CYCODELIC WEBLOG

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2010-07-15 | (かつての)日常のWeblog

今週はいろいろ山を乗り越えた一週間となりました。まだ1日残ってるけどね。まだまだ山はず~っと続いているけどね。土曜は休めそうだな。

仕事面ではもうひとつ。
今週初めに中古のUV照射装置を見つけ緊急入手しました。

メタルハライドランプのハンディタイプ。それしか出物がありませんでした。
本当は高圧水銀ランプの方がうちの用途には向いているんですが、選り好みしている時間がありませんからねもう。
中古でも何万もしました(涙)。しかたない。新品なら恐らく何十万~百何十万するような物でしょう。

これ、なんと、自動車板金修理用。
近頃は短時間で傷へこみを修理するのにUV硬化パテを使うんだってね。

ちょっと試してみたけど、想像以上の凄まじい発熱でびっくりしてます。
自動車のボディは大丈夫かもしれないけど、うちの樹脂製品じゃヘマするとすぐ溶けちゃいます。
コールドフィルターなど熱対策を何か考えなくては、このままじゃ使いにくい感じです。でもコールドフィルターは高価だからねぇ。
しかたなく今は、送風機を持ってきてピンポイントで強風をあてて試験運用してます。今のところなんとかなりそうな感じ。
ちなみに故障したコンベア式UV硬化装置の高圧水銀ランプはこれよりずっと大きくハイパワーで近接設置ながらコールドフィルター無しで問題なく運用できてました。あれもたぶん超強力ブロワー排気のおかげだけだと思うんです。
空冷の力って案外偉大なんだね。


さてここでマニア向け豆知識。UV硬化樹脂とUV照射装置の相性について。
こういう情報こそWEB上には必要だからね。というわけで普通の人はここ以下は読まないほうが身の為ですよ(笑)。

相性があるんですよ。業界の人は知っていることです。
UV硬化樹脂がクリヤータイプ(透明)なら高圧水銀灯が向いています。
色物を印刷する場合ならメタルハライドランプが必要です。

クリヤータイプの多くは短波長(250nm近辺)をターゲットにした開始剤を使用しています。この短波長域に効果的な紫外線を放射するのが高圧水銀灯になります(ピークは365・254・303・313nm)。他のランプに比べ短波長域が強く放射されます。

一方、色物では内部硬化性が重要になります。顔料が紫外線を吸収してしまい上手く硬化しないからです。色物の場合開始剤は短波長域の開始剤も使用しますが、長波長側の開始剤も併用します。この長波長側の開始剤が内部硬化に作用します。そのため、色物には幅広い波長を発生しているランプが必要になり、200~450nmの広範囲で紫外線を放射するメタルハライドランプが良いのです。

逆を言えば、クリアーがメタルハライドで硬化しないわけではないんです。

ちなみに最近流行のUV-LEDでは前二者のような驚異的発熱には悩まされないようです。しかし波長はまだ研究の余地があるようです。よくあるUV-LEDでも390・400nm付近の狭い波長のみ、マシな物でもせいぜい375nmという長波長にあたり、はっきり言ってうちで使うような樹脂は硬化しにくいです。実は私も今回試しに小型の物を買ってみたのですけどね、相当接近させてじっくり何分もあててやっとベトベトと硬化し始め、固まったとしてもボソボソな感じ。もっともその波長向けに作られたUV硬化樹脂もありますから本来はそれに使う物なのだろうなと思います。例えば最近では釣りの業界(フライやルアー)でそのようなUV硬化接着剤が普及してますね。便利だと聞きます。
色物ではなおさら難しいはずですが、UVカラーインクジェットプリンタの場合LEDだったりします。薄ければイケるのでしょうかね。
LEDの本格業務用UV硬化装置の今後の課題はいかに有効波長をどれだけたっぷり出せるかどうかでしょうね。LEDのほうがエコなのはわかってますから、うちで使うような250~365nmの紫外線で350mj/平方センチという硬化条件の樹脂でも一瞬で固まるLED装置が安く早く普及するとありがたいものです。


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