【プログラムにおける2016年上半期を手短に評する】
2016年10月中旬時点で マレーシアマイセカンドホームプログラム当局が公表している、今年(2016年)の新規参加者統計は6月までの数字です。
定義:新規参加者とは、マレーシアマイセカンドホームプログラム当局に参加の申請をして、承認が下りた人のことをいう。
半年間の統計ですから、2016年のマレーシアマイセカンドホームプログラムにおける年間傾向はそれなりにつかめると言えそうです。ただし下半期が上半期に比べて大きな変化を起こす可能性まで否定することはできない、ことは留保しておきます。従って当記事で述べるコメントはあくまでも上半期の傾向を基にした推測になります。
そこで今年のプログラム参加者傾向をひとことで評すれば、比較的低調という表現がふさわしい。
2016年6か月間における世界中からのプログラム新規参加者数は804人です。2015年の同期間は872人でしたので、8%ほど減っている。
「比較的低調」と書いた根拠を示しておきましょう。世界中からのプログラム新規参加者数における最近5年間の”年間新規参加者数合計”を比較してください。
2011年 2387人、2012年 3227人、2013年 3675人、2014年 3074人、2015年 2211人、
【日本人のプログラム新規参加者数は引き続き減少傾向にある】
それでは読者の皆さんに一番興味がある、関係がある、日本人参加者数に移ります。
日本の新規参加者数 -月別統計
1月 7人、2月 6人、3月 23人、4月 11人、5月 14人、6月 20人
7月 人、8月 人、9月 人、10月 人、11月 人、12月 人
6月までの合計:81人
2015年の6月までの日本人新規参加者数は 147人でした。よって2016年半年間の新規参加者数は前年同期比で大幅に減っていますね。実は2016年上半期は単に2015年に比べてだけでなく、数年来続く減少傾向をさらに示しています。
そこで別の統計も示しておきましょう。
日本人の年間新規参加者数の推移 - この10年間
2006年:157人、2007年:198人、2008年:210人、
2009年:169人、2010年:195人、2011年:423人、
2012年:816人、2013年:739人、2014年:428人、
2015年:300人、
参考として世界中からの年間新規参加者数の推移 -この10年間
2006年:1729人、2007年:1503人、2008年:1512人、
2009年:1578人、2010年:1499人、2011年:2387人、
2012年:3227人、2013年:3675人、2014年:3074人、
2015年:2211人、
日本人の場合、2011年から2014年までは大幅に増えた期間です、とりわけ2012年と2013年が特異的に多人数となっている。
世界中からの合計を見ると、2011年から増加率が一気に増えて2千人台に載せ、とりわけ2012年から2013年までの3年間は高揚期であった。
日本からの参加者は一見2012年から急激に減っているようにみえます、しかしこれは特異な2年間を考慮して判断すべきです。次にその点を説明します。
【2012年と2013年の参加者数の異常なる増加は特異なできごとであった】
日本人の新規参加者数が突然変異的に増加した件に関して、過去当ブログに掲載した記事の中から、いくつかキーになる文章を引用します。
2009年04月21日付け『日本人のマレーシアマイセカンドホーム参加者数を考察する』という記事から引用:
「日本人のマレーシア観光訪問者数をこの10年間で見ると、おおよそ年間30万人から40数万人の間を推移しています。マレーシア観光に要する料金・費用の変化にも関わらず、今後もこの範囲を外れることはなさそうです。その主たる理由は、日本人一般にとってのマレーシア人気があまり変化しそうにないことだといえます。つまりマレーシアへの先入観念とマレーシアのイメージが大きく変わることは考えられないからです。
この分析は、定年後引退後の長期滞在を考えていらっしゃる人たちにも適用できるでしょう。マレーシアを熟知した上で、マレーシアマイセカンドホームプログラムに参加される方は、そうではない方たちよりもずっと少ないと推測されます。つまりある国への先入観とその国のイメージは、結構大きな心理的影響を及ぼすと考えられます。こうした分析を通して、日本人のマレーシアマイセカンドホームプログラムの年間新規参加者数が、将来現在の3倍増、4倍増にもなるというのは非現実的な予測だと、Intraasia は結論付けます。」
次は2011年12月4日に掲載した『マレーシアマイセカンドホームプログラムへの新規参加者数が2011年は大幅に増えている』記事から引用:
「2000年代後半は、日本人のプログラム新規参加者数において年間平均200人弱です、つまりこの数字が5年や6年程度で600人、800人にもなるのはありえない、との判断をしました。この記事を書いてから2年半ほど経った現時点(2011年12月)でも、イントラアジアはそれは当てはまると思っています。上記に書きました2011年の傾向を踏まえても、あと数年で年間 500人を超えるのは難しいのではないでしょうか。
ただし前にも書いた次のことを前提条件として付記します:
「マレーシアマイセカンドホームプログラム当局は、申請条件の厳格化と審査のあり方の見直しを随時しているようです。これまでも時々起こったように、政府の方針変更と当局の思惑しだいで申請条件と審査のあり方いつでも変わりうる。」 従って「マレーシア当局がマレーシアマイセカンドホームプログラムの申請条件と審査において大きく”下方にぶれ”を起こせば(条件の大幅緩和)、日本人参加者の数がこの予想値をかなり超すこともありえるでしょう。」
以上は過去の記事からの引用です。
上記で示したように、日本人新規参加者は 2012年:816人、2013年:739人という驚異的な数であった。この異常な多さを Intraasia は予測できなかったが、それはまさに異常な2年間であったからです。マレーシアマイセカンドホームプログラムに対し日本が持っているファンダメンタルズを無視した2年間と言える。なおこの2年間を挟んだ2011年と2014年も結構参加者数が多い年でした。
そしてその異常なブームが過ぎ去った昨年(2015年)の新規参加者数は300人であり、今年は2000年代後半並みの200人前後ぐらいになるかもしれない(あくまでも現時点での予測)。
【今後は日本人参加者数が長続きする漸増傾向に転じることに期待したい】
日本はプログラム参加者数で中国と競っても既に意味がありません。マレーシアマイセカンドホームプログラムをもう何年も寡占している中国は、「世界中の参加者数合計で比較的低調」と評せる今年(2016年)の半年間でさえ、804人中の284人を占めて国別新規参加者数でダントツの1位です。
ちなみに2位はバングラデシュの83人、3位が日本の81人です。
マレーシアマイセカンドホームプログラム当局が、参加者数合計だけに注目して国別の異常な偏りを意に介さないあり方を続けている限り、中国人参加者によるプログラム寡占状況は解消されないでしょう。
そもそもマレーシアという国の性格は1990年代、2000年代、2010年代と時が移ってもとりたてて変化していない。民族構成が目立って変わったわけでもなく、社会的不安定さが増したこともない、外国人長期居住者を引付けるファンダメンタルズに決定的に影響を与えるような変化は起こっていないということです。
こうした現実を把握したうえで、当ブログは、時々強調しているように、 マスコミや業者が創り出している海外ロングステイのイメイージにこだわらない人たち、ブームや商売臭に満ちた宣伝に捉われずにご自分が、加えて配偶者も、マレーシアに興味あるまたはできればマレーシアに住んでみたいという方々、を応援しています。
従って日本人の新規参加者数減少傾向が今年で底を打ち、その後はごく緩やかに参加者数が増え且つ長続きする増加傾向に転じて欲しいものです。急激な増加は望みません。
それを支持する理由を住と交通面で2つあげるなら、当ブログで時々お伝えしてきたように、マレーシアとりわけクアラルンプール圏における交通インフラの向上は90年代に比べて飛躍的に向上し現在進行中であること、及び中流階層の住居自体はもともとなかなか魅力的であることです。