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大丈夫?ガボンのアリ・ボンゴ大統領〜大統領の健康問題(3)

2018-11-09 07:30:00 | アフリカ情勢
ブログ『ぶら★アフ』では、一度話題にした「小ネタ」はあまり繰り返ししないようにしているのだが、ちょっと雲行きの怪しいこの話題をもう一度。

一週間前に話題にしたこちらの話題。
大統領の健康問題(2)〜大変です!うちの大統領も・・・

アフリカでは大統領の健康問題はいつも三面記事を賑わすゴシップ。しかしたまに本当にやばい話となることがあり・・・今回はその空気が少し流れてきた。他でもない、ガボンのあり・ボンゴ大統領の健康状態だ。

先日の記事のとおり、10月24日から外遊中のサウジアラビア、リヤドで入院。28日に大統領府は「過労で入院、多少の休養ののち職務に復帰見込み」と発表したが、それっきり。10日あまりも消息が明らかにされていない。大統領に、なにか起きていることは間違いない。

(afriquenews.infoウェブサイトより)


3日、ンゴンデ首相はフランス国際ラジオ放送(RFI)のインタビューで「リアルタイムで状況を知らされている。」とした上で、「家族がつきそう中、引き続きリヤドで療養中だ。極度の過労にある« fatigue sévère »。医師の診断により、職務からは離れている。」と答えた。 


一方、このころから種々の憶測が流れ始めた。ロイター通信は、大統領は脳卒中(accident vasculaire cérébral:AVC )に伏していると報じた。アフリカ情報に通じた'Lettre du continent'は、脳腫瘍(œdème cérébral)だと、こちらも脳性疾患を報じる。仏紙'Le Monde'に至っては、人工昏睡状態(en coma artificiel)にあるのではないか、としており、事実だとすればかなり深刻だ。

「なぜ大統領の健康問題(という重要なテーマを)を報じないのか。どんな状況であれ、真実を伝えるべきではないか。」「病状が深刻なのであれば、(憲法が規定する)[大統領に事故ある時]に相当し、暫定大統領継承の手続きが必要なはずだ。」野党勢力は疑問を呈する。政府は、大統領の職務復帰の目処は立っており、暫定大統領による職務継承には及ばない(pas à l'ordre du jour)と反論している。したがって、政府は「平常運転」を装う。11月1日には何事もなかったようにエマニュエル・イソゼ・ンゴンデ首相が閣議を招集、掌理した。


しかしこのままやり過ごせない事情がある。先月、ガボンは国民議会議員選挙を終えたばかり。憲法規定に従い、憲法裁判所が確定選挙結果を発表すると、現在の政府は総辞職を行うこととなっている。次の首班指名まで、一時的に政府権限が大統領に預けられる。「え?危篤で昏睡の大統領に?」・・・もちろん、内閣総辞職ののちは「暫定的に現政権が日常の業務を粛々とこなす(expédition des affaires courantes)こと」が憲法で規定されているが、そういう状態で大統領が不在となることに関しては規定がない。事実上、無政府状態が発生してしまう恐れがある。政軍関係の問題がある国であれば、すでにクーデターが発生していただろう。それだけに、今回の事態は危機事態だ。


ガボン人にとって、現在の状況はどこかデジャヴ(Déjà vu)。先代の大統領、アリ・ボンゴ大統領の実父、オマール・ボンゴ前大統領の最期を惹起させる。オマールにも健康問題の噂が絶えなかった。2009年5月にスペインの病院に「健康診断のため」入院。その後健康状態については国民には知らされず、様々な憶測を呼んだ。6月7日、オマール大統領の逝去を報じたのは仏誌'Le Point'だった。政府はこの情報をただちに否定したが、翌8日、ジャン・ンドング首相が公式に逝去を認めたのだった。


アリ・ボンゴ大統領の次の公式重要行事は、11月11日。パリで第一次世界大戦終結100周年の記念式典出席。ガボン政府からはボンゴ大統領の出席が伝えられたままと報じられている。アリ・ボンゴ大統領は大丈夫か。だんまりをとおせる時間は、いろいろと残り少なくなっている。

(おわり)


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