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中央アフリカ~国連、ジェノサイドを語らず

2014-06-08 07:30:53 | アフリカ情勢
混沌の続く中央アフリカ。昨年来、ジェノサイドの危機が危惧されてきた。そして過ぎし日に、虐殺に近い状況があったのではないかというのもまた危惧であった。

そして国連安全保障理事会の依頼によって、このほど報告書が作成された。

そしてその顛末はいかに?
こちらの記事↓↓

中央アフリカ~国連、ジェノサイドを語らず[RCA: l'ONU refuse de parler de 'génocide']


記事をみていこう。

国連は報告書の中で、戦闘を繰り広げ、戦争犯罪を犯した全ての勢力を批判した。他方、報告書は慎重な姿勢を貫き、中央アフリカで生じた自体をジェノサイドとして取り扱うことを控えた。

ニューヨーク発の特派員報告によれば、この報告書は国連安全保障理事会の依頼により作成されたもので、中央アフリカで繰り広げられた蛮行を明るみに出すことを目的としたもの。調査は、セレカ、アンチバラカ、両勢力の兵士とも、人道に対する罪に相当する犯罪行為が認められたと結論づけている。しかしそれ以上に注目すべき点は、国連高官がすでに繰り返し公言してきた「ジェノサイド」や「民族浄化」については触れていない。調査団はイスラム教徒の中央アフリカからの大量難民を「保護」と位置付けている。


レポートは事実を反映していない

報告書での断言はアムネスティ・インターナショナルから痛烈な批判を浴びた。人権を擁護するこのNGOは、報告書がこれまで起きてきたことを直視せず、ムスリムの避難はアンチバラカとの戦争により余儀なくされたものとの事実を考慮していないとしている。

報告書はまた、チャドとスーダンがセレカへの支援を通じ、この戦争に火を注いでいると批判している。



中央アフリカ紛争の背景はこれまで下記の記事でも述べているが、三つの点で注意深くみて行く必要があると考えている。

第一は、中央アフリカの紛争が闇に包まれた中での紛争であるということ。危機は悲惨に、しかし静かに進行し、国際社会もそれに十分注意を注いでいない。危機も惨劇も、闇の奥に葬られかねないということ。

第二に、フランスや国際社会の支援が必ずしも正義として受け入れられていないこと。近年では、コートジボワールの選挙後危機におけるONUCIや仏軍部隊の支援、マリにおける仏軍作戦、コンゴ東部のMONUSCO拡大マンデートによる武装勢力掃討など、国際社会による強制力行使を許容する風潮にあったが、中央アフリカでは空気感は異なる。

第三に、中央アフリカが、独立以来、民主主義も秩序も確立できていなかった崩壊国家であること。なんとか秩序と平和を回復したとして、和平合意や選挙プロセスなどをどうやって進め、定着させればいいのか。現実的なロードマップがなかなか見えてこない。


この地は奇しくも力の真空にイスラム勢力が浸透するフロンティア、いわゆる「テロの弧」のすぐ南に位置する。LRAやザラギナなど武装集団も横行した。闇の奥で進行する危機。フランスの責任も少なくないだろう。しかし危機を無関心の中にほおむってはいけない。無関心こそが問題の源泉なのだ。

(おわり)


(参考記事)
中央アフリカ政府、ショートメール(SMS)運用禁止を携帯電話各社に通告

(少し古いですが過去の経緯はまとまっています。また関連記事のリンクもついています。)
中央アフリカ情勢アップデート~闇の奥で何が起きているのか?

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