甘酸っぱい日々

面白くても何ともならない世界で 何とかしようとする人達のために

神保町花月『せりざわ君、キミは間違っている。他』

2011-04-06 23:54:39 | 神保町花月
久しぶりの劇場、すごく楽しかったです!
今回もあらすじは神保町ブログにおまかせし、私の感想をつらつらといきます。

やっぱりやっぱり関町さんです。
今回も相変わらず、非の打ちどころがないくらい素敵だったなぁ。
ひねくれていて、心に闇がある感じが本当に上手い。
始めの「バカじゃねえかこいつ」からの長台詞で、一気に空気を変えたのがすごいなと思いました。
世界を悲観的に見ていて、ひねくれていて、投げやりな態度。
それなのに、スカルプと出会えてからは、その様子ががらっと変わるのが印象的だったなぁ。
ともひろもスカルプも、ただ友達がほしい、ただ信頼できる相手がほしいって思っていて、
その純粋な気持ちが残っていることがすごくよくわかった。
だからこそ、「世界を真っ黒にしてやる」という悪事で団結してしまったのが、とても残念に思えてしまいました…。
本当は悪い人たちなんじゃないってわかるから。
このギャップを平然とやりきった関町さんに、結局今回も心奪われっぱなしでした。

押見さんは、世の中の矛盾とかはかなさとか、そういうものをじわじわとあぶりだすようなお話を書かれていて、
この方は一体普段何を考えていらっしゃるんだろうかと、とても気になりました。
ハッとさせられるような、心がえぐられるような。
例えば、ともひろが若田とよりを戻して、いちゃいちゃし始めるところ。
さっきまであんなに仲良くしていたスカルプに対し、思わず冷たい言葉を言い放ってしまう。
人間の黒い部分を見せられたところというか。
もう一つ、若田と亮ちゃんマンの取り調べのところも忘れられませんでした。
悪いことをやったやつを殺したまでだから、自分は正義だと言い張る亮ちゃんマン。
じゃあ、その亮ちゃんマンを捕まえている若田は、正義なのか、悪者なのか……?
見ている私の価値観まで、揺るがされそうになりました。
本当の正義ってなんなんだろうか。
自分が善だと信じているものを、本当にそうなのかなって思うと、ちょっと怖くなってしまいました。
押見さんは一体、何を考えて生きているんだろう……。

……とか、とか、とか。
色々と書いてきましたけれども、こういうことを考えられるようになったのは、公演が終わってだいぶ経ってからの話。
終演直後は、とにかく全員のキャラの濃さに圧倒されて、「なんだこれ!!!」としか思えなかったのが正直なところです(笑)
もうなんなの!!
「普通」の人が一人もいなかったよ(笑)
若田のゲイっぷり、徹底していました。
私が行った日のエンディングで、徹さんが関町さんに苦情。
徹さんは、ゲイ役なんだから徹底的にちゃんとやりたい、と。
がっつり役を入れてる徹さんは、アドリブで関町さんとおでこをくっつけたかったのですが、それをやろうとしたら関町さんに避けられたらしい(笑)
関町「どこに力入れてるんですか!!」(笑)
いやぁそれほど、徹さんがノリノリでやっていました。
上手かったなぁ、ゲイ役上手かったなぁ(笑)

田所さんの衝撃…(笑)
あんな格好なのに、ちょっとかわいいと思わせてしまう魔力。
クトゥンになるのだけは許せなくて、ひとみちゃんになってしまったお父さん。
素晴らしかったのが、こちらもギャップの話になってしまうのですが、いきなり素の姿に戻ってしまうところだよなぁと。
大木に「おじさん」と言われて、「えっ?」と急に素に戻るところ、なんかすごい衝撃でした。怖さすら感じた。
こちらは田所さんのあの姿を「そういうてい」として見ているから、その前提が急にひっくり返された感じがして。
これは太田さんが上手かったのもあると思いますが、いやすごかったなぁ。

そしてそして武山さん!
超楽しそうだったなぁ(笑)
実はこのお話って、武山さんがいなかったら平凡というか、いやもちろんそれでも十分平凡ではありませんが、
そんなに特殊でもなかったような気がするんです。
だけど、武山さんがいたからこそ、さらに押見ワールドになったんだろうなぁ。
自由奔放、やりたい放題で、お芝居の世界と観客の世界を行ったり来たりする武山さんを見て、愛の賛歌の「素」を思い出していました。
押見さんは自分がやってた「素」からヒントを得ていたのかな?
そう思うと、あのぴょんぴょこやってたひとみちゃんは、まるで黒子みたいだったし、
ともひろのちょっと鼻につく態度もボンボンみたいだな……なんて思ったり。
武山さんの雰囲気に合ったやりたい放題感、楽しかったです。

最後に一つだけ。
こんな感じで、今回の感想をつらつらと書いていたときに、演出の成島さんのブログを拝見しました。
そこで、スカルプの思わぬ誕生秘話にびっくり。
影ではこんな苦労があったんですね……。
極限の状況で、それでもいいものを作ろうとしてアイデアを出せる押見さんがすごい。
ちょっと関町事故死ドッキリの時を思い出しました(笑)
追いつめられるほど、いいものが出来るのかなぁこの方は。
今回、みなさん本当に大変だったのだろうなぁ。
本当に公演が出来るのかということも直前までわからず、モチベーションを保つのも大変だったと思います。
それでも、こちらにそのような苦労は一切見せず、やりきってくださいました。
私自身、3月に行く予定だったライブがことごとく中止・延期になってしまったため、この日に本当に久しぶりに行きました。
久しぶりに大笑い出来て、すごく楽しかった。気持ちよかった。
ちょっと間が空いちゃっているし、それに気持ち的に笑えるかどうかまだ不安だったのですが、それを吹き飛ばして下さいました。
みなさんが今出来る最大限のことを、パワーを持って強い気持ちでぶつけて下さったことに感謝です。
まだまだ、完璧に以前のような状態には戻れないかもしれない。
それでも、だからと言って立ち止まっちゃいけないんだな。
自分に出来ることをあきらめちゃいけないんだな、きっと。
とても楽しい公演を、ありがとうございました。
行ってよかった。

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