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選挙戦線異状あり(前編)~ベナンとニジェールの大統領選挙

2016-03-10 07:30:00 | アフリカ情勢
進行中の二つの大統領選挙、ベナンとニジェール。どちらも第一回目の投票を終え、決選投票に駒を進めようとするところ。その選挙戦線に異状あり?!ちょっと見ていこう。

まずはベナン。日程が直前で延期され、3月6日に第一回目の投票が行なわれた。そして8日朝の4時(!)に独立国家選挙委員会(Céna)がその「速報数値」('Grand Tendence')を発表した。

(過去記事)
ベナン大統領選挙の展望
前編
後編

トップの得票は下馬評どおりリオネル・ザンス首相(28.44%)。次点がコットン界の王、パトリス・タロン候補(24.80%)、セバスチャン・アジャヴォン候補(23.03%)と続く接戦となった。

(ザンス首相とタロン候補(Wikipédia.frより))



投票率は約64%で、これは同国の大統領選挙では一般的なレベルにあたる。この結果にはまだ在外投票が加えられていない。

さて問題はここから。選挙委員会の「速報数値」('Grand Tendence')という数値から、一体どの二人が決選投票にコマを進めるのか予断を許さないが、一連の報道では現在の上位2名、リオネル・ザンス候補、パトリス・タロン候補の2名で争われることになるものと見られる。落選した31名の候補者、そしてその支持者。誰が誰を支援するのか。誰が誰を取り込むのか。決選投票の趨勢はここが勝負になる。支持に回った側は、当選すればそれなりの地位が約束される。激しい取り込み合戦が行なわれる。

アフリカの大統領選挙では、第一回目投票のトップ通過候補が決選投票で憂き目を見るパターンがしばしばだ。例えば2010年のギニア。第一回目でトップであったセル・ダラン・ディアロ候補は、決選投票でアルファ・コンデ候補の前に破れた。第三軸のシディア・トゥーレ候補を支援に取り付けたのだ。

同じ年、コートジボワールでは第一回目でトップであったローラン・バグボ候補は、決選投票でアラサン・ワタラ候補の前に破れた。やはり第三軸のコナン・ベディエとの選挙協力が鍵であった。この結果、政権移譲はスムーズには進まず、内戦の原因となった。その惨劇を見たコンゴ民主共和国は、早々と憲法改正を行ない、2011年の選挙では決選投票をなくしてしまった。ジョセフ・カビラ大統領はわずか有権者の20%台の得票しか得ていないで大統領に就任したことになる。

今回のベナンの大統領選挙。タロン候補は、第一回目の投票を前に、アジャヴォン候補、ビオチャネ候補、クパキ候補と選挙協力をを取り付けている。他方、ザンス候補は無党派層に働きかけを強める、。


次回投票日はいまだ明確にされていないが20日(日)のラインが濃厚。今後の政局に再注目だ。

さてもう一つの選挙線が進行するニジェール。こちらはさらに混迷を極めている。

(つづく)


追伸:きょう3月10日は東京大空襲慰霊の日。71年を迎えたこの日、ンボテの住む近所でも追悼が行なわれる。犠牲となった方々やご遺族にご冥福をお祈り申し上げます。


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