甘酸っぱい日々

面白くても何ともならない世界で 何とかしようとする人達のために

5月3日 さらば青春の光単独公演『野良』 東京公演

2013-05-23 02:25:43 | 単独ライブ
さらば青春の光単独「野良」、東京公演の感想です。
前回のエントリで書いたように、各ネタの細かい感想は大阪公演のエントリで。
今回は、大阪東京間の違いをメモするのと、全体の感想を主に書いていきます。




・課長
<コピーしておいてくれたまえ>
はぁ……本当にため息が出るくらい面白い。
さらばのネタって、ちょっと好き嫌いが分かれるんじゃないかって思うネタも時々あるんですが、
これはもう老若男女問わずみんなにハマるんじゃないでしょうか。
なんやかんやあった後の2月に初めておろしてから、まだそんなに時間も経ってないのに、この安定感恐ろしい。
大阪とオチ変えていました。こちらの方がストンとしっかり落ちてる感じ。


・合同捜査
<はい、もしもし……>
渋谷署と新宿署に変えていたりする細かいところも。
本当になんというか、展開に何の隙もないコントですね。
一つの話題で引っ張ってるという感覚すらなくなってくるくらい、きれいに一本のストーリーの流れが通ってる感じがする。


・遭難
<寝るな!寝たら死ぬぞ!!>
ちょっとくだりを増やしたりはしたけど、基本は大阪とほとんど変わらず。
3日昼公演のウケ具合ったらすごかったなぁ!
そして千秋楽は東口さんが全力の全力。
ちょっと鳥肌が立つくらいの全力。心がざわつくくらいの全力でした。


・手術
<主治医として当然のことをしたまでです…>
もちろんすごくウケてたんだけど、何となく大阪の方が笑いが大きかったかなぁという気もしたり。
回を重ねるごとに、冒頭の芝居パートが安定してきて緊張感が増してる感じがしてぞくぞくした。


・辞表
<何やお前、会社辞めたいんか?>
大阪の時よりも間が安定していて、さらに緩急がしっかりした感じがして、もうとにかく好みでした!
やっぱりオチの衝撃で全部持っていかれちゃうけど(笑)、それまでの、同じパターンで延々とループして行く感じ、
あー、こういうの私大好きだなぁ、大好きだなぁって改めて。
みんなの「来るぞー!次来るぞー!!」っていう期待感がわくわくする(笑)


・オカリナ
<すごいよ…?>
これは大阪初日からもう仕上がっていたけど、それでも回を重ねるごとに、さらにさらに磨かれていった感じ。
東口さんのキャラが本当に素晴らしい。なんて愛おしいバカさ加減(笑)
森田さんも、本当はもっとセリフで説明しようと思えばいくらでも出来るのに、それをせずに表情と口調だけで全てを表現してしまうのがすごすぎる。
そして、私はちょっと後方の席に座っていたのですが、このコントの時に、この席に座っていて本当によかったなぁと思うことがあって。
東口さんがオカリナを吹いた瞬間、私の席から、お客さんがどっと沸いたのが見えるんです、すごくよくわかったんです。
こうやって、緊迫した空気から一瞬で爆笑を起こせるって、本当にかっこいいなぁって。
この景色は、演者さんには見えない。特に東口さんは目をつぶってるから見えない。
見る側にしかわからないこともある。とっても素敵で贅沢な景色でした。
千秋楽ではなんだか、このネタを赤坂BLITZでやっている姿が見えたような気がした。
そこまで勝ち上がれるかだってわからないし(もちろん上がれると思うけど)、そしてこのネタをかけるかどうかだってわからない。
でも、あの黒い背景で、無機質で、でもとっても広くて大きな舞台で、そこを勝ち上がればゴールデンのキラキラのステージが待っているという、
その赤坂BLITZで、このネタをかけて、爆笑をとっている姿が見えたような気がしたんだ。


・小豆島少年野球団
<初めての試合が決まりました!>
これも最高に面白かったー!
大阪よりも東口さんのセリフを足して、結構わかりやすくなった感じ。
あとは、中盤にちょっとほっこりするくだりが増えていたので、さらに最後が際立つ感じになってよかったかも。


・ラグビー協会
<全ラグビー選手を代表して>
前半の東口さんのセリフがさらにキレを増していました。
「節目や!」「お前、節目逃しとんねん」が大好き(笑)


・タイ料理屋
<本格的なタイ料理屋って言ったら……>
前半のチュアさんは何回見ても笑ってしまう。頭空っぽにして笑える(笑)
そこからのあの空気の変わりっぷりがたまらない。
東京バージョンは、少しくだりを減らして、中盤がだれないようにシンプルになっていた感じ。
こちらでもすごくウケていたし、そしてあの何とも言えない切ない空気もしっかり伝わっていたような気がしました。


・エンディングコント
まさかここを変えてくるとは思っていなかったなぁ。
大体の流れは一緒でしたが、首を切られてからが違う。
(首を切られてからっていうのも相当なワードですけど・笑)
大阪では、東口さんが森田さんの首を持ってカッコつけてポーズをとって、
森田「売れるんちゃう?」
東口「イケるなぁ」で終わり。
東京では、森田さんの首を東口さんが自分の肩に乗せる。そして、
森田「『どうもー!さらば青春の光でーす!!』これ、売れるんちゃう?」
東口「いや、売れるか!」
と言って、首を床に投げつけて暗転。
確かに、こっちの方がコントとしてちゃんと落ちてる感じはするんだけど、
個人的な感情から言えば、大阪バージョンの方が好きだったかなぁ。


・エンディング
昼公演では、
森田「この回を持って黒字になりました!」
東口「あなたが追加やろうって言わなければ、昨日の時点で黒字だったんですから」
千秋楽では、
森田「この回は、まるっと儲けのお客様です!」
お金の話ばっかり(笑)
私、お金の話も女性の話も好きじゃないのになぁ、なんでそういうコンビを好きになっちゃうのかなぁ(笑)
東口「あなた、泣かなくていいんですか?前から、千秋楽では泣くって言ってたじゃないですか」
森田「泣く思てたんですけどね、いざお金がちらつくとね~」
そう言って満面の笑み(笑)
最後に、改めてお客さんとか、支えてくださった方々へ感謝の言葉を。
そして、
東口「これから、死ぬ気で頑張りますんで」
そう、はっきり言っていた。
私は、二人がどういう経緯でこの決断をしたのかはわからないし、もっといい方法がどこかにあったのではないかと思ってしまうけど、
ここまで思っているなら、もう言えることは何もないのかもしれない。
笑顔でハケる東口さんと、ちょっと目が潤んでいたように見える森田さんを見送りながら、そんなことを感じていた。





単独開催が発表になって、そして詳細がわかってからずっと、HEPホールSPACE107のホームページなどに記載されている、
『今まで誰も見たことがなかったコントの世界』
というふれこみの文面が気になっていました。
実際見てみて、あぁ、確かにその通りだなぁと。
本物のチェーンソーをぶっぱなす単独ライブなんて、前代未聞(笑)
……いや、そういうことじゃないですよね、多分。
最後のコントで、首を切られた→事務所をやめることになった、を表しているのかなと。
そう考えると、この単独全体が、まさに今の彼らの全てを暗示していたのかなと。
「遭難」の冒頭、森田さんの「諦めるな!俺もしんどいよ!」と、東口さんの「お前じゃなかったら、もう諦めてたかもしれない」にドキっとさせられたりとか。
「辞表」の東口部長の、「お前、ここ辞めたらどこ行くんや?行くとこないやろ?」とかに反応してしまったりとか。
最後のコントの大阪バージョンのオチは、東口さんの「イケるなぁ」だった。
(クビじゃないけど)クビになっても売れてやる、という決意の表れだったりして。
単独全体で、そのメッセージを伝えようとしていたのかなぁなんて。
だとしたら、まさに、「誰も見たことがなかったコントの世界」だ。


私は以前から、うしろシティのことを、「新時代のコント師」とか「新しい道を作っている」などと色々書いてきました。
今までのよくあるコントは、例えば変な店員さんにツッコむお客さん、みたいな感じで、どちらかが変な人のネタが多かったけれど、
うしろシティの場合は、どちらも別に変な人という訳ではない。
一見すると普通の二人が、なぜかタイミング悪く出会ってしまい、おかしな方向に話が進んでしまう。斬新だけどとってもリアル。
だから、新しいスタイル、新しい時代のコント師だって。
今回、この単独を見て、さらばにも同じことを思った。
うしろシティとは、また全然違う意味合いだけど、
今まで誰も歩いたことのない、新しい道を作ってる。
ぬかるんだ地面を駆け抜けて、生い茂る草むらをかきわけて、
野良犬はどこまで走れるか。
困難も、しがらみも、大人の事情も飛び越えて、
「面白い」という武器だけで、どこまで戦っていけるのか。
とってもスリリングだけど、とってもわくわくします。


好きになるタイミングが選べるなら、絶対に今は選ばない。
「今でしょ」っていう言葉が流行ってる今だけど、絶対に今は選ばない。
いくら言っても仕方がないけど、もっと前に好きになりたかった。
もっと前から、ちゃんと見に行っていればよかった。
今までちゃんと見に行っていないのに、こんなに長々と偉そうに頭のおかしい感想を書いているのが恥ずかしくて仕方がない。
本当は恥ずかしくて書きたくない。
嫌だ嫌だと言いながら、こんなに長文を書く人が一体どこにいるんでしょうか。本当に頭がおかしい。
じゃあ書くなという話なのに、それでも書きたくなっちゃう自分に自己嫌悪がとまらない。
だからもっと前に好きになりたかった。
それか、何年か後でもいい。
何年か後、二人の状況がもう少し安定して、どこかの事務所に所属が決まって、その頃に好きになって、
へぇ、さらば青春の光って、昔松竹にいたんだね、うしろシティと一緒に動いてたりしてたんだね、事務所やめるときちょっと大変だったんだね、へぇそうだったんだね……
……って、それでもいい。
どう考えても今ではない。
それくらい今がしんどい。
どうしてこんなにしんどいのか、上手く言葉に出来る気がしないから今は書けないけれど、本当にしんどい。
だから、何年か後に好きになりたかった。
今、好きにはなりたくなかった。
だけど、結局、今しかなかったんだと思う。
好きになるタイミングって、自分の意思で選べるわけじゃないから。
好きになろうって決めて、好きになるわけじゃないから。
もっと前から見ていたとしても、今この状況に納得できていたかどうかはわからないし、
何年か後に好きになっていたら、今この時に、この最高に泥臭くて、でも最高にかっこよくて、素敵な単独は見れなかったから。
結局、今しかなかったんだと思う。
色々と苦しかったし、これからも色々あるとは思うけれど、
今、この素敵なコンビを好きになれて、本当によかったです。