きょう3月20日は三つの国の大統領選挙が重なる特異日となった。
三つの国とはベナン、ニジェール、コンゴ共和国。今年、18カ国の大統領選挙が予定されている中で、同じ日に三つとはあまりに多い。そしてさらにもうひとつ、注目の投票も行われる。
(参考記事)
完全保存版!2016年アフリカ大統領選挙カレンダー~アフリカの選挙事情
さてそれぞれの選挙の最新事情について。
まずベナン。前夜情報としてはすでにこちらの記事でもご紹介しているが↓
選挙戦線異状あり(前編)~ベナンの大統領選挙
決選投票は現職首相のリオネル・ザンス候補と、コットン界の王、パトリス・タロン候補と戦いとなった。
第一回目投票で敗退した31人の候補のうち、実に24候補が決選投票でタロン候補支援を表明した。他方、現職の強みを生かしたザンス氏は、最後にタクシーモト(バイクタクシー)組合の支持を取り付けるなど、支持基盤を強化している。
17日、ベナン国営放送(ORTB)でテレビ討論が行われた。タロン候補はザンス候補をベナンを知らない、フランスから来た傀儡の白人、との論陣を張った。そしてベナンの新しい船出を主張。他方のザンス氏はブーブーに身を包み、ベナン人度をアピール、批判には当たらないと主張。そして「勝ち組ベナン」の開発のビジョンを示した。さて、有権者の審判はいかに?
次にニジェール。前夜情報としてはすでにこちらの記事でもご紹介しているが↓
選挙戦線異状あり(後編)~ニジェールの大統領選挙
現職大統領のマハマドゥ・イスフ大統領と、前国民議会議長のアマ・アマドゥ候補の戦い。しかし、アマドゥ候補は幼児取引の咎で獄中からの選挙戦となっていた。野党は選挙戦へのボイコットを呼びかけているが、法的な立候補取り下げ手続きは取られなかったことから、選挙戦は予定通り行われる公算だ。しかし野党はボイコットの姿勢を変えていない。
そんな中、獄中のアマドゥ候補、持病が悪化。選挙戦のさなか、一旦国外への加療出国を試みるが、当局がこれを認めなかった。そして投票直前、さらに病状が悪化したことが伝えられると、フランスは人道的な観点から受け入れ準備があることを示唆。緊急移送機をニアメに飛ばした。ニジェール当局もこれをやむなく認め、アマドゥ候補は急遽パリを向かった。
野党のボイコット姿勢と対抗候補不在で迎える異例の決選投票、その結果はどうなるか?
三つ目はコンゴ共和国。80年台後半から一時の中断はあるものの、32年ににわたり大統領職にあったサス・ンゲソ大統領。昨年10月、憲法が禁止していた三選禁止条項を改正して出馬を強行した。
アフリカ選挙速報~3つの国の民意は?
今回の選挙には9人が立候補しているか、焦点は「一発ノックアウト」、つまり一回の投票でサス・ンゲソ大統領が過半数を獲得し、勝利をものにするかという点。野党はなんとか「延長戦」(決選投票)に持ち込みたい考え。
国際社会はンゲソ大統領の強引な再選を好感していない。EU、アメリカは憲法改正を強く非難した。他方、フランスの態度はそれほど明確にしていない。エロー外相やル・ドリアン国防相はンゲソ大統領とは近い関係にあるとも言われている。
再戦濃厚の空気の中、選挙の顛末はいかに?
最後に、プラス1、とかいたもうひとつの投票がセネガルで行われる。これは大統領任期を7年から5年にする憲法改正を認めるかどうかの国民投票だ。
大統領任期を縮めるという動きは、多くの大統領がその地位にかじりつこうとしているときに、特異な動きだ。そもそもこの人気短縮はマッキー・サル大統領の公約。実は前任のアブドゥライ・ワッド大統領も、政権を担う前に7年から5年の任期短縮を公約し、一旦は5年となった。しかし政権に着くと、後期7年の任期に延長。最後は地位にしがみつこうと画策するが、国際社会と民意がそれを許さなかった経緯がある。
憲法裁判所がこの憲法改正案を棄却し、今回の国民投票に持ち込まれた審判。サル大統領の公約は有権者の支持強化につながるか?国民投票にはどれほどの有権者が足を運ぶのか。注目の国民投票である。
(つづく)
三つの国とはベナン、ニジェール、コンゴ共和国。今年、18カ国の大統領選挙が予定されている中で、同じ日に三つとはあまりに多い。そしてさらにもうひとつ、注目の投票も行われる。
(参考記事)
完全保存版!2016年アフリカ大統領選挙カレンダー~アフリカの選挙事情
さてそれぞれの選挙の最新事情について。
まずベナン。前夜情報としてはすでにこちらの記事でもご紹介しているが↓
選挙戦線異状あり(前編)~ベナンの大統領選挙
決選投票は現職首相のリオネル・ザンス候補と、コットン界の王、パトリス・タロン候補と戦いとなった。
第一回目投票で敗退した31人の候補のうち、実に24候補が決選投票でタロン候補支援を表明した。他方、現職の強みを生かしたザンス氏は、最後にタクシーモト(バイクタクシー)組合の支持を取り付けるなど、支持基盤を強化している。
17日、ベナン国営放送(ORTB)でテレビ討論が行われた。タロン候補はザンス候補をベナンを知らない、フランスから来た傀儡の白人、との論陣を張った。そしてベナンの新しい船出を主張。他方のザンス氏はブーブーに身を包み、ベナン人度をアピール、批判には当たらないと主張。そして「勝ち組ベナン」の開発のビジョンを示した。さて、有権者の審判はいかに?
次にニジェール。前夜情報としてはすでにこちらの記事でもご紹介しているが↓
選挙戦線異状あり(後編)~ニジェールの大統領選挙
現職大統領のマハマドゥ・イスフ大統領と、前国民議会議長のアマ・アマドゥ候補の戦い。しかし、アマドゥ候補は幼児取引の咎で獄中からの選挙戦となっていた。野党は選挙戦へのボイコットを呼びかけているが、法的な立候補取り下げ手続きは取られなかったことから、選挙戦は予定通り行われる公算だ。しかし野党はボイコットの姿勢を変えていない。
そんな中、獄中のアマドゥ候補、持病が悪化。選挙戦のさなか、一旦国外への加療出国を試みるが、当局がこれを認めなかった。そして投票直前、さらに病状が悪化したことが伝えられると、フランスは人道的な観点から受け入れ準備があることを示唆。緊急移送機をニアメに飛ばした。ニジェール当局もこれをやむなく認め、アマドゥ候補は急遽パリを向かった。
野党のボイコット姿勢と対抗候補不在で迎える異例の決選投票、その結果はどうなるか?
三つ目はコンゴ共和国。80年台後半から一時の中断はあるものの、32年ににわたり大統領職にあったサス・ンゲソ大統領。昨年10月、憲法が禁止していた三選禁止条項を改正して出馬を強行した。
アフリカ選挙速報~3つの国の民意は?
今回の選挙には9人が立候補しているか、焦点は「一発ノックアウト」、つまり一回の投票でサス・ンゲソ大統領が過半数を獲得し、勝利をものにするかという点。野党はなんとか「延長戦」(決選投票)に持ち込みたい考え。
国際社会はンゲソ大統領の強引な再選を好感していない。EU、アメリカは憲法改正を強く非難した。他方、フランスの態度はそれほど明確にしていない。エロー外相やル・ドリアン国防相はンゲソ大統領とは近い関係にあるとも言われている。
再戦濃厚の空気の中、選挙の顛末はいかに?
最後に、プラス1、とかいたもうひとつの投票がセネガルで行われる。これは大統領任期を7年から5年にする憲法改正を認めるかどうかの国民投票だ。
大統領任期を縮めるという動きは、多くの大統領がその地位にかじりつこうとしているときに、特異な動きだ。そもそもこの人気短縮はマッキー・サル大統領の公約。実は前任のアブドゥライ・ワッド大統領も、政権を担う前に7年から5年の任期短縮を公約し、一旦は5年となった。しかし政権に着くと、後期7年の任期に延長。最後は地位にしがみつこうと画策するが、国際社会と民意がそれを許さなかった経緯がある。
憲法裁判所がこの憲法改正案を棄却し、今回の国民投票に持ち込まれた審判。サル大統領の公約は有権者の支持強化につながるか?国民投票にはどれほどの有権者が足を運ぶのか。注目の国民投票である。
(つづく)