二銭銅貨

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イェヌーファ/新国立劇場15-16

2016-03-17 | オペラ
イェヌーファ/新国立劇場15-16

作曲:ヤナーチェク
指揮:トマーシュ・ハヌス、演出:クリストフ・ロイ
美術:ディルク・ベッカー、衣裳:ユディット・ヴァイラオホ
演奏:東京交響楽団
出演:
イェヌーファ:ミヒャエラ・カウネ
コステルニチカ(母):ジェニファー・ラーモア
ラツァ:ヴィル・ハルトマン
シュテヴァ:ジャンルカ・ザンピエーリ
ブリヤ家の女主人:ハンナ・シュヴァルツ

HDサイズの矩形の画面のような舞台で、出だしの白っぽい部屋は北欧の雰囲気を感じさせる絵のようだった。窓やドアの付いた奥の壁が横方向にスライドし、またサイドの壁も上手下手方向に移動して画面サイズが変わるようになっていた。主にこれらによって舞台の変化を作り出していた。白が基調。抑えた淡い色調で、最初にイェヌーファが来ていた赤の鮮烈な色あいのドレスが目立っていた。後半、イェヌーファと母親が語りあう場面で、窓から差し込む光が窓の影を作るとき、窓枠の中央の十字部分が床に投射され、十字架になっていた。

ハンナ・シュヴァルツは声量のある低い安定して美しいコントラルトのような感じの歌手。ジェニファー・ラーモアは劇的で演劇的な歌と芝居で迫力がある。かなりこの異常な、あるいは普遍的な母親になりきっていた。この人の演技がこのドラマの芯になっていて、母親の強い強すぎる気持ちが支配するオペラになった。ミヒャエラ・カウネは声量のある強いソプラノで、弱い所では純粋な美しい音が聞こえる。

演奏は豪快で迫力があった。分厚い感じ。

16.02.28 新国立劇場、オペラパレス
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イル・トロヴァトーレ/東京文化会館(二期会)2016

2016-03-15 | オペラ
イル・トロヴァトーレ/東京文化会館(二期会)2016

作曲:ヴェルディ 、指揮:アンドレア・バッティストーニ
演出:ロレンツォ・マリアーニ
美術:ウィリアム・オルランディ
演奏:東京都交響楽団
出演:マンリーコ:小原啓楼、レオノーラ:松井敦子
   ルーナ伯爵:成田博之、アズチェーナ:中島郁子
   フェルランド:清水那由太、イネス:杣友惠子

中島のアズチェーナが良かった。声に迫力があり芝居に情熱があった。母親の熱い気持ちが炎となって鉄を鍛えている感じ。終盤での3重唱でも低い音が安定して聞こえ、良いバランスの重唱となった。松井は声が綺麗で力がある。気合いを感じるレオノーラだった。小原は一生懸命タイトルロールを務めた。成田は途中声が枯れそうになるところ抑えて最後まで走り切った。清水は安定して落ち着いたバリトン。芝居が堂々としている。

4人が1500メートルを一気に駆け抜ける陸上競技の感じ。最初出遅れていたアズチェーナが最後に逆転し、僅差でもろてを挙げてテープを切ったような感じだった。

美術は床に鏡面反射する材料を使って全体にクリーンな感じの美術だった。大きなセットを使わずの小物を置き換えることと照明で、場面に変化を付けていた。中世か古代の戦争の様子を描いた緞帳のようなカーテンを2枚使ったところが特徴。これらが上下左右に動いて様々な場面を作り出す。それぞれがマンリーコとルーナ伯に対応している。衣装が重厚で豪華だった。

演奏は切れ味よく厚みと迫力に満ちていた。

松井は当初予定されていた石原妙子に代わっての代役。プロダクションはパルマ王立歌劇場とフェニーチェ劇場との提携制作。

16.02.21 東京文化会館
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フィガロの結婚/新国立劇場オペラ研修所公演2016

2016-03-12 | オペラ
フィガロの結婚/新国立劇場オペラ研修所公演2016

作曲:モーツァルト
指揮:河原忠之、演出:粟國淳
装置:横田あつみ、衣裳(コーディネーター):加藤寿子
演奏:新国立アカデミーアンサンブル
出演:
フィガロ:千葉裕一、スザンナ:城村紗智、ケルビーノ:竹村真実
伯爵:大野浩司、伯爵夫人:西尾友香理
バルトロ:氷見健一郎、マルチェリーナ:藤井麻美
バジリオ:水野秀樹、バルバリーナ:宮地江奈
クルツィオ:岸浪愛学、アントニーオ:山田大智
花娘:砂田愛梨、宮地江奈

客席に対して垂直に立つ、分厚い小さな壁を幾つか横方向に設置して、これらを一斉に横方向にスライドさせて部屋や中庭、廊下などの空間を様々に作り出し、舞台を変化させる方式。照明を変化させることで各々の場面の雰囲気を感じさせるようにしていた。衣装はオーソドックス。スザンナが最初に着ていたドレスが色を多用していてかわいかった。ロジーナがメタリックなワインレッドのマント、スザンナが水色のメタリックなマント、最後の場面は色分けして分かり易くしていた。

城村は声が良く出て綺麗。活発でかわいいスザンナ。西尾はやや重い声量のある強いソプラノ。手紙の二重唱は良く揃ってうっとりだった。竹村はソプラノらしいけれどケルビーノ。頑張って誠実な感じ。千葉は手堅い落ち着いたフィガロ。大野は真面目。バジリオのアリアは有りだったけれど、マルチェリーナのは無しだった。藤井はゲストで3日通しでの出演なので仕方なかったのかも知れない。

新国立アカデミーアンサンブルが何者なのかは分からないが、分厚いいい音が出ていたように思う。すごく手慣れた感じで、序曲も安定していたし、オペラの途中でも演奏がいいぞと思うところが幾つかあった。

合唱は東京音大の学生。

16.02.20 新国立劇場、中劇場
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