ぶらぶら★アフリック

アフリカ・プロモーター、ンボテ★飯村がお送りする100%アフリカ仏族ぶらぶらトーク!

【続報】ガボン大統領選挙(12)〜リーブルビルはモヤの中

2016-10-03 07:30:10 | アフリカ情勢
これまで繰り返し報じてきたガボン情勢。9月23日の憲法裁判所の選挙結果承認、アリ・ボンゴ候補の当選確認。国際社会は再びの衝突を危惧し、警戒していたが、ここまでのところそれは杞憂にとなっている。

爆発するよりはいいのだろうが、何か晴れないガボン情勢。モヤモヤ感が漂う。そしてまだこの話は終わっていない。

(リーブルビルの市場の様子)


ジャン・ピン候補は、憲法裁判者の判断後、しばし沈黙を保っていたが、その後「選挙・軍事的クーデター(Coup d'état militaro-électoral)」との表現で与党側を批判。国際社会に訴えるとともに、支援者に反対意志表明の継続(reste mobiliser)を呼びかけた。しかしその勢いには以前ほどの力がない。

国際社会のトーンも弱含みだ。EUは「憲法裁判所の判決には詳細が含まれておらず、納得性の高い数値を示すべきだ」と論評。フランスは「異議申し立て手続きは種々の疑念に答えるものではなかった。」とコメントした。しかし以前のような強い意調子は見られなかった。


27日、大統領就任式が行われた。列席した国家元首は、マリのイブラヒマ・ブバカル・ケイタ大統領、ニジェールのアハマドゥ・イスフ大統領、トーゴのフォール・ニャシンベ大統領、そしてサントメ・プリンシペのエヴァリスト・カルバーリョ新大統領の四カ国に止まった。

モロッコ、チャド、コンゴ共和国は首相を、ルワンダは上院議長を、コンゴ民主共和国と赤道ギニアは国民議会議長をそれぞれ送った。コートジボワールは仲裁担当特使を列席させている。

フランスやアメリカは閣僚の派遣などはせず、大使が列席した。ここには少なからず今回の選挙の公正性、透明性への疑義があるからだ。


このままだと、アリ・ボンゴ大統領の二期目は既成事実となって進みそうな趨勢だ。そうだとして、気になるのがこの論調の変化。憲法裁判所による審査の前には、国際社会の圧力の中、アリ・ボンゴ退場か、という勢いが感じられた。しかし今、アリ・ボンゴ二期目黙認というトレンドがある。背景にはには何があるのだろうか。アフリカの過去の選挙に遡れば、いくつかの憶測シナリオが想像される。

一つ目は、曲がりなりにも再開票が行われたとされ、ガボン司法権の最高機関、憲法裁判所の判断が出たということ。国内手続きに基づいた判断を批判すれば、「内政干渉」との反射的対応を受けることになるだけに、関係国も勇気がいるし、躊躇する。

思い起こせば、お隣、コンゴ共和国の先の大統領選挙。三選問題で揺れた選挙戦で、国際社会は批判を強めたが、結局選挙は強行、ンゲソ大統領が就任した。その後モヤモヤが続いたが、事実上批判のトーンは弱まり、ンゲソ再選の既成事実が進行した。今回は少しその空気に似ている。


第二は、多くのステークホルダーが、今回の裁定は疑義なしとはしないものの、その正義のために暴力が繰り返される事態は避けたい、いう点で意見が一致しているのではないかということ。アリ大統領の就任には疑義がつくが、ここで再び騒乱が起き、無秩序となることはもっと懸念される。当事者を含め、多くの関係者がその点で目をつぶろう、という姿勢で一致しているとも捕らえられる。

2015年のトーゴ大統領選挙では、ジャン・ピエール・ファーブル候補が、三期目当選のニャシンベ大統領を糾弾、状況は緊迫した。しかし最終的に、ファーブル候補は「暴力的な手段はとらない。あらゆる法的、平和的手段を持って抵抗する。」として、大きな暴力には至らなかった。

反対に2010年のコートジボワール大統領選挙。独立選挙管理委員会はワタラ候補の当選をいち早く発表、国際社会はすぐにこれを支援した。一方、バグボ前大統領は側近が判事を務める憲法裁判所に異議を申し立て、バグボ当選を発表。二人の大統領が対峙し、しまいには「選挙後内戦」を迎えた。3,000人を超える犠牲者が出た。


第三は、裏で何らかの取引があったのではということ。選挙結果発表後の激しい対峙に比して、今回はあまりにも各方面の反応が薄い。関係国を含めた、何らの取引があっても不思議ではない。

ンボテも過去ログでは「国民対話」とか「挙国一致内閣」といった典型的懐柔策が発動されるのではないか、と述べた。実際、アリボンゴ氏は「国民対話」を呼びかけている。少なくとも現段階では野党側は話に乗ってきていない。

昨今では3月のニジェールの大統領選挙後、二期目のアハマドゥ・イスフ大統領が、選挙後「挙国一致内閣」を野党に呼びかけ、発動。仮にも事態を収拾した。しかしここには政局の取引があると見られる。


ガボンの核心部では何が起きているのだろうか。いずれにせよモヤは晴れないまま、アリ・ボンゴ体制二期目がスタートした。

(おわり)

【ガボン大統領選挙】ここまでのアップ記事↓
第一報 選挙後危機の始まりか?
第二報 現職アリ・ボンゴ当選、のち荒れ模様
第三報 続報・リーブルビルで騒乱が進行中
第四報 緊迫する戦線に異常あり!続く騒乱
第五報 正常化への道のりか。。。
第六報 二人の大統領?ジャン・ピンの誤算
第七報 小康状態
第八報 アリ・ボンゴ語る!
第九報 疑惑の憲法裁判所へ
第十報 法の番人による謀反は起きるか
第十一報 憲法裁判所が現職アリ・ボンゴ大統領の当選を確認!

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。