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【続報】ガボン大統領選挙(9)〜疑惑の憲法裁判所へ

2016-09-10 07:30:10 | アフリカ情勢
混迷のガボン情勢。選挙結果をめぐり対立する二人の候補。緊張から対峙へ。不穏な時間が過ぎる。

ここまでのアップ記事↓
第一報 選挙後危機の始まりか?
第二報 現職アリ・ボンゴ当選、のち荒れ模様
第三報 続報・リーブルビルで騒乱が進行中
第四報 緊迫する戦線に異常あり!続く騒乱
第五報 正常化への道のりか。。。
第六報 二人の大統領?ジャン・ピンの誤算
第七報 小康状態
第八報 アリ・ボンゴ語る!

8日夕刻、選挙結果に対する異議申し立ての期限が迫った。この様子を例によってRFIが伝えている。



このまま申し立てがなければ選挙結果は確定する。現職アリ・ボンゴ陣営、対抗ジャン・ピン陣営、いずれか、あるいはいずれも申し立てを行うシナリオがあった。しかしそのままジリジリと時が過ぎる。

そして期限いっぱいを迎えようとしたその時、ジャン・ピン陣営から異議が申し立て書が提出された。

申し立ての意義は予想どおり、上オグエ地方の再開票だ。ほとんど100%の投票率、95%が現職アリ・ボンゴ候補に投票したとされる州である。異議申し立ての期間は15日間。9人の判事が15日間にわたって裁定を行う。最終結果の発表期限は9月24日だ。

最低の手続きはまず予審。原告の申立書が他方の候補に送られる。次に予審担当判事が指名され、予審手続きに進む。続いて原告側、現職側が個別弁論を行い、調書が作成される。

その上で、憲法裁判所は公開弁論を行い、双方の主張を聴取する。論告文が作成され、手続きを経て最終判決となる。

野党側ジャン・ピン候補は、予審、弁論自ら出頭する模様だ。上オグエ州にある297の投票所のうち、174の開票調書を集めたという。この証拠は、もしアリ・ボンゴ氏が、同州のその他の投票所、すべての票を集めたとしても、ジャン・ピン候補の票に満たないことを証明するものと報じられる。


さてンボテ考察。問題は憲法裁判所が順当に審理を進めるだろうか、という点。状況を総合的に勘案すれば、正しく数えればアリ・ボンゴ候補は落選、そしてそのことを当の現職側も知っている、というのがファクトとだ思われる。

憲法裁判所長はアリ・ボンゴ候補の姻戚にあたり、また実質上ボンゴ氏に指名されている。彼らは投票箱の中身をもう知っているのだろう。そういうことを考え合わせると、大統領陣営はまともに審理を行うことはしないものと思われる。それがベースシナリオだ。

憲法裁判所が「訴えは法的根拠がない」、「再開票は法が予定していない」といったような対応をすれば、同国の治安情勢に甚大な影響があるばかりでなく、現政権は当選を手にしたとして、国際社会からは退場となるであろう。

国際社会はこの手続きを固唾をのんで見守っている。裁判所の判事たちは、大統領との「血の契り」のもと、このプレッシャーの中、飄々と手続きを進めなければならない。


二つめのシナリオは、再開票を行うというパターン。そしてその結果、やはり当初のものが正しかったというケース。今回、再開票をすれば監視団が張り付くことになろう。その中で票操作を行うことはリスクが高い。また結果発表後には再び大きな疑義が呈されるだろう。なかなか取りえないチョイスだ。


三つめのシナリオは、謀反が起きるパターン。再開票の結果、ジャン・ピン候補の勝利が確認されるというケース。このシナリオとなる可能性は少なくないと思う。アリ・ボンゴ側近は、既にかなり劣勢にあり、ボンゴ敗退となれば自分たちの身に危険が降りかかる、また国にいることはできなくなる。勝利しても国際社会からは認められず、自ら資産凍結など制裁対象となるかもしれない。関係者がそのことにもう気づいているとすれば、ここで寝返って真実を貫けば、翻って免罪となる可能性がある。この誘引は少なくないのではないか。


四つめのシナリオは、判事が辞任するパターンだ。司法大臣が数日前に辞任した。ここで申し立てを却下するも地獄。正面から審議するも地獄であれば、辞任する判事が生じても不思議ではない。


どのシナリオに傾いても憲法裁判所にとっては難しい立場に迫られる。今後の展開に要注目である。


(つづく)

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