Pains パリの味

パン屋、ベーカリー作りを応援します。

ベーカーテクノサービス

ブランドに騙されていませんか?

2009-10-25 10:00:52 | Weblog
 フランスの製粉会社、ベーカリーブランドの力を借りたベーカリーが良い立地に大型店を構えていますが、美味しいと感じていますか。売り場にはフランスから輸入された小麦粉を、フランス語が書かれた袋そのまま並べ、いかにも本物を提供していることを強調しています。
 しかし、クロワッサン、ショーソン・ポムは、使われている油脂が上顎に層となって張り付きます。バターであれば口の中で溶けてしまって上顎にへばり付く事はありません。バターの融点はほぼ体温と同じだからです。口の中で溶けないと言うことは、質の悪い安いマーガリンを使っている証拠です。売価が品質に見合っていれば納得できますが、べら棒な高価格では書かざるを得ません。
 スタイルこそパリのカフェそのままですが、クロワッサンが特に酷い。クロワッサンは口に入れるとシュワシュワと溶ける、これこそが本物です。
 わざわざ東京に出てきて、それも日本の中心で、田舎クロワッサンを売る必要?感じません。地下のコッペ屋がお似合いではないですか。田舎から出てきて東京の中心で店を開く、その努力は認めますが、場所柄本物を出せないでしょうか。
 ご使用の小麦粉ブランド、フランスで使っておりましたが、シャルトルの古い製粉会社で、20年前から日本へ輸出したいと前の社長が仰っていました。先代はこんな味では不満でしょうね。

無責任

2009-10-22 17:15:15 | Weblog

なぜパン屋ですか、1週間でパンが焼けるようになりません。

「パン学校で1年間勉強しました」と言って履歴書を持って来る若い連中。現場で全く使い物に成りません。1年或いはそれ以上勉強したはずですが、全く使えません。
やる気が無い、働く意欲が無い、大学に入れなかったから仕方なく専門学校へ入学しただけ、大半が先のこと、将来を考えずただ専門学校へ通っただけ、こんな連中ですから期待はしていないが、ひどい。学校は授業料を頂けばそれで良し、卒業後1年以内に半数がベーカリー・パン業界から去ろうがお構いなし。

 また、1週間でパンが焼けるようになります。こんなキャッチコピーを目にしますが、1週間の訓練で、指導で、パンを売る?売ると言うことは、お客様からお金を頂くことです、よ。お金を頂くと言うことは、プロ?
 時には、もう5年も下積みを経験し、そろそろ独立を考え、店の2番手に抜擢した優秀な弟子でさえ、とても売れないような商品を焼きます。毎日チーフに怒鳴られ、時に落ち込んでいる2番手を慰め、持ち上げ元気を取り戻す手助けが我々の仕事だったりします。ただ、この2番手は上にはチーフがいます。ましてやオーナーではありません。売る、売らないは焼き上げた本人が判断すべきです。これは買うか、買わないかと表裏一体です。
 1週間ではパンを理解できません。しかし、1週間で商売できるようになります、します。と声を掛けるのでしょうね。

 しかし、何の技術も無く1週間の技術指導でパン屋を開店したら、お客様に対して責任を持つのは貴方です。お金を頂ける商品をいつも店頭に並べる自信がありますか。
 冷凍生地を甘く見てはいけません。冷凍生地なら誰でも焼けます、こんなキャッチコピーも良く見かけます。冷凍生地には大きな落とし穴があります。
1、解凍、発酵、焼成の条件、方法で全く別物になります。こんな難しい生地は他に      ありません。
  解凍、ホイロの温度、湿度、時間をしっかり管理しないとバサバサ、ボソボソのパンになりがちです。
2、冷凍生地は仕入れ値が高いこと、これはメーカーが先に利益を確保していますから当然です。そうすると末端の売価設定が当然高くなります。これは誰も利益が  欲しい、現金が欲しい、当たり前です。ただ、消費者は今、高い物は買いません、美味けりゃ別ですよ。冷凍生地のパンが美味いわけ無いんだから。売れるわけ  無いじゃないですか。
   もし、冷凍生地のパンが美味けりゃ、スーパー内のインストアーベーカリーもっとお客様入っています。インストアーベーカリー100%冷凍生地ですから。一部を  除いて。もし、冷凍生地が美味けりゃインストアーベーカリー増えます。しかし今は、どんどん撤退してます。価格が高い割りに、美味くない。
3、冷凍生地はオリジナリティーがありません。どこのベーカリーへ行っても似たり寄ったり。冷凍生地では差別化が出来ません。
 商売として成り立つ訳無い。そもそもFC店以外には販売しない冷凍生地を、FC以外にも販売している矛盾。しかも、FC店には厳しい縛りがありますよね。Tさん!

冷凍生地でパン屋を始めても儲かるのは生地メーカーだけです。本当にパン屋で利益を追求するなら、スクラッチベーカリーです。

技術、経験、知識が必要ですが。それがプロです。大きな責任。


ベーカリー開店後の悲劇

2009-10-21 18:06:43 | Weblog

 ベーカリー開店、企画から開店まで最短2ヶ月。開店から3ヶ月は珍しさから客数もあり、売上もまあまあでしょう。しかし、その後は売上が減少します。この減少期に生地配合、商品構成、価格、サービスを見直さなければ成りません。パンだけでなく、サンドイッチ、焼き菓子、ビノワズリーの充実が必要です。この時期暇ですから。
 この時期を無事乗り切るには、製パン技術と知識が必ず必要です。技術的に何の裏付けも無く、ただ漠然とパン屋が楽な商売と思い、または儲かりそうだと思い開店してしまうと1年後必ず窮地に立たされます。

 甘い言葉、言葉巧みに、口数の多い、ベーカリー開店の誘惑には乗らぬことが肝要です。

 安いコンベクションオーブン、デッキオーブン、ドゥーコンセット、焼きムラが激しく、ドアを開けると温度が急激に下がり、温度の復帰に長時間かかる、こんなセットでよいパンが焼ける訳ありません。


澱粉

2009-10-21 08:16:27 | Weblog

 澱粉、その起源により性質が異なり用途を広げていますが、パン、麺、ケーキ、和菓子と多くの食品で使われています。その結果食感が変わり珍商品が好きな我が国では大きな流行を作っています。
 ツルツルの真っ白な麺、白い鯛焼き、餅のような食感の食パンなど多種多様な商品があります。ただ、澱粉自体風味が乏しく食品の風味を改善する効果はありません。そのため、麺もパンも味わい深い商品にはならず、小麦本来の風味を削いでまで作らなければ成らない商品とは思えません。
 しかし、冷凍生地は無発酵であることと、品質の良い小麦粉が使われるわけではないので、冷凍耐性の向上と老化防止、食感改善に澱粉が不可欠になっています。そもそも冷凍生地はパン屋の長時間労働及び早朝勤務が普通で厳しい労働環境を、少しでも緩和できればと考案されたパン製法の一つで、冷凍生地だけで商売が成り立つことは稀です。冷凍生地の品質は改善され、と言うより生地改良材・イーストの進化と酵素、澱粉、タンパク質などの補助材料、食品添加物の利用技術が向上したことによります。
 冷凍生地だけで商売が成り立っているベーカリー、これは大手メーカーの直営店だけです。


長崎カステラ

2009-10-18 18:55:10 | Weblog

 和菓子の長崎カステラですが、パン屋の商品構成に加えると品格が上がり、ちょっとした贈答用の需要が期待出来ます。
 コンビニや、ライバル店とバッティングする下らない調理パンを作るより、焼き菓子を充実することで他店との差別化を図りたいものです。何しろ何所のベーカリーを覗いても、同じような商品が並びつまらぬこと甚だしい。

 カステラは材料も製法も複雑でなく、夕方の捨て火で焼くことが出来、翌日販売用にピッタリの商品です。シットリとした日本人好みの長崎カステラ、本当に美味しい長崎カステラは少なく、努力する価値は大いにあります。


パン屋開業と売上予想

2009-10-17 18:28:59 | Weblog

 スペイン製の石窯を導入させ、驚くほどのプロデュース料をボッタクリ、大型ベーカリーを開店させている某ベーカリー専門プロデュース会社、騙した方のやり直しもサポートするんでしょうか。残った借金の返済、さぞ大変であろうとお察し申し上げます。横浜のベーカリーを閉めて札幌に大型店を開店したオーナー様、大丈夫でしょうか。既に札幌の店、閉店したと風の便りに聞きました。幾ら犠牲者を作れば気が済むのでしょうか。

 さて石窯とは、焼き床が石、内壁が石で蓄熱、断熱が大変良く、遠赤外効果で火通りの良いパンが焼ける、これが石窯です。
 しかし、この会社が押し付けるスペイン製石窯、外壁は煉瓦ですが、焼き床は回転する鉄板、蒸気は十分に出ず直焼きパンを焼くには苦労します。ですから、大半の店はピザなどを焼くだけで、メインの商品は平窯・デッキオーブンで焼成しています。

 ピザを焼くだけなら、国産で大変良く出来たピッツァ専用オーブンがございます。小型で焼成効率、デザインの良さ、お客様に与えるインパクトの強さ、そして短時間焼成で本物のピッツァを提供できます。このピッツァオーブンの投資効果の良さはスペイン製石窯の比ではありません。大型の石窯は大量生産しなければ、光熱費の負担と償却だけが大きく圧し掛かってきます。窯は大きくなれば温度を上げるだけで大変なエネルギーを必要とし、それでピザを焼くだけでは経費の負担は益々増えます。

 平均日商60万円、これ以上売上を上げないと8000万円とも1億円とも言われるスペイン窯導入の大型ベーカリーの投資は回収できません。しかし今、パン屋で60万円の日商は不可能です。技術指導も、いい加減な古臭いパンを提案するだけで、贈答用商品の提案能力が無く、売上を創り・拡大するだけの商品力が感じれれない。元々、商品開発力、技術力を持ったオーナーであれば、こんな馬鹿げた話には乗ら無いでしょう。パン屋経営は甘くありません。もし大型店・スペイン窯で売上が作れるなら、大手が積極的に手を出しているでしょう。その大手が手を出さない訳、それはお解かりでしょう。


パンドセーグル Pain de seigle

2009-10-16 08:02:18 | Weblog

 パンドセーグル
 フランスのライ麦パン、ドイツのミッシュブロートとはルバン、製法が異なり、ミッシュブロートの様なモチモチ感が無く乾いたボソつく食感の製品が多いことが特徴です。
 フランス駐在中、ライサワーを使用したパンドセーグルを焼いていました。フランス人従業員からはフランスの配合では無いと批判がありましたが、売上は倍増したその時の配合です。

小麦粉(T65)           80%
ライ麦粉              20
ライサワー(TA=160)      40
塩                   2.4
モルト                 0.6
水                 約70

フランスでは牡蠣を食べるときには不可欠なパンで、これからの季節は特に需要が多く、クリスマスと年末年始はそのピークになります。


パンコンプレ Pain complet

2009-10-15 08:30:27 | Weblog

 パンコンプレ

 細引小麦全粒粉とルバンだけで作る直焼きパンです。小麦粉を粗挽き全粒粉に変更すると、Pain de son パンドソンになります。

細引小麦全粒粉                  100%
ルバン(TA=150)                  60
塩                             2.8
モルト                          0.6
生イースト                        2
水                            65~70

発酵時間30分、分割後直ちに整形。
分割後丸めず整形するので、分割は綺麗に形を揃える。
肉料理に合うパンです。多く含まれる食物繊維で肉の消化残渣を体外に効率よく排泄する役目を持ちます。

ルバンはTA=150で、硬めに調整、ルバンの熟成程度によりパンの風味、食感が変わります。


パン屋開業

2009-10-14 10:12:14 | Weblog

 パン屋開業、一大事業です。
 この業界に入り30数年、入社時から冷凍生地の開発に携わり、その後ベーカリーのFCオーナーの技術指導に携わってまいりました。全て素人の脱サラ組で、初めてパンを焼く方たちでありました。この頃はインストアーベーカリー、オーブンフレッシュベーカリーの発展時期で、工場のラインは24時間生産ラインを稼動しても注文に応じきれないほどパンが売れた時期でした。
 技術指導は経営ノウハウと冷凍生地の扱い方、パンの基礎知識を含めて美味しく焼くための最低限必要な知識を1週間程度掛けて行いました。その後レベルに合わせて、高度な生地の扱い方、バリエーションの増やし方などを習得していただき、開店を迎えるまでに商品構成を作り、売上を計算できるレベルまで指導しました。この期間、早い方で3週間、中には開店までに必要な商品を習得できない方もおりました。
 中にはミキサーを導入し食パンや、フランスパンを焼ける程度まで上達したオーナーもおりましたが、そうなるまで3年以上の努力があったと記憶しています。

 リテールベーカリーの売上、全国平均は5万円に届いていません。特に地方で開業するには覚悟が必要です。当たり前のことですが、初期投資は少なく。しかも中古でない機器を揃えること、プロが使用しない、また選ばない機器を押し付けられないこと、ここにお気をつけ下さい。
 大きな店を構えても、それだけでお客様が足を運ぶのはせいぜい2年、品質・味が良くなくては存続は厳しく成ります。良い例がサンメリーでドトールコーヒーに身売りしてしまいました。一方、浅草、新仲見世の”Geeva”、開店当初は品質が悪く、お客様も少なく心配していましたが、今は商品が見違えるように良くなり、パンが生き生きしています。外国人観光客が2階のカフェでコーヒーを飲み、満足した笑顔で出て行く姿をよく見かけますが、私がプロデュースした店のように嬉しく成ります。いつ行っても満足の行くサービスも感心します。ここはオーブンの選択が良かったですね。桜上水の会社プロデュースですが、稀に見る成功例ではないでしょうか。ちなみに、サンメリーの大型店舗はこの会社のプロデュースです。

 1週間でパンが焼けるようになります。こんなキャッチコピーを目にしますが、何種類焼けるように指導するのでしょうか。商売として成り立つ種類と商品構成を構築するだけのノウハウが身に付くのでしょうか。甚だ疑問です。

 開業前に時間的な余裕を持ち、覚悟をお持ちの方はとことん指導いたします。また、最も大事なこと、それは開店後のサポートです。開店後必ず売上は下がります。その売上が下がった後のサポート、ここが重要なポイントです。ここを乗り切れずに閉店、身売りが多いこと知るべきです。

 大方のコンサル、プロデュース会社は店を作るだけで、後は野となれ山となれ。オーナーにとっては開店後の売上をどう伸ばして行くか、それが重大事です。その為には商品開発、技術向上、サービス向上が不可欠です。しかし、開店後は日々の生産に追われ、ライバル店の動向や市場の流れが見えなくなる物です。

 開店と、その後のサポートが出来て初めてベーカリーコンサルタントだと思います。
熱血コンサルを自負し、開店して良かったと思っていただける様、オーナーを指導します。


ミキサーの違い

2009-10-13 09:12:27 | Weblog

 ミキサー

 最近スパイラルミキサーが主流になってきましたが、ミキサーの違いによる生地の出来、生地の違い、焼きあがるパンの違いがわかっておられますか。恐らく何も解らず流行のように、周りがスパイラルを導入したから、つられて良い物と勘違いしていませんか。

 ヨーロッパでスパイラルミキサーが開発され、広がったのは小麦粉の違いと、作るパンの違いにあります。
 フランス産小麦はタンパク質が少なく、グルテンを生成する必要がありません。そのため、グルテン生成の少ないミキサーが主流になりました。その代表が、スラントミキサー、アートフェックス、次いでスパイラルミキサーが開発され主流になっています。
 アートフェックス、スラントミキサーはグルテン生成には時間がかかります。

 グルテンの生成が必要なパンはボリュームを出すパン、高さを必要とするパンには縦型ミキサーが似合います。食パン特に山形食パンは目が立ち、縦に生地が良く伸び、ソフトでトーストした時にその風味の良さが際立ちます。
 一方スパイラルミキサーはグルテン生成が弱く、丸目の内相になります。フランスパン、ドイツパンのようにグルテン生成を必要としないパンに向きます。

 また、最近縦型ミキサーにドラゴンフックが出ていますが、普通のフックで作った生地に比べると、スラントミキサーで作った生地に極めて近くなります。
 この形のフックは、”ホバート”製のミキサーに装備されていました。生地の出来が早く、生地がフックの上部に上がってくることが無く、滑らかな生地が出来るとかんじていました。ハワイでホバートミキサーと国産ミキサーを併用していましたので、焼きあがるパン、特に食パンの違いは感じていました。やはりホバートミキサーで仕込んで焼き上げた食パンは、スラントミキサーで仕込み焼き上げた食パンに近い食感でありました。