二銭銅貨

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15第21回稚魚の会・歌舞伎会/本朝廿四孝、素襖落、他/歌舞伎

2015-08-24 | 歌舞伎・文楽
15第21回稚魚の会・歌舞伎会/本朝廿四孝、素襖落、他/歌舞伎

本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)
長尾謙信館十種香の場

八重垣姫:芝のぶ、勝頼:桂太郎、濡衣:京珠、謙信:河童

芝のぶは首や手が良く動く芝居で、かなり情熱的に姫を演じていた。桂太郎は落ち着いたお坊ちゃま的な芝居。河童は松緑に似た感じの顔立ち、声やセリフも似た感じでコミカルだった。


素襖落(すおうおとし)
太郎冠者:又之助、姫御寮:伊助、大名:彌風

又之助は堂々とした芝居で弁慶でもやりそうな気迫と厳しさ、大きさが感じられた。伊助も堂々と落ち着いていた。伊助は伊勢音頭恋寝刃でも、お岸を演じていて安定感があった。


伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)
古市油屋店先の場
同   奥庭の場
福岡貢:梅秋、お紺:みどり、万野:松寿、喜助:八重之

梅秋とみどりは一所懸命な感じ。松寿はベテランの感じで、うまいわき役、敵役だった。憎たらしさが完璧で、この芝居の芯になっていた。貢の狂気の裏付けになる役だからこの役は重要である。八重之はきりっとした芝居が良かった。役名も無く、ほとんどセリフの無い役だったが、出だしの町人の女性役や、花魁の役で芝のぶが出ていたようだった。静止して中央に座った花魁の姿が凛々しかった。

15.08.16 国立劇場

魔笛/新国立劇場(二期会)2015

2015-08-17 | オペラ
魔笛/新国立劇場(二期会)2015

作曲:モーツァルト 、指揮:デニス・ラッセル・デイヴィス
演出:宮本亜門、演奏:読売日本交響楽団
出演:
パミーナ:幸田浩子、タミーノ:鈴木准
夜の女王:森谷真理、ザラストロ:妻屋秀和
パパゲーノ:黒田博、パパゲーナ:九嶋香奈枝
侍女:日比野幸、磯地美樹 、石井藍
弁者:加賀清孝、モノスタトス:高橋淳

RPG世界をモチーフにした演出。大きな2枚の壁が90°に立てられて、それぞれが奥行き方向に2重になっている。壁のアチコチが窓になったり、一部分が上にあがったり、無くなったりする構造になっている。上にあがった部分や無くなった部分をどう始末しているのか、ちょっと気になった。シンプルそうに見える装置だったが、いろいろ工夫されているようだ。この壁と床に映像を投影して様々な情景を作り出す。自由自在に様々な場面を瞬間的に出せるのでMTV的なテンポの速い演出が可能になっている。最初に格子が投影されるので、それはあたかも3次元のデカルト座標系のようで面白かった。また、地形を格子で表現するような映像もあって、CGゲームっぽさを出していた。

この2重の衝立のせいであろうか、音の響きが良いように感じた。奥で歌う時と前で歌う時の音の大きさが全然違っていて、前面で歌う時にはすごく迫力があった。おそらく、2重の衝立の影響は大きかったのではないかと思う。

演出はかなりアグレッシブで運動量の多い演出だった。動きの多い中でも歌に崩れが無いような配慮はされていたようだが、歌手の皆さんも頑張っていて、歌への影響はあまりなかった。

森谷は全く安定したアリアで大拍手だった。声が美しい。鈴木は端正な感じのテノールで劇中ではお父さん役。幸田はお母さん役で、アリアは情感あふれる美しいものだった。子供達と一緒の重唱ではとてもお母さんな感じで、これに上手な演出も重なって大拍手だった。妻屋は重厚で安定したザラストロ。くずれが全く無い。黒田はいつも通りの声だが、役はピエロ的なコミカルな役。コミカルな芝居もうまい。上品なパパゲーノだったが面白かった。九嶋は元気良く、声も芝居もシャープな感じ。加賀はどっしりと落ち着いて劇中ではおじいさん。侍女の3重唱がとりわけ美しくアンサブルしていた。衣裳は胸を強調したコミカルなものだったが美しい衣裳だった。童子はボーイソプラノで上手だった。高橋の芝居はややシリアスな出だしだったが後半は臭い靴下をオケピに投げるなど、大活躍で客席に大受けしていた。全般に出番も多く良い芝居だった。声も良い。

演奏はゆっくりめな感じで、歌への配慮が感じられるアンサンブルの良い演奏だった。

15.07.19 東京文化会館

ドン・パスクワーレ/こうもり/新国立劇場オペラ研修所試演会2015

2015-08-13 | オペラ
ドン・パスクワーレ/こうもり/新国立劇場オペラ研修所試演会2015

指揮:河原忠之
演出:粟國淳、演奏:岩渕慶子、木下志寿子

ドン・パスクワーレ(抜粋版)
作曲:ドニゼッティ
出演:ドン・パスクワーレ:松中哲平、マラテスタ:小林啓倫
   エルネスト:伊藤達人、ノリーナ:種谷典子

こうもり(短縮版)
作曲:ヨハン・シュトラウスII
出演:アイゼンシュタイン:岸浪愛学、ロザリンデ:飯塚茉莉子
   フランク:松中哲平、オルロフスキー:高橋紫乃
   アルフレード:伊藤達人、ファルケ:小林啓倫
   アデーレ:竹村真実、イーダ:宮地江奈

小林啓倫は声量、安定感、美しさがある良いバリトン。種谷はコロラトゥーラが良い。抜粋版で「あの騎士のまなざしを」はカットだったが、最後の重唱の聴き所が盛り上がっていた。伊藤は芝居が面白い、声量もあって劇が盛り上がる。高橋は芝居的にはオルロフスキーになりきって頑張っていた。「ぼくはお客を呼ぶのが好きだ」は演劇的な調子で歌われた。飯塚は声量のある声の美しいソプラノ。ちょっと重い感じのロザリンデでチャールダーシュが良かった。竹村は素直な感じの良い声のソプラノ。松中は一生懸命であたふたした感じのキャラクター。岸浪は真面目な感じ。

ピアノは2台用意され、前後半でピアニストが入れ替わった。元気良く勢いを感じる演奏だった。

15.07.18 新国立劇場、中劇場

ランスへの旅/日生劇場(日本オペラ振興会)2015

2015-08-09 | オペラ
2015-08-09 / オペラ

ランスへの旅/日生劇場(日本オペラ振興会)2015

作曲:ロッシーニ、指揮:アルベルト・ゼッダ
演出:松本重孝、演奏:東京フィル
出演:
コリンナ(詩人):佐藤美枝子
メリベーア侯爵夫人(ポーランド人、決闘の原因、メゾ):鳥木弥生
フォルヴィル伯爵夫人(ファッション好き):光岡暁恵
コルテーゼ夫人(「金の百合亭」の女主人):清水知子
騎士ベルフィオーレ(フランス人、コリンナに言寄る):小山陽二郎
リーベンスコフ伯爵(ロシア人、決闘を挑む):山本康寛
シドニー卿(イギリス人、コリンナ好き):伊藤貴之
ドン・プロフォンド(骨董収集家):久保田真澄
トロンボノク男爵(宴会での司会役):三浦克次
ドン・アルヴァーロ(スペイン人、決闘を挑まれる):牧野正人
ドン・プルデンツィオ(医者):柿沼伸美
ドン・ルイジーノ(フォルヴィル夫人いとこ):真野郁夫
デリア(コリンナ夫人が保護者):山口佳子
マッダレーナ(女中頭):河野めぐみ
モデスティーナ(フォルヴィル夫人小間使い):但馬由香
ゼフィリーノ(世話人):藤原海考
アントーニオ(ボーイ長):立花敏弘

1825年の王政復古におけるシャルル10世の戴冠式のための音楽。

コリンナの叙情的で美しいアリア、フォルヴィル夫人のコロラトゥーラ、ソリスト達による多重唱のほか、多くの重唱が満載のオペラ。筋書きはほとんど無く、歌主体の軽い芝居を伴ったオペラ。佐藤は装飾の美しいやや演劇的な歌い方でコリンナを表現した。光岡はアジリタが安定して美しく崩れの無い歌だった。芝居は元気が良く若々しい。鳥木はストレートで安定したメゾ。清水も安定感と強さのあるソプラノだった。久保田は迫力があって良かった。小山は女ったらしの芝居が良かった。

演奏はややゆっくりめで美しく、重唱が沢山に、それぞれが良く、全体に華やで楽しい公演だった。

15.07.05 日生劇場