当ブログのずっと以前の記事で電気料金のことを取り上げました: 『マレーシア生活における光熱費を計算してみましょう』- 2009年12月25日付け
そこで電気料金の改定がこの1月を期して実施されましたので、今回の記事で説明しておきます。
【 2014年1月から実施の改定電気料金】
政府が2013年に認めた、半島部とサバ州で適用される改定電気料金表からです。半島部の電力会社は Tenaga Nasional Berhad, サバ州は Sabah Electricity Sdn. Bhd. です。なおサラワク州だけは今回の改定に含まれない。
月間使用電力量の単位はキロワット時 (kWh)、 右側の数字はその料金範囲、
一般家庭用契約
0- 200 kWh: RM 3.00 - RM 43.60,
201- 300kWh: RM 43.93- RM 77.00,
301- 400kWh: RM77.52- RM 128.60,
401-600kWh: RM 129.12- RM 231.80、これ以上は省略します
参考までに商業用利用契約 (低電圧)
0-200 kWh: RM 7.20 - RM 87.00, 201-300kWh: RM 87.51- RM 137.90,
301- 400kWh: RM 138.41 - RM 188.80, 401-500kWh: RM189.31 - RM 239.70、
501- 600kWh: RM 240.21 - RM 290.60, 601- 700kWh: RM 291.11 - RM 341.50,
これ以上は省略します
ほとんどの電力利用者には、再生可能エネルギー基金へ収める追加料として 1.6%が電気使用料に上乗せされる。ただし、一般家庭用契約で且つ月間300キロワット時以下の場合だけはこの追加料は課されない。
少量電力量使用者に関しては値上げはなし
一般家庭用契約の少量電力量使用者つまり月間300キロワット時以下の料金だけはこれまでの料金と同じですが、それ以上の多量電力使用者、及び商業利用契約、工業利用契約など一連の電気料金が改定された。
一般家庭用電気契約において、各使用量範疇に占める顧客の割合:0-200 kWhの範ちゅうで50%、201-300kWhの範ちゅうで20%
要するに一般世帯の70%は月間電気使用量が300キロワット時以下ということであり、この範ちゅうの使用量は今回の電気料金値上げから除かれたということです。
常識的に考えて、普通の世帯であればこの使用量範ちゅうですから、マレーシア生活される日本人滞在者も当然同じとみなせます。
ところで、小電力量使用者の家庭の電気代が直接値上がりすることはなくても、電気はあらゆる社会活動と全ての人の生活に関わるので、電気料金改定は身近な物価に影響をもたらすであろうことは容易に予想がつきます。
電気と並んで生活の絶対必需は水です。水道料金が値上げされるということではありません、それよりもっと深刻である、クアラルンプール圏の上水道供給における問題です。
この問題は既に数年前から時々報道されてきたので、イントラアジアにはとりたてて目新しいニュースではありませんが、ほとんどの読者の方はご存じないことでしょう。
まず2013年12月25日付けマレーシアの主要紙に載った広告(公告)の内容を以下に載せます。
【水道供給会社が各紙に載せた水道供給に関する公告】
水道供給が危機的な状況である -SYABAS
(Intraasia注:SYABASとは、スランゴール州とクアラルンプールとプトゥラジャヤにおける水道供給を一手に管理運営する会社の通称です。浄水場を運営する4つの会社とは別の会社です。)
複数の地区でしばしば断水が発生していることに鑑みて、SYABAS は消費者の皆さんに次のことをお知らせします:
スランゴール州とクアラルンプールとプトゥラジャヤにおける現在の水道供給は危機的な状況になっています、その理由は我々の浄水化した供給できる上水の供給予備能力が2013年を通じて1%を割っているからです。
現在供給予備力がほとんどないことから需要が増して供給能力を上回るたびに、特定地域で予期せぬ断水がより多く発生することが予想されます。
SYABAS は、上水の予備供給能力は最低でも10%あるべきであり、望むべくは20%であることを、ここで強調しておきます。
スランゴール州とクアラルンプールとプトゥラジャヤの消費者は、現在の状況、及びSYABAS と当局が実施している実行プランをよく理解されることが期待されます。さらに消費者側でも、現在の水道供給状況の影響を減らすことに協力することでその役割を責任を持って果たされることが期待されます。
断水がしばしばおこる地区の一覧表(その影響を受ける世帯数)
Intraasia注:下記の地名は行政上の地方(daerah)名です。
・Hulu Langat 地方(2万7千世帯):地区名は省略
・Petaling 地方(24万7千世帯):Puchong全体、Subang 空港、Badar Tasek Selatan, Kerinchi, Jalan Klang Lama,Desa Petaling, Pekan Sungai Besi, Bandar Utama, Jalan Kuchai Lama, Universiti Malaya, Bandar Baru Sri Petaling, Bandar Kinrara全体、Taman Seaport, Taman Seapark , Subang Jaya (SS12-SS19) 、
・Kuala Lumpur (3万2千世帯): Cheras Baru, Pandan Jaya, Taman Miharja, Taman Cempaka, Taman Pandan Jaya, Taman Cempaka, Jalan Ampang Hillir, Jalan Semarak, Taman Melur, Taman Chahaya, Taman Pandan Jaya, Desa Pandan, Pandan Cahaya, Taman Bukit Permai, Taman Muda など
・Klang , Shah Alam 地方(2万6千世帯):地区名は省略
・Gombak 地方 (6万6千世帯):地区名は省略
以上
【Intraasia のコメント】
スランゴール州は民聯 (Pakatan Rakyat) が州政権を握る州です。このため大枠での水道事業とその長期計画に関して、及び水資源開発と運営と所有を巡って、国側と州政府の双方が互いに主張を譲らず、非協力関係がこの4,5年続いている。
おかげで水道供給の余裕が減少し続けているようです。その責任はSYABASの背後にあるBarisan Nasional (国陣)が政権を握る連邦政府とスランゴール州政府の両方にあるはずです。
住民として、消費者として大事なことは何よりも水道供給の末永い安定ですね。水道供給計画はかなり先の需要まで見込んで立案する必要があることを我々は知っています。今年の夏水不足になりそうだからといって、急に解決できないだろうことは素人でもわかる。
大断水にならないように連邦政府とスランゴール州政府が協力して欲しいことを願うだけです。
断水の起こりやすい地区として上記に掲げた地区は、真っ先に断水の影響を受ける地区といえるでしょう。最も影響世帯数が多い Petaling 行政区分には少なからずの日本人も居住している(はずの)ペタリンジャヤ市、スバンジャヤ市も含まれる。こういう地区の住民は腹立たしいことになる率が高い、お気の毒にと同情します。 これから住むつもりの人はこういう地区名も参考にした方がいいかもしれません。
2014年3月上旬の追記
現実としてクアラルンプール圏で給水制限が行われています。
詳しくはイントラアジアのブログ 『マレーシアの新聞の記事からブログ』 をクリックして(別ウインドウが開く)、2014年3月8日付けの記事 「クアラルンプール圏の給水制限地区がさらに拡大されて」 をご覧ください。
【銀行口座について】
どこの国で暮らそうと銀行に口座がないと、生活の一面がかなり不便になります。例えば旅行先の国に滞在中に、ATM機で自由にお金を引き出せたらなあとほとんどの人が感じることでしょう。このように銀行に口座を持っていることは、必需ではないけどかなり必需に近いことだと言えます。
現在では日本の銀行の銀行カードを使ってある国のATM機で引き出せるサービスが普及してきたようですから、引出し自体は困らなさそうです。とはいえ、全ての銀行カードがこの外国でATM機引出しサービスができるのかどうかは、イントラアジアは知りません。
また引出し時は外国為替の両替率が適用されるので、為替率も気になります。いうまでもなくこのサービスでは預け入れは一切できません。
マレーシアに住む場合、マレーシアマイセカンドホームプログラムに参加すれば、必然的に銀行口座を開くことになる。当ブログの過去の記事で数回説明したことです。
必然的に開設するのは定期預金口座ですが、その際銀行は普通預金口座の開設も勧めるでしょう。その銀行に定期預金口座を持てば、他の口座も開設することは何ら問題なくできる。プログラム参加者の大多数は即時にまたは後日普通預金口座も開設されることでしょう。
マレーシアでビジネス・事業を立ち上げてエクスパトリエイトパスを保有している方は、もちろん会社設立の際、銀行口座を開設するので別に困ることはない。そういう方はこの話題には関係ありません。
マレーシアマイセカンドホームプログラムに参加せずにマレーシア滞在される方の場合は、こうはいきません。これは以前の記事で説明しました:『マレーシアマイセカンドホームプログラムに参加せずにロングステイ(中長期滞在)する』-2009年11月13日付け
ですから一般的な社会訪問パスを更新しながら、マレーシア滞在する場合、銀行口座が開設できないという面がどうしてもでてきます。
その解決策があると、マレーシア銀行協会が2013年12月下旬発行の新聞の記事中で説明していますので、抜粋翻訳して紹介しておきます。
いうまでもなく、普通の外国人旅行者がふらっと銀行の窓口に立ち寄って、口座を開設したいと伝えても、もちろん相手にされませんよ。きちんと以下の内容を把握してください。
【社会訪問パスの在マレーシア外国人が銀行口座を開設できるための条件】
マレーシア銀行協会の専務理事が新聞でこれを説明しています(2013年12月に掲載されたもの)。
マレーシア銀行協会は次の点を明確にします: 協会加盟のほとんどの銀行は、社会訪問パスによってマレーシアに滞在している外国人で、マレーシアの不動産を購入する意図を有する者には普通口座/当座預金口座を開設し利用することを認めている。ただし銀行の定める条件と規定に合致している場合に限る。
この銀行の定める条件と規定は、一般に次のようなものである:
・所持している有効なパスポートを提示すること
・(もし参加者であれば)マレーシアマイセカンドホームプログラムの参加者である証明を提示すること
・必要な場合は、購入する不動産の売買契約書のコピーまたは外国投資委員会の許可証明のコピーといった(不動産購入を証明する)書類を提示すること
・その銀行の顧客適正評価と顧客としての必要条件 に合致すること
マレーシア銀行協会の一般問い合わせ番号:1-300-88-9980, www.abm.org.my
【Intraasia のコメント】
社会訪問パスとは大多数の旅行者やごく短期間の商談などのためにマレーシア入国する外国人に与える滞在許可証です、日本人の場合は90日間の場合がほとんどでしょう。ただしこの期間は入国者の権利でなく、あくまでも Imigresen 係官が判断するものなので、ある人は30日有効のパスがパスポートに押されたということは起こり得る。
いわゆる観光ビザなどというものは、マレーシアの法規上は存在しませんよ。ビザとは入国査証であり、旅行者である日本人はビザ取得免除となっている。昔から言われており且つ現実に銀行が適用していることは、社会訪問パスだけを保持している外国人には口座開設を認めないことです。つまり一般的な旅行者では銀行口座を開設できません。
マレーシアマイセカンドホームプログラムの加入者には当初から口座開設を認めている。この点は上記で触れたように、当ブログで詳細に解説しています。
マレーシア銀行協会の専務理事の説明が示していることは、要するに社会訪問パスだけの外国人旅行者であっても住宅を購入できるような裕福な者、投資者にはついては審査したうえで銀行口座開設を認めます、ということです。
あからさまな経済優先志向の方針ですな。
なお既に当ブログでお知らせしたように、2014年1月から外国人が買える不動産の最低価格はRM 100万以上になります。マレーシアでは連邦制ですから、州によって多少実施の細目は異なる。
1ユニット(1戸)あたりRM 100万以上の住宅不動産を具体的に購入する、投資するつもりの人は、デベロッパーとの購入交渉をある程度詰めた段階で、デベロッパー側が証明するような書類を持って銀行の窓口へ行って、口座開設の申請を行うということではないでしょうか。
詳しくは各銀行の担当窓口でどういう書類が必要かは説明してくれるはずです。
当ブログの読者の中で、RM 100万以上の住宅不動産を購入する意向の方は、恐らくごく少ないでしょうが、こういう方式もあるということでお知らせしておきます。