甘酸っぱい日々

面白くても何ともならない世界で 何とかしようとする人達のために

4月28日 さらば青春の光単独公演『野良』 大阪公演

2013-05-22 01:53:04 | 単独ライブ
やっと、やっと見れた、さらば青春の光の単独ライブでした。
色々な思いが抑えられなくて、勢いで大阪まで行ってしまいました。
芸人さんの単独ライブを見に大阪に行くのは、2年半ぶり2回目。
あの時と変わらず、道頓堀は賑やかで、水辺は穏やかで、お好み焼きはおいしくて。
変わったのは、誰を見に行くのかということだった。
一体、私は、いつからこんなにさらばを好きになっちゃったんだろう。

最初にお断りしておきますと、私は頭が悪いので、「思ったことを素直に言葉で表現する」と「でもそこまで書いたら野暮」の境界線がわかりません。
あまりなんでもかんでも書くのは、趣がないということはよくわかっています。
でも今は、「ちゃんと書かなかった」ということを後悔している周期なので、
出来るだけ言葉には気を付けつつも、基本的には感じたこと、思い切り書いてみたいと思います。
なので、単独見に行かれて、ご自分の感想を大切にされたい方は、この先お読みにならない方がいいと思います。
あと、単独行かれていない方にとっては何が何だかわからない文章になってしまいますので、お読みにならない方がいいと思います。
じゃあ一体私は誰に向けて書いてるんでしょうかね。


毎度の事ながら、今後この中のネタをやることもあると思いますので、感想だけになっています。
オープニングとエンディングのコントは、今後他では見れないかと思いましたので、簡単に流れを書いてみました。
あまりネタバレになるようなことは書かないつもりでおりますが、どこかで見るまで待ちたいという方はご注意ください。
また、東京公演とは分けてアップしたいと思います。
こちらの大阪公演のエントリでは、各ネタの感想が中心、
東京公演は、主に大阪との変更点、そして全体の感想ということにさせて頂きます。



・オープニングコント
何やら言い争っている様子の父親(森田)と息子(東口)。
「いらん言うとるやろ!」
「なんでだよ、飼ってあげようよー」
「野良犬?いらんねんそんなの」
「公園に、段ボールに入れられて、2匹捨てられてたんだよ」
「2匹も?」
「1匹は、なんか汚らしくて、歯が出てるけど、もう1匹はめちゃめちゃシュッとしてるんだから!!」
「……犬は大体シュッとしてるんちゃうんか?」
「前の飼い主からの手紙も入ってたんだよ」
「手紙?」
「そう。なんだったかな…?えっと、『彼らの活動を支えることが不可能――』」
「……硬いなー!!」
「硬いよ!それになんか怖いよ!!」
最初っから、こちらの想像を遥かに超えるぶっこみっぷり(笑)
ここまで潔くネタにされてしまうと、もう笑うしかないよね(笑)
あの恐ろしく冷たい文面に対するショックが、やっと昇華された気がする。
そしてこの人達は、多分別に、嫌味を言おうとしていたわけではないんだろうなって。まぁ多少はあるかもしれませんが(笑)
それよりも、ただ、面白いか面白くないか、盛り上がるか盛り上がらないか、判断軸はそこなんだろうな。
2日目のオチは、
「なんで怒ってるのか、今から聞きに行こうか?」
「じゃああれ聞きに行こう、イタトンの着ボイスのギャラ、あれいつ振り込まれるのか聞きに行こう!」
ということでした(笑)この大阪2日目のオチは東京でも継続。


・OPVTR
モノクロで、裸足でアスファルトの上を歩いていく。泥臭いのにかっこいい。
最初にコントのタイトルが全部出るのも、ワクワクが高まっていいですね。


・課長
<コピーしておいてくれたまえ……>
オープニング明け一発目にこのネタ。本当に思い入れのあるネタ。
私は、2月の終わりに、オジンオズボーン・うしろシティ・さらば青春の光でのDVD発売イベントに行っていました。
本当はこの時の感想も書きたいと思っていたのに、結局上手く言葉がまとまらず断念してしまったのですが。
このイベントでは各組一本ずつネタを披露していたのですが、この時にさらばがやったネタがこのネタでした。
もうこの時、本当にすごかったんです。
舞台でネタをする、ということ自体が一ヵ月ぶりだったはずなのに、すごいウケっぷり。
ブランクがあっても、人前に出れなくても、「面白い」というものに対する感性は全く鈍っていないんだ、と肌で実感させられて、ちょっと恐ろしくなるくらいでした。
この時の衝撃と感動、絶対忘れないだろうなぁ。
そして単独でももちろん面白く。抜群の安定感。
ここがおかしいんだ、ここがポイントなんだ、って客席に理解させる上手さ、提示する上手さ、
そこから振り回す側と振り回される側の主導権が鮮やかに移り変わっていく感じ。
同じことを思いついても、他の人はここまで上手く、笑いどころをきれいにしぼって提示できるだろうかと思うし、
それができちゃうのがさらばの魅力なんだろうなぁ。


・合同捜査
<はい、もしもし……>
展開の妙。すっごくきれいな起承転結。
詳細な説明を徹底的に省いて、森田さんの表情だけでストーリーを理解させる感じ。


・ブリッジ 野良犬を拾う①
今回のブリッジは、VTRではなく、短いコントを間に挟む形式。
「合同捜査」に出ていた森田刑事が、段ボールに入った野良犬を見つける。


・遭難
<寝るな!寝たら死ぬぞ!!>
冒頭の、じっくり演技を見せるところの見応えったらない。すっごくよかった。
でもそれも、すべて後半の笑いを生かすための緩急。
2人の普段のキャラを知っているからこそ成り立つネタですね(笑)


・手術
<主治医として当然のことをしたまでです…>
これはなぁ…。
本当に個人的なことを言わせて頂くと、これは正直、私はアウトだったなぁ…(笑)
もちろん、何が面白いかはわかるんだけど、どうしても「こういうのを笑いにしちゃっていいの?」というのが先に立ってしまうというか。
最初の一笑いが起こるところで感じた、何とも言えない不気味さったらなかったなぁ(笑)
私は、DVD「なにわナンバー」に入っている「病室」のネタもどうも苦手で、それは「こういう状況が本当にあったら嫌だ」と考えてしまうからなんだろうなぁと思うんですが、
でも多分二人の出発点は逆で、「ありえないけど、もしもこういう状況があったら~」っていう感じなのかなと。
さっきも言ったけど、彼らはとても客観的な軸で笑いを判断していて、
だからそれがタブーじゃないかとか、感情的に考えてどうかとか、そういうことは考慮に値していないのかな、という気がした。


・ブリッジ 野良犬を拾う②
「手術」のお医者さん、森田さんが、また捨てられてしまった野良犬を拾う。


・辞表
<何やお前、会社辞めたいんか?>
今回の単独、個人的に一番好きなネタはこれでした!
本当に本当に最高に好み。
「静と動」とか、「冷静と情熱」とか、「クールな東口さんに振り回される必死な森田さん」とか、そういう次元を超越しているというか。
もはや、東口さんのキャラは「感情が不明」という新しいジャンル(笑)
先に言ってしまうと、このコント、オチで本物のチェーンソーが登場したんです(笑)
信じられない。そんな単独ライブ聞いたことない(笑)
だから初日は、オチの衝撃で全部持っていかれてしまって、あまりこのネタ自体の印象が残っていなかったのですが(笑)、
でも大阪2日目、そして東京と見ていく度に、あー本当に私が大好きなパターンのネタだなって。
あるフレーズがきっかけになって、どんどんループしていく感じ。
これを書いて誰に伝わるんだという感じですが、ライスだと「転換」「殉職」みたいな感じと言ったらいいのかな。
私は少し前まで、さらばのネタにあまりハマらないことが多くて。
それは、どうしてもしつこさやゲスさや、ギスギスした心理戦が前面に出てきてて、その印象ばかり受けてしまったからだと思うんですが、
ネタの大枠というか、パターンだけ見てみたら、とにもかくにも私が無性に大好きなパターンだったんだなって。
これに、もう少し早く気が付いていればよかったのにな……。
とにかく、何回もリピートされていって、客席も「次来るぞー!」と分かっている感じが気持ちよくて(笑)
予想つかない方向に展開していくのがさらばのネタだけど、こうやって、みんなが待っているところにちゃんと落ちていくのも気持ちいいね。
またその間が絶妙だから、きちんと笑わせられちゃうんだろうなぁ。


・オカリナ
<すごいよ…?>
全部のコント面白かったのですが、特にここからの後半4本は、本当に圧巻の面白さでした。
このコントよかったなー!大好きだったー!!
「そこを選ぶのか!」という、誰もついていなかったところを持ってくるのが本当に上手い。
それに、明示的な説明は一切していないのに、ちゃんとお客さんにどこがポイントなのかを見せるのが本当に上手い。
さらにこのコントは、だんだん東口さんのキャラが愛おしく感じられてくるのも魅力で。
本来の笑いどころに行く前の、東口さんのセリフだけで、徐々にクスクス笑いが広がっていくのも本当に楽しい(笑)
実は私、このコントを、大阪初日の4日前の、「ペイジワンZ」というライブで見ていました。
もちろんその時も十分面白かったのですが、たった4日間で相当細かく修正を加えていて。
そして、前はこんなキャラじゃなかったのにって思うほど、社長のキャラが確立されて、強調されてて。
もちろん最初から面白いけれど、何回もやっていく中で磨いていく方たちなんだなぁと、改めて。


・ブリッジ 野良犬を拾う③
「オカリナ」の東口社長が、またまた捨てられてしまった野良犬を拾う。


・小豆島少年野球団
<初めての試合が決まりました!>
まず、タイトルだけで、すとーんと恋に落ちた感じ。心を全部持っていかれた!
さらばのネタは、「会社」とか、「ラーメン屋」とか、「親子」とかシンプルなタイトルが多いので、
まずOPVTRでこのタイトルが出た時、もうワクワクが止まりませんでした。
そして、そのワクワクにたがわず、最高に面白かった!!
愛しくてかわいくて平和で、頭からっぽにして大笑いできる感じ。
ちょっとギスギスした心理戦のネタが続いた後だったので、このタイミングでのこのネタはちょうどよかったかも(笑)
でも、全体を振り返ってみると、改めてこのネタの異質さにびっくりします。
他のネタが、時間をフルに使って、いろんな展開やいろんな笑いどころを入れようとしている中で、たったこれだけで!?っていう一つだけで勝負している。
丸腰で戦いに行くようなものですよこれ(笑)
でもそれで確実に戦える、圧倒的な技術と、ハートの強さ。
ぼったくりバーの時にも思ったんだけど、一つの仕掛けだけで勝負しに行く。
たっぷりと間をとっても微動だにしない。迷いがない。
そうやって、普通ちょっと勇気がいるようなことを果敢にやり切ってしまうからこそ、芸人さんからの人気も高いのかもしれないね。


・ラグビー協会
<全ラグビー選手を代表して……>
森田さんが徹底的にヘンな人で、東口さんは淡々とツッコミ、という、きれいにボケとツッコミが分かれるネタ。
じわじわと笑いどころが明らかになって行くのもいいけど、こうやって、一言でパーンと笑いがはじけるのも楽しいね。
東口さんの一言ひとことのワードの切れ味も鋭くって素敵。
そして、以下は書こうかどうか迷ったのですが、ちょっと試しに書いてみようかと思います。
どこかしらから批判が来たらすぐに消します(笑)
このネタ、すっごく、チュートリアルみたいだった。
チュート見てるみたいな気持ちになった。
元々、私は東口さんのことを、福田充徳さんに似てるなぁと、ずっと思っていました。
どこがとかなんでと聞かれると上手く答えられないから、今までここに書いたことはなかったのですが、
例えば口調とか、笑い方とか、穏やかそうに見えて結構頑固なところとか、ちょっとわちゃわちゃしてる中でのツッコミの仕方とか、失礼な発言をした相方をいなしているようで実は自分も乗っかってる感じとか、相方をはたく時のバリエーションの豊かさとか、相方を蹴り飛ばす時の躊躇のなさだとか、まあまあのエピソードトークを全力で話して微妙な空気にするところとか、
まあいくつか失礼なことも申しあげましたが(笑)、とにかく本当に似ているように私には感じられていたんです。
そんなことを思っていた矢先、最近QuickJapanのうしろさらばのインタビューを改めて読み返してみたら、
「よく見ていた芸人さんは?」という質問に、東口さんが「チュートリアルさんとか」と答えていたもんだから、もう私は衝撃だった。
読んだはずだったのにすっかり忘れてた。そうだったのか。
何だか、遠くに放り投げて、もう投げたことすら忘れていたブーメランが、戻ってきたような感じだった。
意識して真似している訳ではないだろうけど、自然と見てきた感覚が体に染み入ってるのかもしれないですね。
そして私がそれを感じ取ったのは、同じように私も見てきた人で、上手く言葉に出来なくても同じ感覚があったからなのかもしれない。
同じ人を見てきた人が、演じる側になって、
私はまたその人を見て、その頃と同じように、ライブに足を運んで、感想を書く日々。不思議な感じ。
長くなってしまいましたが、まあそうやって、個人として東口さんと福田さんが似ていると思ったことは前からあったんですが、
ネタ見て、コンビとして、チュートに似ていると思ったのは初めてでした。
一人は平然とおかしなことを言い続けて、一人がそれにツッコむんだけど話通じなくて、そして後半からは二人とも変な方向に走っていって、
みたいなパターンは、言ってみればよく見るものって言えばそうなんだけど、
それなのに、ここまで私にチュートを思い起こさせるものは何なのだろう。


・ブリッジ 野良犬を拾う④
「ラグビー協会」の東口会長が、またまたまた捨てられてしまった野良犬を拾う。


・タイ料理屋
前半のチュワさんの陽気っぷりに苦しくなるくらい笑った(笑)
私も、身近にチュワさんみたいな人がいる行きつけのお店があればなぁ、とか思っちゃうくらいに楽しんでいたのに、
東口さんの一言で一気に空気が変わるこの感じ!!
笑いと悲鳴が同居するカオスな会場(笑)
そして後半のチュワさんの独白素晴らしかったー。
何かこれを見ながら、2年前のしずる単独、そしてライス単独に感じたことと同じことを思っていました。
コント、なんだけども、コントの枠におさまりきらない感じ。この、多くの人が感じたことのあるような、言い表しようのない切なさを表現しているところ。
もしかしたら、世代とか環境に関係なく、いつの世もコント師が最終的に目指すところは、そういう人間の奥深さみたいなものの表現なのかもしれない、
なんてことを感じてしまいました。
まったくもって的外れかもしれないけれど。


・エンディングコント
森田さんとネタ合わせの約束をしていたはずの東口さん。しかし森田さんは見当たらない。
すると、大きなダンボールを見つける。
貼り付けてある手紙を読むと、どうやら2匹の野良犬は、ラグビー協会の会長にも捨てられてしまったみたい。
今までよりひときわ大きな段ボール、それを東口さんが蹴飛ばしてみると、中から「おいっ!」と森田さんの声が聞こえる。
「えっ!?森田?」
「そう、オレここに住もうかと思って。犬と一緒に」
「段ボールに?まぁ、お前らしいっちゃらしいけど……。
 でも、お前にしては大きすぎるんちゃう?贅沢やわこんなん」
そう言って東口さんが袖から持ち出したのは、あのチェーンソー!
「森田?行くで!」
そう言って、笑顔でチェーンソーを動かし、舞台上で本当に段ボールに切り込みを入れていく東口さん(笑)
森田さんは「危ない、やめろって!わー!!」と大騒ぎ。
すると、段ボールの中から、森田さんの首がハネられて飛んでくる!!!(笑)
(森田さんそっくりの、顔のマスク?と言ったらいいんだろうか)
「うわぁ、ごめん!」と謝る東口さんですが、
「何してくれてんねんホンマー!!」と、首切られてもめちゃめちゃ喋る森田さん(笑)
2日目では、
森田「お前はやりすぎるところある、ホンマそういうところある!今回だって、オレはやめることはないと思ってた!!」
わき上がる笑いと悲鳴(笑)
森田「あ、ちょっと待って。オレの首、ラグビーボールみたいに持ってみてくれへん?」
東口「え?こんな感じ?」
と言って、森田さんの首を持って、いろいろかっこつけてポーズをとってみる東口さん。
森田「このコンビ、売れるんちゃう?」
東口「……イケるなぁ」


・EDVTR
日曜日よりの使者を聞きながら、あぁ、やっと見れた、って思ってました。
ずーっと見たかった単独、やっと見れました。


・エンディング
初日、本当に大きくて温かい拍手に胸がいっぱいになったし、
二人はそれ以上に、思うところも感じるところもたくさんあったんじゃないかなと。
大阪のお客さんに感謝の言葉をのべ、そしてたくさんの人が支えてくれたからできたんだと言っていました。
ところがその次の瞬間には、東京初日がいかに売れていないかを切実に話し出す(笑)

2日目の最後の挨拶では、森田さんが、
「また、また大阪でもライブが出来たらと思っていますんで!」と、力強く言っていた。

「東京進出」という言葉には、いつもちょっとした苦さを感じる。
私は東京にいる人間なので、大阪の芸人さんがこちらに来てくれて、見れる機会が増えるというのは、もちろん喜ばしいし、ありがたいことなんだけど、
それでも、いつも複雑な思いは残る。
6年前、チュートリアルの時も、そうでした。
極端な言い方をしてしまうと、今まで関西の方々が応援して、支えてきたのに、
こちらがいいとこどりをしてしまう感じがして、なんだか引け目を感じてしまう。
特に、今回の場合はさらに複雑で。
普通は東京進出と言ったら、売れてきた頃にするものだから、
拠点が東京になって、大阪でライブをする機会が少なくなってしまっても、まあテレビで見れる機会は増える。
でも、彼らは多分、しばらくはそういうわけにはいかない。
だから関西の方々の気持ちを勝手に考えてしまって、勝手に申し訳ない気持ちになってしまう。
私が、そこまで気にすることないんだけど。
そこを気にしていたって、私に出来ることはいつもと同じように、ライブに足を運んで、少ない稼ぎの中からだけど好きなものにお金を落として、応援すること以外に、ないんだけど。
私には出来ることなんて何もないけど、ただこれからも、大阪でもライブが時々出来るといいですね、と心から思った。



これだけ書いて、まだ書くことあるのかとお思いでしょうが、なんとそれがあるんですよ(笑)
続きは東京公演のエントリで。