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伴大納言絵巻 放火犯は誰か???

2006-10-21 12:59:31 | 展覧会から
出光美術館で開かれている「国宝 伴大納言絵巻」展 ー-新たな発見、深まる謎ーー を見てきた。時間が5時を過ぎていたためか、適度な混み具合でじっくりと解説文を読んだり、絵巻を見ることが出来た。絵巻は情報量が多いので、なかなか細部まで見ることが出来ない。今回の展示は、極端に言えば伴大納言絵巻にのみ焦点を絞っているので、解説も、絵の内容についても、充分に説明が付けられている。そして、そこに描かれている四百六十一人に及ぶと言う登場人物の表情をじっくりと見ることが出来た。さらに10cm位のの大きさで描かれている人物を等身大に拡大して展示し、まるで絵巻の中に入って行けるように構成されている。驚くのは、元のサイズの数十倍に拡大された画像でも、それを全く感じさせ無い、細部にわたる処理が為されていることです。タイトルに言う新たな発見とは、①赤外線を用いた光学的な処理により、絵巻の絵師が461名の全ての登場人物を下書きなしで一気に書き上げていることが判明した。これだけの人物像を破綻無くいきなり仕上げる技量は特筆に価する。②今でこそかなり絵の具が剥落しているが、色彩豊かな絵巻だった。③しかも人物の貴賎により顔料を使い分けている。天皇と大臣は鉛白・それ以下は白土となっていて、例えば上巻巻末にいる、後ろ姿の人物は白土であり大臣ではないことになる。 深まる謎としては、応天門の変と伴大納言絵巻の関係の謎が深まってきた。史実においても絵巻においても応天門事件の犯人は、伴善男であるとされている。しかし何故上巻に詞が気詞書が無いのか、あるいは第十三紙と十四紙の間のつなぎの不自然さは肉眼でも指摘されていたが、今回の検査によっても明らかに不連続となっている。ここに何らかの詞書があり、何者かが意図して削除したと考えられる。さらに今回の調査により、天皇に諫言する 藤原良房の直衣と、下巻において連行される伴善男が同じ直衣で書かれていることが判明した。これは偶然ではなく、絵師が・・というより絵巻を制作させた人物が・・応天門の変の真相をここに込めたのではないか・・・・ 応天門の犯人は伴善男で決着しているが、事件には良房が関わっており限りなく黒に近いと・・・ 絵巻を良く見ると、放火した場面や、逮捕される場面も描かれていない。しかも絵巻の最後の詞書は、「いかにくやしかったどろうか」で結ばれている そんな中で、良房と善男が同じ衣装で書かれていることは、犯人は良房であるとの暗号ではなかろうか
絵巻の素晴らしさとともに、ミステリーの楽しさも味わわせてくれたイベントでした。
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