key person

「どうする日本!」

右と左の真ん中で日本と世界を眺める

黛信彦の時事ブログ

浜矩子語録(101) ドルは使われなくなるから50円

2010年09月28日 | 浜矩子語録
妖艶なエコノミスト・浜矩子は26日放送の時事放談に出演した。
元財務相・藤井裕久氏との出演はほぼ一年ぶりとなるはずだ。
今回、レギュラー司会者の御厨貴氏が学会出席で海外出張中のため、元岩手県知事・総務相の増田寛也氏が司会を務めた。
以下、Qは同放送の浜矩子語録である。Aは増田氏。

●イチロー「200安打」
Q~・~ 浜さん、スポーツは?
A~・~ 野球もしっかりフォローしていますし、サッカーも。
今度のイチローさんの快挙を見ますと、私はつくづくグローバル時代というのはマイスタンダードだとひしひしと感じますね。
グローバルスタンダードに追随するのではなくして、自分のスタンダードを貫くが偉業を達成する。
彼の姿を見ていると、グローバル時代というのはこういう時代だという様に改めて思いました。

●甘いもの
オープニングの茶菓子コーナーではTBS・竹内香苗アナウンサーが、藤井氏が常連だという、東京・上野毛のル・サフランのシュークリームとプリンが提供された。
竹内「藤井さんは(ル・サフランには)よく行かれるんですか?」
藤井「バタ(ー)臭いのも、いんじゃないですか。でも酒の肴というわけにはいかない」竹内「多品種大量飲酒の浜さん、やはり甘いものは?」
浜矩子「ちょっと辛いものがあります。あの、これ、(プリン)上にかかっているのは、ブランディーですか~?
竹内「(残念ながら)カラメルシロップでしょうね! でも香りだけでも楽しんでください。

●菅首相「ニューヨーク」へ行く
Q~・~ ニューヨークでは、オバマ大統領と温家宝首相の2・5Hに及ぶ会談が話題の中心で、菅さんの事はメディアであまり触れられなかったが、菅総理のニューヨーク訪問をどう感じるか。
A~・~ 話題が菅さんの方に行かないという事は、彼がどういう想いとか考えとか目論見を持って行ったかという事が見えてこないという事があったのだろうと思います。単なるご挨拶に終わってしまった。
尖閣問題などで一応の議論はしたのでしょうけれども、自分のビジョンを持って乗り込んでゆく、この辺をきちんと踏まえていかないと、「なんとなく来たか」ということで終わってしまうと言う事ですね。

●突然「船長釈放」
Q~・~ (尖閣領海侵犯船長について)突然決着、浜さん結末をどのように?
A~・~ 結末を含めて、一連の展観で見てゆくと、日本に求められているのはあらゆる意味で、これが象徴ですけれども、大人の対応ですね。
「成熟した人間たち」として、こういう問題に対応することが必要だと感じました。
ここで日本に求められているイメージは「ゆとりあるドン・キホーテであって欲しかったと思います。大人の成熟度と、清く正しい心意気、一途な心意気の組み合わせ、正に「藤井さんのような」ということではないでしょうか。
それが今求められているが、なかなか対応できていないから色々こじれて行く、という感じではないでしょうか。

●中国、一気に「火」がついて
Q~・~ この2週間の間で、中国側の対応のトーンが上がった気がします。中国側も何かの事情を抱えていたのではないという気がしますが。
A~・~ 私は外交・中国問題の専門家ではありませんが、それこそ「放談」的な域の話になってしまいますが、改めて見てみると中国側に焦りが見られます。焦って、日本側の反応が変わらないから余計に焦って過激な発言に向かって行く、ある意味では追いやられていくという印象を受けるところがあります。
そういう中国側の事情を踏まえながら対応しなければならないと思います。
中国はいま大変なところに来ていると思います。
21世紀の大スターではありますが、国内をみれば20世紀以前の国づくり的なことも一緒に進めて行かなければならない。
大人として振る舞わなければいけないけれども、内情は育ち盛りの子供だという厳しさがあると思います。
それを見守る我々は、(中国の)どこが子供であるか困っていることなのか、を読みながら受け止めてあげる、こういう状況の中では考えにくいことでしょうけれども、育ち盛りの大きな子供をどう抱きとめてゆくかという発想が必要で、この一件が改めてそれを示してくれたのではないでしょうか。

Q~・~ 小泉内閣の時には、台湾漁民が(魚釣島)に上陸したのを即刻国外追放するという判断をしたが、今回の政府の対応は?
A~・~ 右往左往という感じです。
「国内法に則って」と言っているのに政治的な決着になってしまった。
外(国)からみていると、中(日本国内)でも同じですが、(政府が)何を考えているか分からないという側面が出てしまった。
国内法に従うならその理屈を先方(中国)に説明をして「その趣旨はこうだ」と腹を割って話す、ある意味では肩の力が抜けた感じ、というのが、大人(日本)側としては欲しいな、と。
向こうのエスカレーションに対して一対一で対応することは結果的には非常にまずい報復合戦になってしまう。
そこに、如何に入らないか、という事が勘所(菅どころ)ではないでしょうか。
そこを(政府は)ちょっとずつ、外してしまった感じが拭えないですね。

Q~・~ 総理も官房長官も「船長釈放は検察の判断」と言っているが
A~・~ それしか言いようがないのでしょう。違う事(政府の判断だった)を言うわけにはいかないのでしょうけれども、「ほんとかよ!」というような事をやってしまったことが、厳しい世論に繋がっているのだと思います。
ちなみに、この事をみて思い出すのは、かつて日米通商摩擦というのが華やかだった60年代、80年代、あれは日本がどんどん伸びてくることに対するアメリカのあせりが色々な不利益と緊張をもたらしました。
あの辺のことを、この際日本側は復習をしてみて、その時のアメリカの心理なども読みながら、その時の彼らの振りを反面教師として勉強してはどうでしょうか。

●「検察、史上最悪」
A~・~ 検察が証拠データ改ざん
Q~・~ この問題は我が家でもいろいろ話し合っていて、私の母がこの検察の姿を見ていて、「戦前・戦中に戻ったような気がする。ものすごい恐ろしさを感じる」と言っていました。
それは、正義の味方であるのが当たり前な人たちが、内輪の論理でこういうことをやってしまうという姿、先ほどの中国の話もあって、非常に国家主義的なものが漂っている世の中において、検察がこういう姿を露呈することは、今という時代状況を心配させることで恐ろしい。

Q~・~ 大スキャンダルですが、他の国でもこういう事が?
A~・~ 類似の事は結構ありますが、今回のケースとの大きな違いは、外から圧力がかかって検察があるまじき行動をするという事で、今回のことは中から起きている問題だということで怖さが深い。

●為替戦争が・・・
浜矩子は文藝春秋2010年10月号に「1ドル50円時代を覚悟せよ」と寄せた。
竹内香苗アナウンサーが、「いずれにせよ、ドル安は歴史の必然だと思う。今、ドルが安くなっているのではない。今までドル高過ぎたのである」とその概要を説明した。
A~・~ 日銀は80円台で介入しましたが、ドル50円?
Q~・~ 50円と言うのは驚くに値しない相場で、もっと早くそういう状況になってゆくべきだったと思います。1980年代、プラザ合意くらいの頃にこの辺になって行く、それに向かって世界が調整していれば、今日右往左往することはなかったのだと思います。
1ドル50円というと「ええっ!!」ということになりますが、1ドル50円の意味は、それだけドルが使われなくなるという事を現しているのです。
これだけ安くなったドルは誰も決済に使う事もない、皆後生大事に持っているという事もない、そういう時代になるという事が1ドル50円ということの言い方には含まれているのです。

●これだけは言いたい
Q~・~ 今週末に国会を迎える菅総理に「これだけは言っておきたい」ということは?
A~・~ 為替の話ですが、「日本が為替戦争の口火を切った」と言われる事だけにはならないようにしてほしいですね。
「日本が円安を追及するなら、皆も自国通貨安を追及するぞ」という言い方に対するお墨付きを与えるようなことにならないように、これだけは気をつけてもらいたいと思います。(了)

浜矩子語録目次Ⅲ

コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« NHK世論調査(10.09)小沢... | トップ | NHK世論調査(10.10)やっ... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
為替 (真ん中より右より)
2010-09-30 17:15:08
ドル安が極まり、アメリカが借金を踏み倒すのか、金本位に順じた新たな通貨に切り替え、デノミのような形で借金をチャラにするのか、食料不足や原材料不足を口実に、全世界が示し合わせ大幅なインフレに踏み込んでいくのか、神のみぞ知るといった所だとは思いますが、借金と貯金がチャラになった後に、個人的に得した損したということを乗り越え、日本と日本人がどういった方向に行くべきか?といった話をしてもらいたいものです。
戦後すぐに新円切りかえがあり、100万円が1万円の価値もなくなったこと、保険証券が紙くずぐらいの価値になった反面、鉄鋼などの株が戦争未亡人の子供達を養う価値になったといったことが、何故か?この日本では語られず、その歴史に学ぶといったことになりません。
いずれそういった番組や本も出てくるのでしょうが、それが出始めた時には、そうなるXデーが近いということかも知れません。
ミネルヴァのふくろうが飛び立とうとしているのか、既に飛び立ったのかはわかりませんが、明治維新以降培ってきた近代日本人らしさを放棄し、何でもありの隣国のようになったり、隣国の属国のような目で、諸外国から見られぬ国づくりの方向性が示されることを願っています。
自国さえよければ病にかかり、古代ローマ時代に滅んだ国の二の舞にならぬよう、このコラムが問題提起し続けることを期待しています。
返信する

コメントを投稿

浜矩子語録」カテゴリの最新記事