二銭銅貨

星の数: ☆良い ☆☆すごく良い ☆☆☆激しく良い ☆☆☆☆超激しく良い ☆☆☆☆☆ありえない

タンホイザー/東京文化会館(二期会)2024

2024-04-09 | オペラ
タンホイザー/東京文化会館(二期会)2024

作曲:ワーグナー
指揮:アクセル・コーバー
演出:キース・ウォーナー
美術:ボリス・クドルチカ、衣裳:カスパー・グラーナー
演奏:読売日本交響楽団
出演:タンホイザー:サイモン・オニール
   エリーザベト:渡邊仁美、ヴェーヌス:林正子
   ヴォルフラム:大沼徹、ヘルマン:加藤宏隆、
   ヴァルター:高野二郎、ビーテロルフ:近藤圭
   ハインリヒ:児玉和弘、ラインマル:清水宏樹
   牧童:朝倉春菜

細いリングや棒で構成された立体の構造物が天井から斜めにぶら下がっていて、時々下に降りてくる。形は円錐の頂点をカットしたもので逆さに設置されている。地上を焦点にしたレーダーとかレーザー砲とかそのような感じ。サイズは装置の中を人が楽に通れるくらいのもので、最後にタンホイザーがその中を登って行って天上のエリーザベトの手に触れる。オケピの方を見ていて気づかなかったが、音楽が終わる瞬間に2人は手を触れる設定だったものの、この日の公演では間に合っていなかったらしい。この装置は天上と地上の連絡通路もしくは通信路らしく、冒頭の方ではヴェーヌスの部屋にいる少年の上に楽譜がこの装置を通してばら撒かれたりする。幕が開く前にはその形が客席からずーっと見えていて、これは何だと思わせていた。

基本的には舞台上に壁があって、ヴェーヌスの部屋、城の中の部屋、歌合戦会場の部屋の壁になったりしていた。中央に大きな額縁があって、無地のベージュの衣装のダンサー達や、狩猟の後の兵士達がその中から飛び出して来るしかけだった。最初は額縁の中で人物が静止しているので、絵画だと思っていると急に飛び出して来てびっくりする。

サイモン・オニールは声量と美しさが両立した、レベルの高いテノールで高音も良く出ていた。堂々とした芝居で手慣れている感じがした。公演全体の牽引役。林は低く圧力を感じるソプラノで重厚な感じ。渡辺は安定した強いソプラノ。

演奏は堂々と迫力のあるものだった。序曲冒頭の聞き慣れた旋律は巡礼の合唱からのもので、これは最後の部分にも現れる。この旋律がタンホイザーだ。

24.03.02 東京文化会館


コメントを投稿