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マレーシアの医療:公立医療施設と私立医療施設の説明

2013年05月19日 | マレーシア生活の案内と知識

マレーシアの医療については、以前の記事で1回書きましたので、始めにご覧ください:
『歯医者とマレーシア医療制度のお話』 2010年2月28日付け (【マレーシア生活の案内と知識】カテゴリー)

今回は制度面をもう少し具体的に説明し及び公立、私立の医療施設に分けてみていきます。なお歯科については触れません。

マレーシア生活に限らず海外での生活で最も気になることの1つは医療面です。
気になると書いたのは、必ずしもそれが障害になるとは言えないからです。

当ブログの趣旨からマレーシアに限定します。クアラルンプール及びその近隣は、国内で最も医療施設が種々あり数多いことは疑いのないことです。ペナン島ジョージタウンには大型の総合病院が数あり、半島部北部で一番医療施設が整っていると言えます。代表的な都市であるジョーホールバル、マラッカなどにも大型の医療施設を目にします。当ブログで最近解説を加えた、ジョーホール州のIskandar Malaysiaでは高級な医療施設の建築計画も公表されている。

今回の記事で触れる公的医療制度面での説明は全国共通なものです。公私立の医療施設に関してはクアラルンプール圏に絞ります。

公立即国立である医療施設として、クアラルンプール病院、マラヤ大学医療センター、マレーシア国民大学病院などが代表的な公立大総合病院です。ごく少ないながら単科専門病院もある、国立心臓インスティテュート、The Tun Hussein Onn 国立眼科病院など。

私立病院は大は高級ホテル並みの外観を持つ立派な建物とロビーを持つ、有名私立病院がクアラルンプール及びその近郊に2桁数あります。例えばSime Darby メディカルセンター、Gleneagles Kuala Lumpur病院など。
交通便利な場所には昔からよく知られている中小規模の私立病院もあります。    例えば、Assunta Hospital, Tawakal Hospitalなど。

【公立即国立である医療施設に関して】

マレーシアの特徴として、公立即国立の医療施設は(比較すれば)少数の大規模総合病院と中小規模の病院、及び数多い小さな医院・診療所の2種類に分かれる。
大学病院と専門病院を除いて、国立病院は全国に約140あることが保健省のサイトでわかる。医院・診療所の数は全国で2800か所を超える。
なお州立とか地方自治体立のような病院と医院はありませんので、公立=国立になる。この場で公立と書く場合は即国立となる。

国内津々浦々にあるのが、全て保健省の管轄下にある公立医院・診療所です。 料金はごく低料金に設定されており、そういうこともあって外国人の中ではとりわけ外国人労働者が多く掛かっているようです。
こういう小さな医院・診療所には専門医がいません、いわゆる一般内科医だけです。小さいからといって古い建物ばかりかというとそうではなく、2000年頃以降に新しく建てられた、改築された、新しい建物も少なくない。公立医院・診療所とは別の範疇として近年発案されて設置数が増えている Klinik 1 Malaysiaは全て新しい公的医療施設です。
注:一般内科医は general practioner、略称GP、と呼ばれる。

公立の医院・診療所には専門医が全くいないことから、公立の医療施設で専門科目を診てもらう際には、必然的に公立総合病院に行くことになる。これが結構大変です。 国立総合病院の中には公共交通面で便利とは言えない場所にある所もあるし、いつも混んでいると言われているからです。

その第一の理由は、公立の医療施設の料金が私立の医療施設に比べてはるかに安価に設定されていることです。例外はあるものの基本的に外国人に適用される料金表は国民のそれの大体 2倍になっているが、それでも私立の病院に掛かるよりかなり安くなるのは間違いない。

外国人患者に適用する料金表の例:一般外来診察費 RM 15、レントゲン撮影 RM 50、専門科外来診察費 RM 60、通常分娩費 RM 500、入院料 4人部屋で1人1日当たりRM 80、
詳細な料金表が保健省のホームページに掲載されている。

マレーシアには国民健康保険、会社・組合健康保険といった公的な制度自体が存在しません。そこで、公立=国立の医療施設がいわば健康保険の代替えの役割を果たしている。つまり公立の医療施設の利用料金を政策的にかなり低く設定して、低所得層の人たちにも十分利用できるようにしている。

公立の大病院は低所得者層から中の下位所得層の利用者が多いでしょうが、そういう層だけ向けであると捉えてはいけません。立派な外見と新しい医療設備を備えた病院にするべく国は予算をつぎ込んでいるからです。よって中流層以上であっても私立病院より国立大病院を選ぶ人たちも少なくない。
病室には等級があり、つまり料金表に基づいて個室も備えている。また検査、手術などに課される料金一覧表が掲げてある(はずです)。
大総合病院は、実際病院外見と規模は有名私立大病院に引けをとらないとの印象を持ちます。

なお一部の公立大病院では、ベテラン医師が一般診療とは全く別の特定時間に特別料金表適用の条件で患者を診る仕組みがある、例えばマレーシア国民大学病院など。いわば公立病院制度下の私立医療と言える。

マレーシア国民の中には、そして白人を含めたエクスパトリエイトらにも、国立大病院をあまり評価しないとか否定的な言を吐く、人たちが少なからずいます。そういう外国人の場合は、全くマレーシア語を習おうとしないことから最初から敬遠している、または人から聞いた話を鵜呑みにする人たちが多いでしょう。

イントラアジアは、国立大病院は大変優れている、良い、だから是非行くべきだと強く勧めているわけではありません、といって避けた方がいいなどとはもちろん言いません。
国立病院に掛りたくない人は、私立有名病院へ行けばいいことであり、診てもらったこともなく、足を踏み入れたことすらもないのに、見下した評価は避けるべきだと言いたいのです。

【私立医療施設に関して】

私立の医療施設について概論します。
一般的な個人または医師2人程度の小さな医院は総数からいえば非常に数多くあります。言うまでもなくこれは地区によって大きな差がありますので、1軒か数軒しかない地区もあれば、イントラアジアの住む地区のように20軒近くも集中している地区もある。 

一般論として言えば、クアラルンプール及びその近郊では一般内科医(general practioner、略称GP)が常駐する個人開業的な医院を探すことは容易です。
この内、個人開業医とは多少違うであろう、統一した名称を持った医院が比較少数としてあり、そういう医院では勤務医がいます。

その一方で専門医のいる個人医院または医院が少ないことです。クアラルンプールの都市域でも、耳鼻科、眼科、整形外科、胃腸科、小児科、泌尿器科といった専門医院は少ない。まして例外はあるものの周縁部や郊外では非常に少ない。その中で比較的目にするのは、恐らく産婦人科でしょう。日本より出生率がずっと高いことがこの背景だと推測される。

専門医の個人医院は確かに少ないが、皆無ではないので、、例えばクアラルンプール中心部の一画にはそういう専門医がかたまって入居しているビルもあります。恐らく高級地ほど個人専門医が開業しやすいことでしょう。
また一般内科医の看板に加えて、胃腸科や性病科や呼吸器科の文字を掲げている医院もあります。レントゲン設備を備えていれば、それを医院の外面に表示している。放射線技師がいるとは思えませんが。

しかし全体的にいってクアラルンプールと言えども、個人専門医院はかなり少ない。地方の町で果たしてこういう専門医院があるのだろうか? 実際、ないと思っておく方がいいでしょう(だから公私立の総合病院へ行くことになる)。

そこで専門医に診てもらう場合は、多くの場合または必然的に総合病院へ行くことになる。ビルに入居した小規模な病院から、大敷地に建つ有名大総合病院まで種類があります。
専門医院や私立病院の障壁は、まず料金です。とにかく高額である。軽い診察であっても1回に付き最低でも百リンギットを超える、恐らく数百リンギット掛かることも珍しくないでしょうから、低所得層にとっては初めから考慮外です。診察と検査以外に薬代もかかりますからね。
公的保険制度がないとどうなるかがよく実感できます。

私立病院での料金を負担できる層の人たちは、私立病院の方を好むと言えそうです(上記で書きましたように、皆が皆ではないので、傾向としてです)。国立大病院の混雑が避けられる、中堅と熟練医師が多いと言われている、払う金に応じたサービスを期待できる、からでしょう。

富裕層だけでなく、それなりに余裕があったり医療保険をかけている中流層にも私立病院に掛る人が多いようです。もちろんこれも、病状、住所地から病院までの便利不便利さ、病院の持つ評判、個人の好みが要因となって、どの病院を選ぶかを決めることになるのは、マレーシアでも同じはずです。

【医療保険の必要性】

以前マレーシアの医療保険をざっと見てみた限り、入院と手術への補償がほとんどで、通院への補償は極めて限定したものでした。何年か前イントラアジアは外国系保険会社ではなくマレーシアの保険会社に1年間加入してみましたが、その約款での通院補償は全く不十分でした(保険金を申請することなく、更新しなかったので1年で自動解約)。
ということから、私立病院に掛かるには、必然的に経済的余裕が必要となる。

マレーシアマイセカンドホームプログラムの申請参加条件の1つに、あらかじめマレーシアで適用される医療保険に加入しなければならないことは、当ブログでも詳しく説明したことです。
 そこで日本人のマレーシアマイセカンドホームプログラム参加者は、日本の医療保険に長期加入している人がほとんどでしょうから、多くの場合は補償対象になりそうです。規則上マレーシアに本拠を置く保険会社に加入もできるが、そういう日本人は少数派ではないでしょうか(こういうことをきちんと調査した数字があるのかな?)

自治体管轄の国民健康保険でも、加入者は海外で医者に掛かっても保険が適用されるそうですね、ただし現実運用においてどこまでそれが補償・付保されるのか、自治体によって補償・付保度に違いはないのか、といった疑問もでてきそうです(1自治体が世界各国で発生した医療請求費を調査などできるわけがない)。いずれにしろ、この場合はキャッシュレスではないので、全て一時自己負担になる。

【医院と病院にはあらかじめ掛かっておこう】

医師と病院選びで、個人の事情と好みから大いに違いが起きるのは不思議ではありません。ある人にとって満足のいく医師、病院であっても、ある人にとってそうではない場合は当然ある。掛かる医師と病院に常に満足できるとは限らないのは、国の違いではなく、医療と医師と患者の関係を考えれば不思議ではないことは皆さんも同感されるはずです。

以上のことからイントラアジアがいつも主張するのは、病気やけがが切羽詰まってから初めての医師に掛かるのではなく、軽いうちに医師に掛かっておくことです。どういうことかというと、風邪でも腹痛でも肩痛でもなんでもいいです、自分の掛かりつけ医療機関の対象になりそうだと思う(複数の)医院または病院で診てもらい、自分との相性やその医療機関のあり方を知っておくべきだということです。

マレーシアマイセカンドホームプログラム参加者であれば、マレーシアのどこかに住むことになる。日本とマレーシアで半々生活というように1年の内半分くらしか住まないのであっても、住居を定めて住むことに変わりはない。そういう定住者ですから、通える範囲の医療機関をあらかじめ経験しておくことができます。

旅行先ではこういうことは無理なことはおわかりでしょう。何十という国々を長年歩き回ってきたイントラアジアですから、旅先で医師に診てもらったことは何回かあります。そういう時ぶっつけ本番で病院を訪ねるわけですから、その医療機関の様子自体がまったくわかりません。これは旅行者にはほぼ避けられないことですが、プログラム参加者のようないわば定住者であれば、多少準備をしておくことができるということです。

人口10万人にも満たない地方の町であれば、その町の近くにある州の代表的な公立総合病院しか選択がない、という場合が多いでしょう。
その点、クアラルンプール及びその近郊には、有名私立大病院を含め私立病院はかなり選択できる数がある。他の都市圏より選択が多いのは、都市規模の大きさから当然です。ただいくら選択が多くあっても、人は5つ、6つもの病院に掛ることはないはずです。やはり1つの病院か、せいぜい2つの病院になりますよね。

医療に対する評価は個人間で大いに捉え方が違う、そしてその人の病状、経済状況、医療観、言語の問題、住居地によって、選択は狭まっていく。つまり百軒の病院があってもその全てが選択対象になることはない。

選択に満足できない人は、不満を抱えているよりも早急に日本へ行って(帰って)かかりつけのまたは新たに医院・病院に掛かるというのが、主要な選択だと思います。とりわけ言語面でコミュニケーションが取れない人は、そうすべきではないでしょうか。

住居に関する選択は個人の経済状況と嗜好に大いに基づくはずです。医療に関する選択はそれ以上にその人の身体状態の要因がずっと大きい。どこに居ても医療選択は容易ではないですね。



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