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東京目黒から山梨へ育児のためにお引越し。40代高齢出産ママの雑記帳です。

痴人の愛 (谷崎潤一郎)

2007年12月08日 | 本のこと
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最近お出かけに忙しくて読書のほうはすっかりご無沙汰に。
そんな中、久しぶりに目を通した「痴人の愛」。

現代風に言うなら、女王様と奴隷のような関係のナオミと河合譲治の物語。
執拗なまでの肉体描写や変体行為の数々に、谷崎の筆がうなること。

初めてこの本を読んだときは、自分自身の経験不足で
あまりよくわかっていなかった部分が、さすがにこの年にもなると
人生経験を積んだせいか、淫靡な感じも楽しめるように。

大勢の人が周りにいる映画館や劇場でのあけすけな性的描写は
恥ずかしくなってしまうので敬遠したいところだけど、
ひとりで楽しむ読書に関しては、たくさんあるに越したことない。
想像力がかきたてられることこの上なし。

また、本書の魅力は、当時の風俗描写にもかなりのページを割いていること。
当時のお金持ちの身につけるものとナオミが身につける奇抜な着物類の対比や
2人が住んでいる家の間取りや家具の類やダンス会場で出会う様々な人々の
微に入り細にわたっての描写などは、目の前にちょっとした絵巻物を広げられたよう。

場面場面で登場する東京の地名や省線の名前などは、今住んでいるところや
職場から近いので、ここであのナオミと譲治が・・・なんて考えるのも
とっても楽しい。

ナオミと譲治の不思議な夫婦関係や生活様式を垣間見て、
不思議な世界に行ってきたような感覚に陥った。