Pains パリの味

パン屋、ベーカリー作りを応援します。

ベーカーテクノサービス

パン屋をどう作り、どう経営するか

2012-10-23 08:43:46 | Weblog


スペイン製石窯 良いとは思わないが、前社長が導入した○○物

今日は新潟県柏崎にまいります。

 パン屋を作る、厨房と売り場を合わせて10~12坪程度であれば600万円から800万円ほどでしょうか。中古のミキサーとオーブンを導入することになりますが、いい加減な中古機器専門業者に丸投げは危険です。以前にも書きましたが、はるかに耐用年数を超えた機材から、使えそうな(何時壊れるか分からないような機材)部品だけを寄せ集めて、あたかも整備しましたと言わんばかりに磨き上げた機材を販売する業者があります。まだこれはましな方で、全く整備しないで販売する業者もあります。恐らくこちらの法が多いと思います。

下の提案機材は、私が最も信頼しているベーカリー機材専門の販売会社の価格で、最近納入している平均的なものです。(この会社はオーブンメーカーでもあり、現在国内シェアーはトップです。)

中古オーブン4枚差し3段、   100~120万円 (完全整備済み)
中古ミキサー50コート      40~50万円  (完全整備済み)
 30コート併用型は10~15万円高になります。
ドゥーコン新品         120万円
冷凍冷蔵庫4枚扉新品       40~45万円
  庫内ラック使用ですと     15~16万円高
1200*600コールドテーブル新品  16~20万円
1500*750コールドテーブル新品  25~28万円
麺台、シンク中古    合わせて 10万円ほど  
ドゥーシーター国産中古      25~30万円 (ベルト交換、完全整備済み)
ミニモルダー中古         15~20万円 (ベルト交換、完全整備済み) 

このほかに搬送、搬入、試運転費用が必要です。  

中古天板 1枚 500円
中古食パン型蓋付き(2斤)500円
秤、スライサーなどもあります。

提案したオーブンは堅牢で、蓄熱性・密閉性・断熱性が良く、焼きムラの殆ど無い高性能が特徴です。東京カネカ食品販売株式会社の新座にありました試作室で何度か試作を行いましたが、使用したオーブンはこのオーブンで、食パン、直焼き、焼き菓子共に大変満足しました。

この他に店舗取得費用、工事費用、什器及び内装費用などかかり、オーブンを4枚差し2段にするとか、ドゥーコン、ドゥーシーター、ミニモルダーを導入しないとか、機材の選択と工事費、什器・内装を簡素化することで、600万円程度に収めることも可能です。

ドゥーコン、冷蔵庫、冷凍庫は新品をお奨めします。特に冷蔵庫、冷凍庫は定価の4割程度で購入できます。 

シュトーレン

2012-10-21 17:48:36 | Weblog


シュトーレンの季節になりました。今年初めてのシュトーレン、今月末にロアモンド池上店顧問を辞します。そこで技術移転のため例年より少し早いシュトーレン作りとなりました。今日は焼成後、焦げたフルーツを取り除き、溶かしバターに漬けて、グラニュー糖で包むまで。明日以降粉糖で仕上げます。

パリに駐在中の1989年11月、ドイツのケルン、デュッセルドルフ、ボン、ロマンチック街道を南下してミュンヘン、ウルム、シュツットガルト、バーデンバーデンと廻り、シュトーレンを探し、製法を確かめて来ました。この時に頂いた配合・製法を基に毎年改良を加え、20年以上作り続けて完成度は高くなったと思います。

この時はロマンチック街道に入った頃から雪になり、ミュンヘンからは雪の高速を夏用タイヤで走り、やっとの事でストラスブールに戻り、フランスに入ると緊張がほぐれたせいか、食事が美味しかった記憶があります。ストラスブールからパリまでは慣れた道路で、雪も無く快適なドライブでした。アルザスはまた旅行したいところです。

ベーカリー商品

2012-10-14 14:28:09 | Weblog

足立美術館 庭園

先日、某ベーカリーを訪ねました。

そこで目に入った物、カツカレーパンでした。フィリングのカレーは手作りでしょうか、旨味の欠けた只のカレーでしたが、そこにカツが入っているだけですっかり別物に仕上がっていました。

早速真似して販売しました。大ヒットしています。有難うございます。

このカツカレーパン、一度焼いてから揚げてありました。この方法ですと焼き上げてストックできるので、ホイロの出すぎによるギトギトのカレーパンになることも無く、追加も楽で、棚が空になっても直ぐ出せるメリットがあります。アンドーナツは焼き上げてストックしてありましたが、カレーパンは吸油が少なく物足りないので、この方法を採っておりませんでした。

有難うございます。重ねて御礼申し上げます。たまには他店を覗くものです。

安来市 足立美術館

2012-10-11 22:24:18 | Weblog


日本一の庭園、

今日は安来市へお邪魔しました。仕事の後、足立美術館へご案内いただき、大観の絵画と北大路 魯山人を堪能してきました。

また、初めて見る庭園、素晴らしい眺めでした。

何度か魯山人の茶碗でお茶を頂きましたが、しっくり来るでしょと言われても、その茶碗の価格を知っていると、しっくり来るどころか、手の震えが止まりません。

料理を引き立てる器、パンも同じ事で、料理の添え物。フランスに居る間、レストランのシェフから美味しいパンが欲しいと、食感、香、味、パンの重さなど細かく指定され、何度も試作したことを思い出します。美味しくても料理より主張しては料理がボケてしまう。アペリティフ、メインの魚、肉、チーズと共に出すパン、色々要求されました。しかし、結局は天然酵母=ルバンの強さ、ライ麦の量、粉の挽き方、この組み合わせで粗解決できたように記憶しています。パンの水分、これだけは日本人とフランス人の好みが異なりますが、美味しいと感じるパンとその製法は日本人もフランス人も同じで、日本の製法の食パンが良く売れたことからも立証できたと思っています。

料理に併せてワインとパンを選び、変え、チーズでもワインとパンを変え、料理のソースを聞いてワインを決める、更に気に入らないと途中でワインを変え。勉強にはなりました。


パン屋コンサル

2012-10-11 06:20:57 | Weblog

今日は出雲空港経由で安来市へ参ります。

ベーカリー経営が厳しくなっています。消費者はパンの価格が高いと感じているようです。100円でカップ麺が食べられますが、パンは150円前後、または200円前後、1個での満足感ではパンが劣る?

食パン1斤250円、卸売りの食パンは160円、ベーカリーの価格はやはり高い。今の景気では安い食パンに目が向くのは当然ですか。尖閣諸島問題が起きた後は更にこの傾向が強くなったように思います。

スクラッチベーカリーはどう対応すれば良いのか。美味しいパンを作るのは当然。高いと感じる惣菜パン、菓子パンでは勝負にならないことは明白。美味しい食パン、直焼きパンを値ごろ感のある価格で提供する以外ないでしょう。これまでに無い美味しさを、また柔らかさ、日持ちの良さを備えた食パン。直焼きパンも食卓にどう乗せたらよいのか、この点も提案しながら、店頭では直焼きパンを使ったサンドイッチも必要でしょう。

美味しさを追求するには、天然酵母=ルバン(市販の天然酵母製剤ではない)を従来の使い方でなく、新しい使い方を開発する必要があります。既に新しい方法で山型食パンを焼いています。それはロアモンド池上店のイギリス、パンドミですが、醗酵時間が長く、冷蔵庫を使いますが、これまでの食パンとは一味も二味も違います。湯種食パンのような柔らかさと日持ちの良さを備えながら、湯種法食パンと異なり、パン本来の風味を備えています。これが天然酵母の食パン、究極の食パンです。今のところ。また次の食パン製法を考え、開発してゆきますが、今はこれが一番と感じています。

今年のパネトーネはこの製法を改良した製法で焼き上げます。昨年のパネトーネもかなりの完成度でしたが、今年は昨年を上回る商品にします。パネトーネ種を使わなくても本物が出来ます。

商品開発

2012-10-10 11:01:57 | Weblog

生地の倍量フルーツが

ミッシュブロートの生地に2倍量のフルーツ(レーズンと胡桃の合計)が入ったフルヒテブロート。ドイツではこの様な商品を見たことありませんが、日本ではフルーツが入っていないとなかなかライブレッドは売れません。ライサワーで作ったミッシュブロートはしっとり、老化も遅く、日本人好みの食感になりますが、今売られているミッシュブロートの大半が、ライサワーから風味と酸味だけを抽出した製剤を使用しているため、本来の美味しさでは無く、しっとり感も無く、老化が早く、ドイツパンは美味しくないと、印象付けてしまいます。

本来天然酵母(自作のルバンで市販の天然酵母製剤ではない)を使い焼き上げたパン度カンパーニュ、ミッシュブロートは日持ちが良く、1週間も美味しく食べられる製品と成ります。ただただ偽物が多く、そうは認識されていません。残念ながら。



天然酵母パンペジーブルのミッシュブロート、ライサワーを使った本物です。柏市柏下、


スクラッチ ベーカリー

2012-10-08 15:39:15 | Weblog


技術も経験も無く、ベーカリー経営に乗り出しますか?趣味のパン作りとは全く異なりますが、それでも冒険しますか?

最近某プロデュース会社の口車に乗ってベーカリーを開店したが、売上が全くありません。どうにか成りませんでしょうか。とのお問い合わせが多く入ります。話を聞いてみると、生地の種類は僅かで、ホシノ天然酵母を使用するよう指定があり、材料問屋も指定されているようです。当然マージンがプロデュース会社に入る仕組みでしょう。

この様なケースは如何すれば良いか、経営を今後も継続するなら一からやり直すことです。1日も早く。そのやる気が有るなら、全く新しい配合、製法、商品構成再構築を指導します。

浅草に食パンとバターロールで商売をしているベーカリーが在ります。しかし普通は、単品では商売になりません。当然生地の種類も多くなり、フィリング、トッピング、整形の形を変え、更に生地配合、製法は独自のものを持ち、他店と差別化しています。食パンだけでも単一の生地ではありません。直焼きパンもバゲット、カンパーニュ、セーグル、更にドイツパンのミッシュブロート、その他に菓子パン、惣菜パン、デニッシュ、クロワッサン、パイ、パートシュクレ、パートプリゼと普通はこの様な生地を揃え、製品によって使い分け、更に冷凍保存、冷蔵醗酵など機材とその生産能力によって工程を作り上げて行きます。

この様に生地だけでも多種類におよび、僅か数日でパン屋が開店できます、ベーカリーが持てます、といった誘いに乗るのは無謀ではないですか。

もし依頼があれば、ベーカリーの立地、使用機材、技術力、商品構成によって、生地配合、製法、工程を作り上げ、更に開店後商品の更新、改廃、買い易い売り場の構築を継続しながら売上を上げて行きます。

パン作りⅡ

2012-10-07 16:29:49 | Weblog

佐渡 相川の夕暮れ

自分の思い描いたパンを作る、これがパン作りの醍醐味では無いでしょうか。何が配合されているか解らん、市販の天然酵母という製剤を使い、指定された配合でパンを作る。インスタントドライイーストが添加されているとしか思えない製剤で、天然酵母のパンを作る。これでは自分のパンでは無いでしょ。プロであれば自分の配合、製法を持ちたいですね。

やはり天然酵母=ルバンでなければ。ルバンとは小麦粉、ライ麦粉とパン作りに有効な微生物の培養液で生地を作り、一晩或いは二晩醗酵、熟成させた種、これが天然酵母です。

普通天然酵母(ルバン)を使用してパンを作ると、風味は良く、老化が遅く、しっとり、黴の発現が遅く、味わい深いパンになりますが、市販の天然酵母製剤を使用したパンは、硬く、重く、老化も早く、食べ難い。こんなものを販売するものだから、天然酵母のパンは美味しくないとの評判が立ってしまう。

本当に美味しいパンを作ろうとするなら、ご自分で天然酵母=ルバンを作り、パンを作るべきです。それで初めてパン作りの楽しさが味わえます。

ベーカリー開業とは

2012-10-05 10:12:28 | Weblog

佐渡、相川の日没
電話の最中に太陽は沈んでしまいました。残念です。

10月3日、4日、佐渡にお邪魔しました。トキの姿も初めて観察でき、パン作りとは異なる感激を味わうことが出来ました。

パン屋、ベーカリーを立ち上げること、個人では大変な難事業です。投資が1千万円を越すことも考えられます。中古機材を上手く入手できたとしても、数百万円の投資になります。

この人生を賭けた難事業を簡単に考えておられる方が以外に多いことに驚きます。ベーカリーを立ち上げ、美味しいパンを提供し、お客様に喜んでいただき、その対価として売上を頂く。そして継続して営業する。ベーカリーを立ち上げることが目標ではなく、継続して営業することが目標であるべきですが、立ち上げることを目標にしているとしか思えない方が如何に多いか。驚きです。

週間の実習でどれだけパン作りを理解し、どれだけの種類の生地作りを、その前の醗酵のメカニズムを、生地の扱い方を、理解できますか?これらは夏と冬では大きな差があります。その他材料、粉だけでも多種類あります。プロは小麦粉の吟味、その性格の違いを見極めて、生地作り、醗酵管理、その後の分割、整形、ホイロ、焼成を行います。些細な変化を大変気にしながら、パンの出来を案じながら、毎日作業しています。

冷凍生地の焼成だけならともかく、スクラッチベーカリーを1週間程度の実習で開業するのは極めて危険です。

パン屋はそんなに甘くありません。

それでも始めたいと仰るなら、徹底的に指導いたします。但し、1週間では無理です。