崖っぷちロー

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狼と香辛料13巻読了

2009-12-10 04:48:26 | 小説・本
『狼と香辛料ⅩⅢ Side CoLors Ⅲ』

発売日には読み終わっていたのだが、ここで書くのがかなり遅れてしまった。
 (物語についてはほとんど覚えていないので、気になる記述だけ部分的にピックアップします)
短編3つと書き下ろしの中編一つが収録されているのですが、当然、中編から読み始めました。
なにせノーラの中編ですから。

1.羊飼いと黒い騎士
 ノーラが服の仕立て職人になると言ってロレンスたちと別れた後の後日談。
 当然、中世ヨーロッパでは徒弟制度やら同職ギルドがあるので、これをポッと出のノーラがどう乗り越えるのだろういう疑問があった。
 (一般的なラノベならこういう問題はスルーするかもしれないが、狼と香辛料にの場合は言及することが当然のように期待されている。)
 なので、職人組合に入る試験(207頁)や徒弟制度の規則(271頁)の話が出てくるのは当然というところ。

 で、この制度的な「障壁」の問題に加えて、更に物語的な障壁がノーラの前に立ちはだかるという話。

 この中編ではどちらの「障壁」の問題についても、最後まで書かれることはないが、
 支倉さんの中ではノーラはどちらもなんとかクリアすることになっているのではないかと思う。素朴に。
 尻切れ感があるという人もいるかもしれないが、全部を語らない方がかえって綺麗な気がしますね。

 ちなみにこの中編はノーラの飼い犬(牧羊犬)のエネクの視点で語られるという異色作でもある。
 エネクが賢すぎる(人語をよく解しすぎる)が、まぁ、ご愛嬌ということか。

 (191頁の描写で「牛肉の切り身は一度茹でてから焼いた贅沢品である。」という記述がある。
 これは、人の手を加えれば加えるほど「高級」であるという当時の考え方に基づいた描写。
 たしか、ネット上にそういう解説があったはず。。)

2.狼と桃のはちみつ漬け
 この短編も、同職組合の規則の話や、組合の職域の話なんかが織り込まれている。
 
 で、ロレンスが街の景気の原因に気づいたあたりから一気に物語が進行する。
 商売的な落とし穴もなく、安心してワクワクできる。

3.狼と夕暮れ色の贈り物
 狼と香辛料にちょくちょく登場する「高利貸し」を評した以下の一文が紹介されている(100頁)。
 
 「その行為、畑に貨幣を蒔くようなものである」

 う~ん、どっかに元ネタがあるんでしょうかね。気になる。

4.狼と銀色のため息
 貨幣と毛皮の交換比率の関係で、売買を繰り返すと儲かるという話。
 ありそうな話ではあるけれふぉ、2、3割の儲けというのは大きすぎる気がする。
 
 この短編、巻頭のカラーイラストといい、145頁の挿絵といい、今までにないようなコミカルさなので、
 そういう部分でも面白かったりする。

***
そういえば、あとがきには
「短編はともかく、本編はあとどのくらい出るかなあ、と数えるとちょっと感慨深いです。」という記述がある。
たぶん、残り5巻もないんでしょうね。

そもそもこの作品は引き伸ばしや中だるみを物語の構造として説明できしまう作品ですし、
これだけ売れているのだからもっと引き伸ばしてもいいのかもしれませんが、
綺麗に終わらせたいということでしょうか。

それから「次の作品の準備も実は始めています。」という記述があり、非常に楽しみです。
「あっと言わせられればと思います。」ということらしいので、中世ヨーロッパ的な舞台からは離れるということでしょうかね。
歴史的・経済的な要素が残っているとうれしいのですが……。

現代学園物だったりするんですかね?

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***
現代学園物といえば、今アニメが放送中の「とある科学の超電磁砲」がちょっと気になる。
治安組織(ジャッジメントやアンチスキル)がどう考えても「本気で治安を維持しようとは考えていない」ように思えるので、
学園都市のあり方なんかを含めて、詳しい設定を読んでみたい。