプールです。それでも、有難いことです。あそこは伊藤みどりが頑張ってた頃に、できたような記憶があります。
 政府では、今回の金メダルを大変喜んでいるというような記事を目にしました。荒川さんが小泉さんに会うような事があったら、ビシッと言ってやってもらいたいものです。「スケートリンクが無くなる!金メダルどころじゃ無いよ」って。

2006オリンピック女子フリー

2006-02-25 | フィギュア・スケート
トゥーランドット「誰も寝てはならぬ」
すみません、寝てました。

 でも、明け方の4時頃、なぜか目が覚めて、ごそごそ起き出しました。それで第2グループの最終滑走くらいから見始めることができたのです。録画で見るからいいやと目覚ましを掛けずに寝てしまった、これが私の運命なんでしょうか?

荒川静香:1位
正確に、エッジに乗って、ゆっくりと深く、大きなスケーティング。
静かに落ち着いた正しい姿勢、間の取れている振り付け。
音楽の流れとの完全な調和。
ジャンプは、はりきらず、力まず、正確。
スピード豊かに、パワーを緩めずに。
最初から最後まで安定したスピードとパワーを維持します。
途中、ループが抜けますが、でも、気になりません。
あとは、ノーミスです。

村主章枝:4位
フィギュアにはちょっと向かない、ラフマニノフの
難しい曲に乗って、スタート。ジャンプ、大丈夫かな?
見ている人がハラハラしながら、なんとか1つ1つ飛んでいきます。
軽い。枯葉が風に吹かれて、舞い飛ぶように、
苦しくて、つらくて悲しい過去でもあるかのように、
風に吹かれて、揺れて舞い、1人、孤独で淋しい絹織物のように。
ラフマニノフは、低い単調なリズムで、しっかり表現されます。
細かいミスはあったらしいけれど、おおむねジャンプはノーミス。
完璧ですね。

サーシャ・コーエン:2位
リンクサイドからリンク中央へ向かう途中、表情が硬い。
かなりの緊張、というより気合が入っているのか。
ジャンプがコケまくる。連続2個もコケる。でも、そこからが強い。
シャープで切れの良い振り付け、正確な姿勢。
スピードもパワーも落ちない。糸を引くようなランディング。
すごい。
最初の失敗がもったいなさすぎます。

イリーナ・スルツカヤ:3位
真っ赤なカルメン。元気良すぎ。気合入りすぎ。
やんちゃでおしゃまな、カルメンのできあがり。
いつまでたっても、男の子みたいな少女のまんま。元気。
ジャンプは高くて、強くて、大きい。
力も落ちないし、スピードも落ちない。がんばる。
楽しいプログラム。
ループで思いっきり転んでしまうけど、まあ、いいか。
パフォーマンス/年齢だったらこの人がダントツ。
27歳でオリンピック・チャンピオンを争うってことは、
尋常な事ではありません。
終わった後で、荒川を抜けないと感じたのだろうか、
少し元気がなかった。
勝ちたかったのだと思う。すごく勝ちたかったのだと思う。

安藤美姫:15位
最初のサルコウがすべてでした。あまりにジャンプでコケすぎました。
ジャンプ以外も精彩無く、パワーやスピード、技のキレや正確さ、
それぞれ少しずつ悪かったようです。
かなり、早い段階で疲れてしまっているようで、
これは全日本の時も感じたことですが、スタミナが足りないと
思いました。解説の佐藤さんも、そう言ってました。
クワッド・サルコウは、スローで見ると飛べている事が分かります。
ランディングの時に重心がずれている為にコケたのです。
おそらく、空中姿勢の時に体がまっすぐに維持できていなかったの
かも知れません。飛べる力が感じられるジャンプでした。

佐藤有香:解説
佐藤さんの解説、以前のボソ、ボソとした超マッタリしゃべりから、
今シーズンはうって変わって、しゃべりが滑らか。
これは同じ人ですか?
スケート演技中の解説も、余計な事を言わずに、
優しい声で、一言二言。
でも、村主さんの最後のジャンプの時は、
思わず力が入って、解説がお祈りになっていました。
父親が村主さんのコーチ、母親が荒川さんのコーチ。
どっちも応援していたのだろうけれど、やっぱり、村主さんの
ほうがハラハラしたのかな?

スコアの概要:
スコア  :ショート(技術, 構成, 減点), フリー(技術, 構成, 減点)
荒川   :S(35.93, 30.09, 0), F(62.32, 63.00, 0) Total 191.34
コーエン :S(35.33, 31.40, 0), F(55.22, 62.41, -1) Total 183.36
スルツカヤ:S(36.21, 30.49, 0), F(53.87, 61.87, -1) Total 181.44
村主   :S(32.61, 29.14, 0), F(54.23, 59.25, 0) Total 175.23
安藤   :S(29.12, 26.88, 0), F(35.69, 50.51, -2) Total 140.20

 構成点については、村主までがほぼ同じ点。技術点については上位3人が、ほぼ同じレベルにあったようです。コーエンとスルツカヤのフリーの技術点が低いのはジャンプでコケた分です。ほぼノーミスの村主の点が10%ほど低いです。一般に技術点が低いと構成点もつられて低くなるのが普通ですから、相対的に構成点の高い村主の表現力は審判にかなり高く評価されていると考えられます。しかしながら一方で、技術レベルは10%低いとの厳しい判断です。これは、難しい技(結局それはコンビネーション・ジャンプの量ってことかな?)をやっていないという判断だと思います。
 安藤の技術点については。コケた分が入っているので参考になりません。構成点で見ると上位選手の10-20%落ちの評価です。
 個人的な見解としては、細かい技術の優劣は置いといて、荒川と村主が1番2番です。どちらが上かという点については、どちらとも言いがたいです。


オリンピック・チャンピオン:荒川静香
 途中、イナバウアーのところでワーと拍手が起こります。普通、イナバウアーのところで拍手は起きないものです。すごい。トゥーランドットのメロディーの盛り上がっている部分に重ねたからなのか。それとも観客は荒川の得意技と知っているのだろうか。おかげで、陽の当たらない技、イナバウアーがすっかり有名になってしまいました。
 このあと、観客は一気に盛り上がって行きます。使われた曲はプッチーニの歌曲、トゥーランドットの中の「誰も寝てはならぬ」。開会式で有名なオペラ歌手が歌った歌ですから、盛り上がらない方がおかしいかも知れません。荒川は、この盛り上がりをしっかり受け止めるスケーティングをしていました。
 この曲は、かつて自分が世界選手権で優勝した時の曲だそうですし、開会式で歌われることも知らなかったでしょうから、こうなったのは意図的なものではなく、運命だったのかも知れません。
 運命が荒川静香をオリンピック・チャンピオンに押し上げたのかも知れません。
2006.2.23 トリノ

ゴースト・ドッグ

2006-02-23 | 洋画
ゴースト・ドッグ  ☆☆☆
Ghost Dog:The Way of Samurai
1999 アメリカ、日本、フランス、ドイツ、カラー、横長サイズ
監督・脚本:ジム・ジャームッシュ
出演:フォレスト・ウィテカー、ジョン・トーメイ

一点のくもりも無い、静かな集中。
葉隠

ゆっくりとした静寂、ブレの無いテンポ、隙の無い歩み。
怒りも悲しみも、欲望も無く、言葉さえも無い。
最高の仕事を成し遂げる。そのために、すべてを捧げる。
自分の生命を含め、あらゆるものを集中する。
そこには一点のくもりも無く、武士道、修行の道があるだけだ。

ストーリーの展開を楽しむのでなく、雰囲気を味わう映画だと思いました。
太っちょの主役がサムライ役をやっているのが良い。それらしくない人物
を持ってくることで、表現しようとしていることを一層際立たせている。

記憶喪失の私は、葉隠(はがくれ)を読んだかどうか記憶に無いのですが、
これは、ある藩の武士が江戸時代に書いた武士の心得の本です。もう平和
な時代のことですから、サムライの本と言っても実質的には、藩主に仕える
役人の心得と言った方が良い本だったと覚えています。役人の心得を武士の
心得に重ねて論じているものだと思っていました。映画は少々この葉隠を
誤解している面があるのかも知れませんが、私は、この映画が日本人の仕事
に対する精神をとても良く表現しているように感じました。
06.01.XX レンタルDVD

かあちゃん

2006-02-22 | 邦画
かあちゃん  ☆☆
2001.11.10 映像京都、日活、イマジカ、シナノ企画、カラー、横長サイズ
監督:市川崑、脚本:和田夏十、竹山洋、原作:山本周五郎
出演:岸惠子、原田龍二、うじきつよし、勝野雅奈恵、小沢昭一

時代劇です。
貧乏長屋に住んでいる岸恵子は、何人もの若者の母親役です。
でも、感じはそんなじゃなくて、どこかのお嬢様のようです。
本当に「かあちゃん」なんですか?
本当に時代劇なんですか?

家族は母親を筆頭に、みんないい人達なんです。気持ち、いいですね。
ゆったりと、そんな気分が最初から最後まで流れて行きます。

岸恵子のセリフは、ゆっくりとはっきりとぼんやりと、
甘い感じで映画全体を包んでいます。
それでもって若者に哲学的な説教を垂れるんですね。

題名が「かあちゃん」だから「母もの」という事なのだろうけれど、
これは恋愛劇ですね。でも、「かあちゃん」はいったい、
誰に恋していたのだろう?
06.01.XX TV録画