マレーシア マイセカンドホーム  -シニア世代の海外ロングステイ-

マレーシアにロングステイする”マレーシアマイセカンドホームプログラム”の情報と解説のブログ。最新更新 2017年4月

マイセカンドホームプログラム参加者は住み込みメイドを雇うこともできる

2011年11月02日 | プログラムに関わる事柄の説明
はじめに
マレーシアマイセカンドホームプログラム参加者も家庭内住み込みメイドを雇うことができます。とはいうものの日本人参加希望者・予定者の場合、このことを予定または希望されていらっしゃる方は恐らくごく低い割合ではないだろうか、とイントラアジアは推測しています。

誤解なきように強調しておけば、この場で日本人参加者に住み込みメイドを使うことを勧めているわけでも、反対にお止めなさいと示唆しているわけでもありません。マレーシアマイセカンドホームを案内・解説する者として、マレーシア社会の特徴的な面を紹介している中で、このことも触れておかねばと思うからです。

そこで、まず家庭内住み込みメイドに関する基本的知識を書きます。

【住み込みメイドに関する基本知識】

マレーシアの中上流階層では家庭内住み込みメイドを使うことが普通に行われています。普通にということの意味を説明しますと、上流層は別として、中流層ではほとんどの家庭が住み込みメイドを使っているまたは使ったことがあるということではないが、しかし住み込みメイドを使っている、使ったことのある家庭は全然珍しくないということです。マレーシアマスコミのニュースやマレーシア人の会話の中に、住み込みメイドに関する話題はごく普通に出てきます。

都市部と田舎部では当然違いがあり、住み込みメイドの雇用は圧倒的に都市部、とりわけ大都市圏に集中しています。それは都市圏の生活スタイルと生活志向に多分に基ずくものと言えます。

マレーシアで住み込みメイドが好まれる、珍しくないという現象は数十年来のことであり、近々の現象ではありません。この現象を支えているのは、東南アジアの各国における国内経済格差及び東南アジア諸国間に存在する極めて大きな経済格差です。どんな経済指標をとっても断トツのトップとしてシンガポールが位置するのはいうまでもありません。

東南アジアでメイドを使うのはいくつかの国々で普通に行われています。ほぼ100%国外からメイド供給を得ているシンガポール、外国へメイドを含めた労働者として出かける国民の割合がアジアで一番高いフィリピン、国内の中上流層が自国民の住み込みメイドを使う一方メイド供給国として他国へメイドを送り出しているインドネシア、のように国によってかなりの違いがあります。(南アジアの一部からも住み込みメイドは来ているが、ここでは東南アジアに論点を絞ります)

マレーシアはすでに自国民をメイドとして全く供給できなくなっており、シンガポール並みに国外からのメイド供給に依存している国です。家庭内住み込みメイドは、その社会的地位の低さ、通常の雇用被雇用関係ではない服従関係を内在したあり方、労働に見合わない低賃金、という3大要素のために、東南アジアの中進国マレーシアではもはやマレーシア国民は家庭内住み込みメイドとして働くことに全く興味を示しません。

国内に絶えず需要があるのに国内から供給がない以上、外国からメイド供給を受けるしか方策はありません。そこでマレーシア政府はメイド供給国として、10カ国ほどを認定しています:インドネシア、フィリピン、タイ、カンボジア、ベトナム、ミャンマー、スリランカ、など

メイド供給は全て、それぞれの国のメイド雇用代理業者またはその国の特定公的機関が募集して送り出し、マレーシア国内のメイド雇用代理業者が受け入れ、それを顧客であるマレーシア国内の家庭に”売る”という形になります。 非情な表現を使ったのは、使われる立場の住み込みメイドが自身で雇用家庭を選ぶことはできない、ありえないからです。なお供給国の側でメイドがどれくらい厳しい条件で雇用されてくるかは、あまり興味を持たれることはありません。

注:家庭内住み込みメイドを”住み込みお手伝いさん”などという風に訳すと、その本質が隠されてしまいます。住み込みメイドをマレーシア語で Pembantu rumah と言います。マレーシアの英語では時に domestic helper という婉曲表現も使われますが、これはお手伝いさんという表現のように本質を隠蔽した言い方ですね。
追記:この場は住み込みメイドを論ずる場ではないので、掲載当初は書かなかったことです。イントラアジアがこれまで書いたものをお読みになっていない方の中には、ちょっとした誤解をされる方があるようなので、ひとことだけ書いておきます。マレーシア人で、というより東南アジア人で住み込みメイドを使う人たちがメイドを正当化する思考に、メイドとして働く女性たちを自分たちとは”違う人種”だという捉えかたがある。だから時に公平、権利というようなリベラルな言動をする人であっても、決して雇用被雇用関係とは呼べない住み込みメイド的なありかたを許せるということになる。


世の常として、規則や法律に反してまたは無視して事を行う人たちがいます。住み込みメイド雇用の世界でも同じであり、違法非法メイド代理業者の暗躍は時々ニュースになります。例えば、マレーシア国内へ連れてこられたメイドが被雇用先の家庭から逃亡してしまう、そういう逃亡メイドを別の家庭に斡旋する非法代理業者の存在もよく言及されます。また、雇用者自身がインドネシアへ出かけて向こうの業者から直接斡旋してもらうようなことに対して、インドネシア政府は違法行為だからそういう者は逮捕すると警告しています。

以上は家庭内住み込みに関する基本的な知識としておいてください。イントラアジアは家庭内住み込みメイドを含めた外国人労働者に関してこれまで十万字を超える字数を費やして伝え、論じてきたので、ここに書いたことで尽きないのはいうまでもありません。あくまでもマレーシアマイセカンドホームプログラム参加希望者向けの、手っ取り早い知識にまとめた形だと捉えてください。

付録として、住み込みメイドに関する最近のニュースからいくつか選び抜粋して次に載せておきます。具体的な数字として参考にしてください。なお「新聞の記事から」はイントラアジアが主催しているブログです。

2010年1月の新聞の記事から
【インドネシア人住み込みメイド】
現在国内で合法的に雇われている、家庭内住み込みメイドは約28万人です。その内、インドネシア人が90%以上を占めます。残りの内、フィリピン人が15000人、タイ人、ミャンマー人、カンボジア人、ベトナム人、がそれぞれ1000人から2000人です。

メイド代理業者が雇用家庭に請求する手数料金
1990年代中頃 RM  2400、 2000年初期 RM 3800、 2000年代中頃 RM 4500、 2008年から RM 8000

両国間で締結予定の新しいインドネシア人メイドに関する覚書
最低月給 RM 550、週休を与える、 メイドに銀行口座を開設させる、パスポートを取り上げないなどの条項があります。

2011年4月の新聞の記事から
【インドネシア人メイドのマレーシアへの再送り出しが近い】
マレーシアは平均して年に5万人ぐらいの新規メイドが必要です。インドネシアが暫定的に送り出しを停止して以来、カンボジア、スリランカ、フィリピンから年間2万人から3万人の供給に減っていました。 マレー人は民族的近接さからとりわけインドネシア人メイドを好みます。

( Intraasia 注:家庭内メイドは単に炊事洗濯料理の家事をするだけではありません。雇い主が営業する大衆飲食店の手伝い、子供の送り迎え、身体不自由な高齢者の介護、といったことをさせている家庭は珍しくありません。そのためにインドネシシア人メイドは一番使いやすいわけです。高齢者の介護に資格を必要とするような定めはないし、それを要求する土壌はありません)

内務大臣が国会で公表した数字です。2010年12月末時点における、Imigresen が発給した労働許可証PLKS を保持する合法外国人労働者の総数は182万人です。
外国人労働者が合法に働ける分野は6つだけです: 家庭内メイド、建設業、製造業、プランテーション農園、農業、サービス業
その内最大の雇用分野は 製造業で67万人、次いでプランテーション農園の26万6千人、 家庭内メイドは 24万7千人、最少はサービス業の16万5千人

2011年8月の新聞の記事から
【家庭内住み込みメイドの費用】
新聞社がまとめたメイドにかかる国籍別費用比較
インドネシア人:支払う賃金 月RM 600、 賃金を含めて実際にかかる毎月のメイド費用 RM 800-1000
フィリピン人:支払う賃金 月RM 800 - 1200、 賃金を含めて実際にかかる毎月のメイド費用 RM 1100-1600
カンボジア人:支払う賃金 月RM 600 - 650、 賃金を含めて実際にかかる毎月のメイド費用 RM 800-1050
ベトナム人:支払う賃金 月RM 800 -1000、 賃金を含めて実際にかかる毎月のメイド費用 RM 1050-1400

賃金を含めて実際にかかる毎月のメイド費用には、斡旋業者にあらかじめ払う費用2年分を24ヶ月間で割った額を含めている。

【家庭内住み込みメイドをめぐる話題】
家庭内住み込みメイドの供給が減って、雇用者である世帯からの需要が強くなっています。そのため雇用者がメイド雇用斡旋業者に前もって支払わなければならない支払い金が値上がりしています。マレーシア外国人メイド斡旋業者協会の幹部は語る、「外国のメイド斡旋業者が法外な料金を要求していることがマレーシアの業者にその料金を上げる要因になっている。」

新聞社が(いくつもの)メイド斡旋業者に尋ねたところ、フィリピン人メイドの場合は、雇用者が前もって払う支払い金の合計はRM 11400でした、内訳:人頭税、許可証料、健康診断、文書作成、マニラからKLまでの航空券などで RM 2500 + 代理業者手数料 RM 4900 + メイドの給料4ヶ月分 RM 4000.  これは2年前に比べて50%も上がっているとのことです。

ある代理業者はフィリピン人メイドの場合RM 12000を、別の業者はカンボジア人メイドの場合RM 11900を要求しています。 マレーシア外国人メイド斡旋業者協会の幹部は主張する、「カンボジアのメイド代理業者は法外な手数料を要求している。」
必死に探す世帯雇用者の中には、違法な代理業者に頼る人たちもいます。 こうした違法業者は安い手数料などを約束するのですが、メイドがすぐに蒸発してしまうことも起こっています。

マレーシアメイド雇用者協会の議長は語る、「インドネシア政府がインドネシア人メイドのマレーシアへの送り出し禁止を解けば、高費用は解消するでしょう。通常の供給に戻れば、手数料はこれまで公表されたRM 4511に戻るでしょう。」
以上

【プログラムにはメイドに関する項目もある】

さてマレーシアマイセカンドホームプログラムの奨励策の中にはメイドに関する項目があります。それには、次のように書かれています:
「プログラム申請者は住み込みメイド1人をマレーシアに連れてくることを申請することができる。ただしそのためにはマレーシアImigresenの指針に沿うことが条件である」

このような奨励策があっても、日本人のプログラム参加者にとって住み込みメイドを連れて行くというようなことは関係ない、と言ってもまず間違いではないでしょう。この項目が仮想対象にしているのは、南アジア、東南アジア、中東の富裕層からの参加希望者でしょう。ということから、当ブログでは、住み込みメイドを自国から連れてくるための申請手続き部分の翻訳は割愛しています。

【外国人世帯でも住み込みメイドは雇える】

まずメイド雇用は何もマレーシア国民だけに許されているわけではありません、合法的に滞在しているどんな外国人世帯も住み込みメイドを雇うことができます。なお男性単身世帯は住み込みメイドは雇えません(通いのメイドなら雇える)。

そこで日本人プログラム参加者が住み込みメイドを雇うには、一般マレーシア人家庭と同じく、メイド雇用代理業者に斡旋してもらうことになります。

そういう代理業者から供給された住み込みメイドの当たり外れは、慣れているはずのマレーシア人家庭でも悩みの種です。メイドに関する問題が起きるのは、雇用者のマレーシア人家庭に原因がある場合もあるし(虐待や下僕扱い)、代理業者に原因がある場合もあるし、メイド自身に原因がある場合もある。とにかくメイドに関しては、少なからずの雇用家庭、代理業者、メイドにおいて問題が起きる可能性があることは間違いないと言えます。

つまり経験則的に言って、マレーシアの地で初めてメイドを使う日本人参加者の方にとっても当然同じことになります。ですからメイド雇用をされたい方は、このことをよーく肝に命じておくべきですね。

【住み込みメイドは単なる家事手伝いではない】

上記の「新聞の記事から」で少し触れられているように、マレーシア人雇用家庭の中には、メイドを主に介護者としてまたは介護をその仕事の一部に予定する場合もあります。マレーシアに介護士という資格はありませんから、無資格どうのということは起きません。
日本人のプログラム参加者の場合、メイドに家事をさせる他に、参加者の配偶者とかマレーシアに連れてきた親の面倒も少し見させようということも選択肢としてありえるでしょう。もちろん、言語コミュニケーション面及び対人扱いの習慣の違いからことが期待通りに進まないことは十分予測できますが。

マレーシアの住み込みメイドは単なる家事手伝いではありません、ほとんどあらゆることをしています(させられています)。炊事、掃除、洗濯アイロン、片付け、買い物、幼児の世話、子どもの送り迎え、店の手伝い、洗車、介護などなど。ですから、家族の誰かの介護を主としてさせるためとして、家庭内住み込みメイドを雇うことは例外的なことではありません。

【パートタイム型メイド派遣サービスもある】

果たして夫婦2人だけのマレーシアマイセカンドホームプログラム参加者家庭で住み込みメイドが必要かどうかは問わないとして、掃除洗濯アイロン程度だけであれば、何も住み込みメイドを雇う必要はないでしょう。近年需要が増えているそうな、パートタイム型のメイド派遣サービスを利用すればいいのです。つまり週何回、1日何時間という形で、業者から派遣されてくるメイド、外国人女性ばかりです、を使えます。

なお昔から行われている、華人女性のおばさんを通いのパートタイムでお願いする通称アマサンの利用は、メイド派遣サービスとは違います。アマサンは数もごく少なく且つ誰々の紹介でお願いする場合が多いはずです。


以上マレーシアでの家庭内住み込みメイド及びパートタイムメイド派遣のお話でした。興味をお持ちになったら、ご自分たちにとっての必要度と支出できるロングステイ予算を基に考えてみてください。当然ながら、世の中全て例外はありえるとしても、日本語を理解するメイドがいるなどと期待はしないでください。



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